21 啖呵を切ってカチコミするように
「な、な、何をさせる気、なんだ……?」
「そうだな……? この近くにね……、外国人犯罪グループのヤサがある。薬物の売買に恐喝、詐欺などをはたらいているグループの。そこに、私人逮捕をしに、カチコミに行く動画を撮ってもらおうと思ってね」
怯えながら聞くAの仲間に、フードの男は淡々と答える。
「そ、そんな……! 俺たちだけで、」
Aが、そんなこと無理だと伝えようとするが、
「うん……? 何だ? お前たちは、気の弱そうな男になら――、自分が勝てそうな相手なら、痴漢だの盗撮だのと言い張って私人逮捕できるのに、相手が強いとなると、できないのか? それとも……? 最初から、再生数や金のために、弱い相手を狙っていたのか?」
と、フードの男が、口元に半ば笑みを交えながら言った。
「そ、そんな、ことは……」
Aが弁解しようとする。
その時、
「に、逃げようぜ――!」
と、Aの仲間が言って、逃げだそうとした。
しかし、
「ほう? 逃げるのか? まあ、ちょうどいい。逃げたら、こうなるぞ――」
と、フードの男が言うやいなや、“何か”のスイッチを押した。
すると、
――ブシュッ……!!
と、女のつけられていたゴーグルのほうから音がして、同時に、
「ああ”ぁ”ァ”ァッー!!!」
と、女が大絶叫した。
「「なッ――!?」」
Aたちが驚いた先――
女のゴーグルには恐らく硫酸と思しき液体が充満しており、目とその周辺を溶かしながら焼き、黒く炭化させていた。
「ぎ、ぎゃ”ァ”ァッー!!!」
女は、まだ叫び続ける。
視力を、光を失った中で、硫酸で目を焼かれているという事実と激痛ゆえ、無理も無いだろう。
そんな風に、苦痛にのたうち回っている女を、
「おい! うるせぇぞ……!」
と、フードの男は言うなり、
――ブ、スッ――!!
と、抜き手で喉を潰してしまう。
「カ、ヒュッ――!?」
視力に加え、声も失ってしまった女。
“それ”を、フードの男は、今度はボコボコに殴る。
「ひッ――!!」
Aの仲間が、思わず怯える声を出す。
その眼前でが、
――ボゴッ! ボゴッ……!
と、骨が砕ける鈍い音とともに、声も出せない女が、まるで芋虫のような物体になったがごとく蠢いていた。
やがて、もう十発くらい殴ると、女だった物体はピクリ……と動かなくなってしまった。
「うっ、……」
恐怖に顔が歪むAに、
「さあ? 君たちが、残った……。“やる”、よな?」
と、フードの男が、嗤いながら振り向いた。
「い、いっ……、」
萎縮して声を失う仲間のそば、
「は、はい……、」
と、Aも、震えながらも答えた。
あまりの恐怖と絶望に、ともすれば失禁、発狂してしまいそうになりながら――
――とはいえ、フードの男のいう条件を呑んでも、彼ら、Aたちに待つのは地獄だった。
外国人犯罪グループの“ヤサ”に、スマホのカメラで動画を撮りながら踏み込む。
「あ、あなたたちはッ! ご、強盗や、や、薬物をバラまいたり、し、していますッ!」
「い、今から! こ、この、グループを、し、私人逮捕、します!」
などと、啖呵を切ってカチコミするように言おうとするも、目の前にいるのは十人ほどの厳つい外国人たちであり、彼らが普段“逮捕”している、喧嘩もしたことなさような相手とは比べ物にならないものだ。
「ア? ナンダ? オマエラ?」
「カチコミ、カ?」
「アタマ、オカシイゾ!」
と、案の定、殺意むき出しに苛立った外国人たちにつめ寄られ、Aたちはすぐにボコボコにリンチされてしまう。
まあ、もし一対一であったとしても、結果は同じかもしれないが。
「ボォ、ェェッ――!!」
内蔵破裂して息絶える仲間のそば、
「オイ! ブチ殺セ!」
「ひぃッ! た、頼むッ! ゆ、許して!」
と、Aが命乞いをするも、ボコボコにされる。
そんな中、
――ブシュゥッ……!!
と、無情にも、Aのゴーグルに硫酸が充満する。
「ぎ、ぎゃァァーッ!!!」
絶叫するAを、
「ナ、ナンダッ!?」
「チッ! ヘンナヤツラメ!」
「モウ、ドッカ捨テトケ」
と、外国人たちは気味悪がって、そのままどこかに捨てることにした。
そうして、運がよかったのか悪かったのか、Aは目を失いながらも何とか生き残ってしまったというわけである――
良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)
※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)
『トランス島奇譚』:
洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……
ーーー 作中引用 ーーー
「ああ? それで、人類は進歩して、ついに人類は電脳という“殻”を手に入れ、人体という“制約”から解放される。ゴースト・イン・〇・シェル――、“甲殻”機動隊の夢ね」
「何だい? その、ロブスターとか、蟹とか出てきそうな」
「甲殻アレルギーには、気をつけて――」
と、パク・ソユンがピシッ……と指をキメて、謎トークは終わる。
そうして、
「まあ、とりあえず、なんだい? バカラするなら、しようよ」
「ええ。確率仕掛けの世界を創造した神に、人間の力を見せるわよ」
と、二人はバカラへと向かう。
その後、めちゃめちゃに負けた――




