26 『エッチすることも、考えてあげる。括弧、エッチさせてあげるとは言ってない、括弧とじる』的な――
そんな、脳と直結して改札口とかで使えそうな『サイコ‐パス』に夢を馳せながら、
「そうすると、綾羅木さんがいうような妖具、妖力ってのは? 何か、あるのかねい?」
と、碇賀元が、肝心のことを聞いた。
「はぁ、……?」
綾羅木定祐が、ゆるり……と、天を仰ぎつつ、
「いや、あったけ……? そんなの?」
と、答えた。
「へ――? 知らないの?」
ポカンとする賽賀忍に、
「いや、だって……、俺、あいつのこと、嫌いだし」
と、綾羅木定祐が答え、
「ごめん、私も知らない。あのドラ〇もんのことなんて、知りたくもないし」
と、上市理可も順番に、冷たく答える。
「「いや、そこは、少しは知っとこうよ? もっと、ツンデレみたいにさ?」」
碇賀元と賽賀忍が、声をそろえて言った。
何が、ツンデレみたいにという話だが――
それはさておき、
「そういうわけで、だ? とりま、今のところ、そんな都合のいい妖具が思いつかないし、思いついてやる気もない」
「……」
「……」
と、せめて思いつく気ぐらい見せろよという話だが、もはやつっこむ気も起きず碇賀元と賽賀忍のふたりは、綾羅木定祐が話すのを聞く。
「それか、あれかな? もう少し、データを絞ってきたら、少ない妖力をでもピンポイントまで辿りつく、ナニカがあるかも」
“ナニカ”程度で言う上市理可と、
「そうだぞ。そこから、あの、くそドラ〇もん野郎に聞くかどうか――、考えてやるから」
と、綾羅木定祐が言う。
「何だい? その、『エッチすることも、考えてあげる。括弧、エッチさせてあげるとは言ってない、括弧とじる』的な――?』
「ちょ、やめて。その例え」
と、碇賀元がつっこむのを、賽賀忍がつっこんだ。
そのように、考えてあげる詐欺の話法で話を進めつつ、
「とりあえず、そのゴーグルを、お前たちにやるから。“それ”を、あのBBAんとこに持ってって、クソ円子のヤツにでも分析してもらっとけよ」
と、綾羅木定祐が提案して、碇賀たちに仕事を投げる。
クソ円子とは零泉円子のことで、BBAとは自身の元嫁の松本清水子のことであるが。
「へっ――? 綾羅木さんたちも、調べるんよねい?」
キョトンとしつつ、碇賀元が確認するも、
「ううん……、何か、雨降りそうだし、眠たいし……、事務所に帰って、昼寝しようかなって」
「そうだぞぉん、こんな、眠くて雨降りそうなときに働いちゃダメだって。身体に悪い」
「……」
「……」
と、まさかの答えを帰してくる綾羅木定祐と上市理可のコンビに、ふたりは絶句した。
「――てわけだから、な? ある程度調べてから、また声かけてこい、な?」
綾羅木定祐は、そう言いつつ、
「……」
「……」
と、絶句したままの二人に、
「とりあえず、このゴーグルだけは、清水子のとこに転送してやる」
と、そこだけ妖力を使って、
――ボワンッ……
と、地味なオーラとともに、ゴーグルをテレポーテーション的に転送してやった。
「じゃあな――。それで、少し、犯人につながりそうなデータでも絞ればいい。そのうえで、お前らが調べたり、群麻たち刑事連中にでも調べさせといて」
と、綾羅木定祐は言いつつ、背を向けてその場を後にした。
「……」
「……」
碇賀元と賽賀忍のふたりは、ただ沈黙しつつ、思う。
((ほんと、クズだよな……、こいつら……))
良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)
※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)
『トランス島奇譚』:
洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……
ーーー 作中引用 ーーー
「ああ? それで、人類は進歩して、ついに人類は電脳という“殻”を手に入れ、人体という“制約”から解放される。ゴースト・イン・〇・シェル――、“甲殻”機動隊の夢ね」
「何だい? その、ロブスターとか、蟹とか出てきそうな」
「甲殻アレルギーには、気をつけて――」
と、パク・ソユンがピシッ……と指をキメて、謎トークは終わる。
そうして、
「まあ、とりあえず、なんだい? バカラするなら、しようよ」
「ええ。確率仕掛けの世界を創造した神に、人間の力を見せるわよ」
と、二人はバカラへと向かう。
その後、めちゃめちゃに負けた――




