27 「おいっす」とは、お前は“いかりや長介”かという話だが…
■■ 8 ■■
「――は? 舐めてんの!? あいつら!!」
と、調査室に響く怒声に、
「「ひッ!? ひぃッ――!?」」
と、黒桐廉太郎と零泉円子が、ふたりそろってビビり散らかした。
その、ふたりの先――
飲みかけのドクターペッパーとともに、例の綾羅木定祐のクソダサ・サングラスの置かれたデスク。
室長の、グレイヘアのアラフォービューティの松本清水子が、スマホを手にして電話していた。
その松本清水子は、開いてるほうの手にドクペを手にしつつ、
『い、いや、いやッ……! 俺に、言われてもねい、』
と、電話の向こうで、余計に機嫌悪くならないように慌てる碇賀元に、
「こんな、変なゴーグル送ってきてさ?」
と、不満オブ不満の表情で苛立っていた。
すなわち、先ほど碇賀元と賽賀忍のふたりが綾羅木定祐たちに言われたことを――、自分たちは昼寝するから、このゴーグルでも使って調査を進めておけと、横柄に言われた旨を伝えたため、この綾羅木定祐の元嫁の松本清水子がキレたわけである。
「――それで? 昼寝するから、雨が嫌だから調べとけって、何様なんだよ? クソが。氏ねよ」
『氏ね、て……』
ダイレクトな『氏ね』に、電話越しの碇賀元と、
「……」
「……」
と、こちら側にいる黒桐廉太郎と零泉円子の二人も、軽く引きつつ戦慄する。
それはさておき、
「――で? どうなん? このゴーグル?」
と、松本清水子は、零泉円子のほうを向いて聞いた。
「い、いやぁっ……! た、たし蟹っ――、綾羅木さんが視た、ガイシャの記憶っすかね? ――が、記録として残ってますね」
いきなり話を振られ、ドキッ――! としながらも零泉円子が答える。
また、松本清水子が、今度は碇賀元に聞く。
「何? この記憶の記録っての――? それを合わせたうえで、VR室で分析しろ、ってことなん? ガー?」
『うい、っしゅ。そゆこと――、みたい』
「はぁ、」
と、松本清水子は相槌しつつ、
「それって、行けそうなん? 円子?」
「ま、まあっ、ちょっち、やってみますけど、」
と、再び零泉円子のほうを向いて、頼んでみる。
「ふーん……」
松本清水子は、天井を見ながら大きく溜めして、
「――仕方ないわね。そしたら、円子、黒桐――! ちょっち、やったげて!」
「は、はいぃッ――!」
「おっ、おいっす!」
と、指示を出された黒桐廉太郎と零泉円子のふたりは、順に、半ばビビりつつ返事をした。
なお、「おいっす」とは、お前は“いかりや長介”かという話だが……
とりあえず、そのようにして、“記憶を共鳴させて”分析するという――、若干のオカルトチックな響きがありながらも、VR室でデータ分析をすることになった。
「何か、強い怨恨の生じ得るケースとして、今までのガイシャたちの関わった動画、発信――、もしくは、“今後、新たにガイシャにされそうなの”も調べて、ちょちょっと、リストアップしてみますわ」
と、少し頼もしそうに言って、零泉円子は黒桐廉太郎とともに調査室を出てVR室へと向かう。
「うい。頼むー」
松本清水子は、ドクペの缶を口につけたまま、返事して零泉円子の背中を見送った。
…………
と、ドタバタしてた感のある調査室が、いったん静まった。
「……」
松本清水子は、また電話のほうへ、
「とりま、いま、円子たちに頼んだから、もう少し待っといて」
『あざっす、松もっちゃん』
「あざっす――、じゃねぇよ。」
良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)
※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)
『トランス島奇譚』:
洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……
ーーー 作中引用 ーーー
「何だい、チカレタって……? 飲みすぎた、とかじゃないよね?」
ドン・ヨンファが、やれやれと聞く。
「うん、飲んでない。あれから、一本開けただけよ」
「え? あれから、一本開けたの!? ソユン?」
と、まさかの答えに、ドン・ヨンファが軽くたまげる。
これから立食パーティーと言う前に、ワインボトルを一本開けたとは、一般レベルでは想定していない答えである。
また、パク・ソユンは続けて、
「うん。だから、全然飲んでないって。お酒は、絶対やめた」
「何? その、タバコは絶対やめたっていいながら煙草を吸いながら会見する人みたいな」




