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【混沌事件調査】  作者: 石田ヨネ


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22/39

22 脳に接続して直接信号をやり取りすることで、視力を復活させる技術とか


          ***



「――う~む……。そういう、わけか……」


 と、Aの記憶を“見ていた”綾羅木定祐は、うなった。

 場面は、病室のほうへと戻る。

 なお、綾羅木定祐のゴーグルを通して見える映像を、上市理可も妖具によって一緒に見ていた。

 ちっちゃいアンテナ型の魔界植物から伸びた蔓が、スマホの端子に接続されており、その画面に映し出されるという形で。

「はぁ……、まあ、単独なのか協力者がいるのか謎だけど、フードの男――? が、犯人だと思うのだ」

「見てのとおりだろが。前田のクラッカー並みに、当たり前のこと言ってんじゃねぇぞ、このハ〇太郎野郎」

 と、いいかげんハ〇太郎が抜けない上市理可に、綾羅木定祐がつっこむ。

 そのようにやり取りしながらも、

「さて、とりあえず、情報は得たことだし。帰ろっか? 綾羅木氏」

「そうだ、な……」

 と、ふたりはボチボチ帰りたくなってきた。

 確かに、これ以上の情報は、Aから得ることは無いように見える。

 そうして、

「じゃあな……。情報をくれたことは、感謝する」

 と、綾羅木定祐が言って、事件前の面影の残ってない、横たわっているAに背を向けようとした。

 その、去り際、


「う、う……」


 と、何か、声にしようとする音が聞こえた。

「……」

 上市理可と、

「う、ん……?」

 と、半ば背を向けかけていた綾羅木定祐が、振り向いた。

 そこには、すでに声を発することのできなくなって久しいAが、何とか言葉を発しようと、呻こうとしていた。

「……」

 綾羅木定祐が、ジッ……と、見た。

 読唇術すら難しいほど口の周りが焼けただれているが、骨格や筋の動きから、何とか云わんとせんことを読みとる。

「――助けてくれ、か……」

 と、綾羅木定祐は、引き留めてきたAのSOSを言葉にした。

「ん? そう、言ってるの?」

「ああ」

 と、上市理可に頷きながらも、綾羅木定祐はAに再び近づく。

 そして、言った。


「あん? 知らねぇよ――」


 綾羅木定祐が発した、冷たい言葉に、

「――!」

 と、Aがショックを受けたように、ビクッ――! と、なった。

「まあ、運が悪かったんだろうけど……、少なくとも、いつか恨まれかねないことをしていたんだろ? 仕方がないじゃないか」

 追い打ちをかけるように、綾羅木定祐は言って背を向け、そのまま病室を出て行く。

「……」

 と、上市理可も惨めなAをチラッ……と一瞥しながら、綾羅木定祐のあとを追うようにして背を向け、病室を出て行ってしまった――



 そうして、二人は病院そのものを後にする道中で、

「――とは言え、はぁ……、情報を得させてもらったわけだから、いくらクズとはいえ、礼くらいはしないといけないな」

 と、綾羅木定祐がため息しながらも、いちおう気にかけていたのか、Aについて話す。

「ん――? 何? 視力でも、回復させてあげるの?」

 上市理可が聞く。 

「そうだな……? 清水子のツテで、何か紹介してやろうかな」

「それって、脳に接続して直接信号をやり取りすることで、視力を復活させる技術とか?」

「うん。だいたい、そんな幹事。あと、ワンチャン、目の再生技術とか、そのうち出てきそう。いや、むしろ、もうあるかも」

 と、綾羅木定祐が、“幹事”イントネーションを交えつつ答える。

「VR室とかあるぐらいだしね」

 上市理可が、松本清水子たちのところにある、近未来的なVR室を思い出した。

「――ていうか? クズとか言いながらも、いちおう助けてあげるのね? 綾羅木氏」

「まあ、人間なんて、仏陀クラスからしたら、皆だいたいクズだしね。世の中ってのは、性悪説的に考えるべき」

「そうねぇ……? 冤罪動画を撮って稼ごうとする彼らも悪いけど、そんな動画とわかっても面白がって視聴して、他の人にも拡散する我々一般ピープルも十分クズだという土壌があるからこそ、成立するわけだしね」

「うん。だからこそ、目・口・耳って穴を開けられた混沌は、死んじゃったんだろね」

「混沌くんは、ピュアなのだ――!」

良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)



※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)


『トランス島奇譚』:


洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……



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