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小鳥遊 藍という女

私小鳥遊 藍は小説を読むことが好きだ。


小説の中のキャラクター達は皆輝いて見えて、キャラクター同士の妄想をしているだけで幸せな気持ちになる。

小説を読んでいる間だけは現実のことなんてきれいさっぱり忘れられるんだ。


というのも、コミュ障な私は小学校でも中学校でも友達を作ることが出来ず、教室の隅でずっと本を読んでいる壁のシミみたいな生活を送っていた。

運動も勉強も得意ではなかったけど、今までは何とかやってこれた。この先もそんな感じで生きていく事になるだろう。


けれども、そんな私にも夢はあるのだ。

大きな夢は小説家になる事。自分の好きな事を仕事にできるなんてどれだけ素敵なことか。

それに文章でなら私の全てを伝えることができる。

どうしても対面になると言葉に詰まってしまうから言いたいことすら満足に言えない訳で、いっそこの世の全ての会話がチャット方式になればなんてことも考えたりもする。

けれどもそんな事にはなるはずもなく高校生になってしまった。


大きな夢は小説家になる事だけど、もちろんそれ以外にも小さな夢もある。

それは友達を作る、ないしはオタク談義が出来るくらいの知り合いを作るというものだ。


1人で居るからと言って一人でいる事が好きな訳ではない。もちろん一人の時間は大切にしたいが、それよりもオタク談義というものをしてみたい。

感動した話があれば、一緒に感動して欲しいし、面白い話があれば笑い合いたい。

そんな小さな夢と大きな夢を叶える第一歩として今日は小説部の部室にやってきたのだ。


「す、すみません し、失礼、し、します」


ありったけの勇気を出して声を出すが中からはなんの返事もない。

涙目になりながら周りをキョロキョロ見渡すと、隣に張り紙があった。

小説部の見学に来た人!今留守にしてるから中で小説でも読んでて! と、バカでかい文字で書いてある。


「お、お邪魔します…」


それなら、とドアを開けて中に入ると、そこには大量の本があった。

見渡す限りの本の山、私の目にはそこは宝石箱の中のように輝いて見えた。


「お、おおおお!!」


年頃の女子が出しては行けないくらいの声を出しながら本に駆け寄る。


「す、すご!」


私の城にぴったりだ。

そんな事を考えながら一冊の本を手に取る。

それは現在私の中で流行りのライトノベルで、社会人の主人公がひょんなことから匿うことになったJKとの恋に落ちるラブコメである。


「こ、こんなものまで揃ってるなんて…」


そうして本の山の隣でしばらく本読みにふけっていると、ドアの前から話し声が聞こえてきた。

それに気づいて立ち上がろうとすると、本の山を肘で小突いてしまい倒れ込んできた。

反射神経が良いわけでも、運動が出来る訳でもないので、


「ピギャー!」


なんて声を出しながら本の下敷きになってしまう。

そんなどんくささの塊のような私を助けてくれたのは、冬コミケで激突してしまった彼であった。


そんなこんなで私、小鳥遊 藍の小説部としての物語が始まるのである。


次から部活の話が始まります。多分登場人物の説明にはなりますが…

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