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部活動会議はファミレスで!その2

〜ファミレスへ向かう途中〜


部活動会議をファミレスで行うことにした小説部一行。

まだまだ太陽がイケイケの中ファミレスに向かう途中、俺はずっと小鳥遊にポクポクと脇腹を殴られていた。

全く痛くは無いが時折聞こえてくる「バ、バカ」という言葉を聞く限り、先程助けなかったことを随分と根に持っているらしい。


「だからさっきは悪かったって」


とりあえず謝っておく。


「う、うるさい、気が済むまで殴る」


「そんなに嫌だったのか?」


「い、嫌なわけじゃないけど…」


やっぱり嫌じゃなかったんじゃないか。


「なら良かったじゃん、むしろ俺に感謝してくれてもいいだろ」


「そ、そういう問題じゃない!」


なら、何が問題なんだ。


そんなことを考えながら歩く。もちろん脇腹をつつかれ続けながら。


 小鳥遊との関係は俺の考えていたものとは少し違っている。

 最初は俺が通訳代わりにでもなるもんだと思っていたのだが、数日会話をしただけでめちゃくちゃ話すようになった。

それだけなら良いのだが俺にだけは攻撃的というかガツガツ来るようになった。

 少し仲良くなると絡み方が変わるタイプなのかと思ったのだが、他の部員に対しては全く変わらんので謎は深まるばかりである。


 「そろそろ機嫌治してくれ、ほら、ファミレスついたぞ」

 

 そういいながらファミレスに入店する。

 

「いらっしゃいませ~ 何名様でいらっしゃいますか?」


「5人です」


「かしこまりました、席にご案内いたします。こちらへどうぞ」

 

 案内された席に座る。配置としては楠木と湊が対面、俺の両脇に小鳥遊と三宅先輩が座っている。

はたから見れば両手に花というやつに見えるかもしれない、だが俺としては引率の先生のような感覚である。

 小鳥遊は言わずもがな、三宅先輩もなかなかに癖が強い。やりたいことをやりたいときにやるタイプなんだろうがいかんせん突発的な行動が多い。

 今日の提案も即日即決といった感じである。


 「あ、あんまし、つ、つめてくるな」


 「しかたないだろ、こっちは三人で座ってるんだから」


 隣からギャーギャー聞こえてくるが、一旦無視する。


「それで会議は何を?」


先輩に問いかける。


「よく聞いてくれた! それでは早速第一回部活動会議を始める!」

「おおー!」


パチパチと手を叩くのは楠木、小鳥遊と湊はメニューとにらめっこしている。


「わざわざ集めたってことはなにかするんですよね?」


「そうさ!今日は歓迎会でもあるが早急に決めなければならないことがあってね!」


決めなきゃならないこと?


「何を決めるんですか?」


「ずばり、副部長を決めるのだ!」


ビシッと言い放つ。

副部長? そういえば俺たちが居ないと部長一人だったんだっけ…


「この部活、ほんとに部長しか居ないんすね」


「そうだ、だから君たちの中から一人選ばなくてはならない!」


「陽向先輩は誰がいいと思ってるんですか〜?」


楠木が尋ねる。


「副部長といっても活動報告などは私がやるからほとんど出番は無いのだが、偶に私が出れん時に出てもらうかもしれんから、ある程度喋れる人がいい」


なら小鳥遊は無しだな、言わないけど。


「僕は悠でいいと思う」


ここでメニューを見ていた湊が口を開く。


「現に今もこの場を回している。たかが1週間程度の関係であってもこれだけ気が回るなら適任だと思う」


俺か… 一応聞いておくか。


「それなら楠木でもいいんじゃ?」


そう言うと今度は隣の小鳥遊がボソッと呟く。


「そ、それに、わ、和田は、ぶ、部長の手網を握れてる」


大変ニチャニチャしながらこちらを向く。


「ま、まさに適役、て、天職だ」


…こいつ、ニチャニチャしながら言いやがって、絶対面倒押し付ける気だろ。

そう思いながら、自分に問いかける。

副部長くらいならいけるか? …いけるな。


「まあ、そういうことならやりますよ」


厄介事な気もするが良いだろう。


「なら決定だ!よろしく頼むよ和田副部長!」

「いやー!これで生徒会の連中からとやかく言われなくて済むようになる!アイツら、顔を合わせる度に、部員は集まった?他の部に入ったら?なんて煽ってくる!」


部員一人の部活とか普通に認められないだろうし、 生徒会には言われて当然なのでは…


「あの〜、あたし部長に聞きたいことがあって〜!」


話が終わったのを見計らって楠木が話し始める。


「この部活って小説部じゃないですか〜、何する部活なのかいまいち分かってなくて、教えて欲しいなって」


そう、俺も部長にそれを聞きたかったのだ。 一応部活として行う内容を聞いてはいるのだが、ほとんどやることないだろと思っていた。


「俺もだいたい同じことを聞きたくて」


俺も続く。


せっかく副部長になったのだから、何もせず目をつけられて廃部にさせる訳にはいかない。


「活動については前に話した通りだ! 日々の小説投稿と文化祭での出し物!これで十分だろう!」


「でも小説投稿は不定期ですし、文化祭は秋に1度しかないじゃないですか。これじゃ部活というより同好会に近いのでは?」


不安点を挙げる。


「あたしはこのままで良いならこのままがいいんだけどね〜、楽だし」


「多分ですけど、このままじゃ生徒会からまた圧をかけられますよ。せめて定期的に部室に集まる活動のひとつでも追加した方が…」


そこまでいうと小鳥遊が口を開く。


「そ、それなら、し、週1で書いた小説とかの、て、添削会とかどうだ?」


なるほど添削会か、不定期の投稿に対してある程度の強制力を持つし、部員が部室に集まる理由にもなる。


「小鳥遊にしてはいいアイディアだな」


「に、にしてはってなんだ」


…痛い、スネを蹴られた。


「僕も賛成だ。ろくに本も読まんやつに小説なんて書けるわけないからな、僕が直してやる」


「ちょっと? それってあたしにいってますぅ?」


…また始まってしまった。


「まあ、生徒会に対して活動内容の報告もしやすくなりますし部長としても良いのでは?」

「うーむ、確かにそれもそうだな」

「よし!今後は既存の活動に加え、添削会も行うこととする!」

「これで聞きたいことはないな?」


俺も楠木もうんうんと頷く。


「それじゃ!ここからは歓迎会の開始だ!じゃんじゃん頼め!」


皆自費ですがね…


こうして歓迎会が始まった。


「あたしこのパフェ食べたい!頼んで〜!」


「僕はカルボナーラでも頼もうか」


「わ、わたしは、ハ、ハンバーグと、ピ、ピザと…こっちもいい…」


おいおいそんなに頼んで食えるのか?

と、思いながら俺も注文する。


「いやはや、君が副部長になってくれて本当に助かるよ」


「別に、他の連中でも良かったでしょう?」


「いや、君が良かったよ、正直」


なにか含みのある言い方であったが、気にせず注文を聞く。


「三宅先輩は注文どうします?」


「私はシーザーサラダとコーンスープだけでいい」


「意外と食べないんですね」


「こう見えても食事には気を使っているのだ!食いすぎで体調を崩しては元も子もないからな!」


部長にしてはまともすぎるな…


それにしても結局副部長もやる事になったし、ファミレスでの注文係も俺になってるし、この部活のケツ持ちみたいになってるな…と思いながら自分も注文をするのであった。

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