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体育祭の前に

 さて、来るべき体育祭についてあれこれと準備を始めたわけだが、その前に俺達には重要な出来事がある。


 それは学生にとって避けられないもので、年に五回あるイベントである。ズバリそれは定期試験のことで、本校では五月、七月、十月、十二月、二月に行われる。


 普段はたいして勉強もしない生徒ですら躍起になって勉強しだすため、教室の空気もいつもと少し違う空気になっている。

 ある者は授業中に内職を行い、またある者は勉強のできる人に教えを乞うのである。

 俺は余裕を持って勉強し始めたのでそこまで躍起になる必要は無い。

 そのためそこそこに部活動にも励んでいるのだが、試験の一週間前になると部活動禁止期間になるため、放課後は帰宅せざるを得ない…のだが、今日は小鳥遊に呼ばれたので部室へと向かっている。


 なんか呼ばれるようなことしたかな? もしかして小説の件で何かあるとかか? 何を言われても俺は絶対に諦めんぞ。


 そんなことを考えているうちに部室に着いたのでドアを開けて中に入る。

 小鳥遊は座ってなにかしているようだがこちらに気づいていない、なので声をかける。


「おーい小鳥遊、来たぞー!」


「うぁ! び、びっくりした… い、いきなり大声出すな」


「だってお前から呼び出したくせに俺が来たことに気づいてなかったろ? それともなんだ、耳元で囁いて欲しかったのか?」


「ふ、普通に声かければいいだろ、なんで両極端なんだ」


「そりゃお前が毎度毎度おもろい反応するからな、仕方ない」


「あ、あんまりふざけてると、な、殴るぞ」


「おー怖い怖い、すぐ暴力を振るう女は怖いなぁ」


「う、うるさい、そ、そっちが煽ってくるからだろ」


「そりゃすまんな、ただ暴力はあんまり良くないぞ、俺以外には絶対するなよ」

「まあそんなことは置いといてだな、今日呼び出したのは何の用だ?小説のことか?」


「い、いや、その…ゴニョニョ」


 いつも小さい声がさらに小さくなりやがった、まともに聞かせる気がないらしい。まさか冷やかしのために呼んだわけじゃないだろうな。


「なんて言ったんだ?全く聞こえんが」


「だ、だから!その… べ、勉強…」


 勉強? …ああ、なるほどな、俺に勉強を教えて欲しいのか。確かにこいつには他に頼れそうな友達がいるようには見えない。もちろん教えるのは問題ないのだが、タダで教えるのは面白くないな。


「定期試験の話か? 教えてやるのは全然構わないんだが、教える代わりに一つ言うことを聞いてもらうってのでどうだ?」


「え!? な、なんでも…?」


「おい、なんでもなんて言ってないぞ、勝手に自分で拡大解釈するな。それじゃ俺がクズみたいじゃないか」


 そう、たかだか勉強を教えるくらいで大したお願いはできない。それにあんなことやそんなことをして欲しいなんてこれっぽっちも考えちゃいない。

 俺はただこいつに借りを作っておくつもりなだけだ。


「別に今すぐ頼みたいことがあるわけじゃない、いつか俺が困った時に頼んだら聞いてくれるってことにしてくれ」


「そ、それならいい」


「それで? 何が分からないんだ?」


「し、強いていえば全部」


「全部!? 一週間前のこの時期に!?」


「だ、だって! ちゅ、中学の時とこんなにも難易度が違うと思ってなかった…」


「二週間前に試験範囲が出てから勉強し始めてるだろ? もしや…」


「ぜ、全然始めてない、こ、今週の日曜日に初めて範囲を見た…」


 なるほど、こいつは中学時代の試験を一夜漬けで乗り切ってきたタイプか。それは大変よろしくないな。


「よし、まずはその考えから改めろ。確かに一夜漬けで乗り切れるやつはいくらでもいる。だがな、それじゃ次の日には大体のやつが忘れてるし、勉強した意味が無い。知識としてきちっと定着させるには繰り返しやるのが1番だ、わかったな?」


「う、うん、わ、わかった…」


 おっと、まるで塾の講師みたいな感じになってしまった。

ただ、俺たちみたいな凡人ほどコツコツやらないと大した結果が得られないのだから仕方ない。


 さてと、一旦はこいつがどのくらい出来るのか試すか、うちでは一週間前になったらプレテストを文化委員が作って配布してくれるとかいう神仕様だからな。

 作る文化委員にとっては地獄の作業だろうけど…


「小鳥遊、お前もさっきプレテスト貰っただろ?あれ解いてみろよ。どの教科でもいいからさ」


「わ、わかった… じゃ、じゃあ数学Ⅰから…」


 プレテストとはいっても簡単な復習用の小テストのようなものであるため、大して時間はかからない。

 そのため、少ししたら「で、出来た」といって俺に回答を見せてきた。

 その回答を見た俺は思わず絶句した。


「お前、授業中何してるんだ? ただの公式使うとこさえできてないじゃないか」


「じゅ、授業中はずっと妄想にひたってるから…」


「今すぐそれをやめろ、正直これじゃ赤点回避すら危ないじゃないか。とりあえず今日は公式だけは絶対に覚えろ。それと土日までに出そうなとこ全部まとめて送ってやるから覚えてきてくれ」


 そこまで言って俺はいいことを思いついた。


「ていうかお前土曜か日曜うちに来いよ、そしたらみっちり教えてやるから」


「う、うち!? な、ななななにいってるんだ!?」


 分かりやすく動揺しだした、顔も赤くなってるし。

 こいつ一体どんな妄想してやがるんだ。


「おい、何考えてるのか知らんがやましいことは何もないぞ。勉強会をしようってことだ、別にお前んちでもいいぞ?」


「な、なんで家なんだ、と、図書館とかでもいいだろ」


「土日の図書館は混むんだよ、それにあんまり声出せないだろ。教えるのに色々と不便なんだ」


「な、なるほど… じゃ、じゃあ日曜に、わ、和田の家に行く…」


「もしかして友達を家に招いて勉強とかしたことないのか?」


「あ、当たり前だ、と、友達なんて居なかったし…」


「オーケーすまない、ノンデリカシーだったわ。まあ安心しな、今週の日曜なら弟がいるからさ」


「な、何が安心しなだ、ま、全く…」


 口ではグチグチ言っているが、顔がにやけているのを俺は見逃さなかった。


「それじゃ今日はこのくらいで帰るか、日曜までに基本的なところは覚えてこいよ。もし分からないことあったら聞いてくれて構わないから」


「そ、そうする、わ、わざわざありがと」


「それじゃ気をつけて帰れよ」


 こうして俺たちは帰路に着いた。


 そして家に着いて両親と夏樹に勉強会について説明した。家に人を招いていいかどうかの許可を取るためだ。

 その間夏樹には散々冷やかされたが、快く許可が降りたのだった。


体育祭の時期5月から6月に変えました。定期試験と被っていて流石に無理がある日程になっていたからです。


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