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勉強会その1

さて今日は小鳥遊が家に来て勉強会を行う日だ。昼前に来てもらって夕方くらいまで勉強を教える予定でいる。

勉強を教えるとより深くまで理解できるように感じるので今日は真面目に教えるつもりなのである。


そろそろ来る頃だろうと考えながら勉強会の準備をしていると、ピンポンとチャイムが鳴った。


「はいはい、今出ますー」


ガチャっとドアを開けると目の前にモジモジしている小鳥遊が立っていた。

白いTシャツに紺色のオーバーオール、それに赤色のキャップを被っている。

こいつこんな服持ってるんだな、いつも制服姿しか見てないから新鮮だ。それになかなか似合ってる。


「よう小鳥遊、似合ってるなその服」


「ふ、ふふん、そうだろう、な、なんてったってお母さんがコーディネートしてくれたからな」


なるほど、センスがいいのは小鳥遊母であったか。娘さんの良さを理解していらっしゃる。


「まあこんなところで立ち話とはなんだし、早く中に入りな」


「わ、わかった、お、お邪魔します…」


家の中に案内し玄関で靴を脱いでいると、夏樹が降りてきた。


「あっ、こんにちはー 俺は夏樹って言います。そこの悠の弟やってます。ヨロシクです」


夏樹が軽い挨拶をする。それに対し小鳥遊は固まったままである。


「あれ? 俺まずいことでもしたかな兄貴」


夏樹が耳打ちしてくる。


「いや、こいつは初対面だとまともに喋れないだけだ、気にするな」


そこまで説明すると小鳥遊が口を開く。


「こ、こここんにちは! わ、わたっ 私は小鳥遊藍と申します! い、以後よろしくお願い致します!」


思えば俺に対しても最初はこんな感じだったな、いつの間にか敬語もなくなって暴言だらけになりやがったけど。


「うん、よろしくね小鳥遊さん。今日は兄貴と勉強会するんだって? 試験勉強頑張ってねー」

「それにしても小鳥遊さんの今日の服装とっても似合ってるね、自身の魅力を完璧に引き立たせてる。兄貴が連れてこなきゃプロのモデルさんと間違えてたかも」


「あっ… あ、ありがと… ふへへ」


おい、何照れてやがる。俺の時と反応が違いすぎるだろうが。

しかし夏樹のやつ良くもこんなにスラスラと褒め言葉が出てくるもんだ。やっぱり普段からこうやって口説きまくってるのだろうか、兄貴は心配だ。


「それじゃ俺は部屋に戻るから、兄貴達は仲良くねー」


勝手に夏樹の女性関係を心配している俺をよそに、夏樹は階段を上っていった。


「とりあえず俺の部屋でいいよな? そんなに広くないけど二人で勉強するくらいのスペースはあるし」


「う、うん、そ、それでいい」

「そ、それにしても弟さんは、モ、モテそうだな」


「そらあの見た目で運動神経抜群、口も上手いときたもんだからモッテモテよ」


「わ、和田もあのくらいイケてたら良かったのにな」


「俺だってなかなか悪かないだろ、あいつと同じ血が流れてるわけだし」


「イ、イケメンオーラが違いすぎる、わ、和田のはなんというか煽りカスオーラってとこだな、ネ、ネットで炎上するタイプだ」


「毎度思うがお前は本当に口が悪いな」


いつも通りの会話をしながら部屋へと案内する。


「ここが俺の部屋だ、変なもんは置いてないから安心しな」


「し、失礼します…」


ドアを開け中へと入る。


「す、すごい、立派な本棚だな、そ、それにここに置いてあるのはペンタブってやつか?」


「そう、それがペンタブだ。前に見せた小説の表紙もそれで描いたんだよ。本当は液タブが欲しいんだが如何せん高すぎて買えないから板タブなんだけどな」


「え、液タブと板タブって?」


「ああ、簡単に言うと液タブはiPadみたいに画面に直接かけるんだけど、板タブはPCのタッチパットみたいなもんで描いたやつがモニターに映るってかんじ」


「まあそんなことは置いといて、そろそろ勉強会スタートといこうか。俺が送ったやつがある程度覚えられたら赤点は回避できるだろうから頑張ってくれ」


勉強会とは言ってもやる事は基本的に自習だ。利点としては分からないところがあったら質問することが出来るのと、いつもと少し違った環境で勉強することで程よい緊張感が出て、だらけずに勉強に励むことが出来ることである。


勉強を始めて2時間ほどたち、小腹がすいてくる時間となった。


「なあ小鳥遊、そろそろ昼飯でもどうだ?」


「そ、そうだな、お、お腹空いてきた」


「それじゃ飯にしよう。先にリビングにいっててくれ、場所は玄関から見てまっすぐ進んだところにあるから。俺は夏樹に声かけてくる」


俺はそう言うと夏樹の部屋へ足を運ぶ。


「おーい夏樹、昼飯の時間だぞー」


声をかけると直ぐに部屋から出てくる。


「なあなあ兄貴、小鳥遊さんとは上手くいった?」


「上手くも何もただ二時間勉強してただけだ」


「年頃の女の子を部屋に呼んですることが勉強だけって。実につまらないよ兄貴」


「勉強だけとはなんだ、あいつにとっては死活問題なんだぞ」


「? もしかして小鳥遊さんってあんまり…」


「ああ、俺が教えなかったら赤点回避も怪しいレベルだった」


「なるほどね、そりゃ大変だ。そしたら飯の後も勉強漬け?」


「まあそうなるだろうな、明日から試験だし」


「なら終わった後に遊びにでも誘いなよ、お疲れ様会みたいな感じでさ」


「お疲れ様会か…それは有りだな、湊とか誘ってみんなで飯でも食いに行くわ」


「…そういうところだよ兄貴」

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