18 悪質な取り鉄たちが夜の江ノ電で言いそうなセリフ
良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)
※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)
『トランス島奇譚』:
洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……
■■ 6 ■■
夜の、病院。
その一室には、ある男が横たわっていた。
かつては、オラオラしていたと見える、ガタイのよい男。
だが、そのガタイの良さこそ残っているが、彼の目はくり抜かれ、舌も焼かれており、おまけに体中には暴行のあとが惨たらしく残っていた。
そして、意識ははっきりしているという――
苦痛が残りながら、しかし意思疎通しようもないという、生き地獄のような状態。
そこへ、
――ス、タッ……
と、足音がして、綾羅木定祐と上市理可の二人が現れた。
「――!?」
男が、ビクッ――! と動く。
今回の被害で、PTSDになっているのか、敏感に恐怖を感じていた。
「驚かなくていい……」
綾羅木定祐が、近づいて静かに言う。
「ちょっと、今回の事件に関して、調べている者だ」
「貴方から、聞き取りをさせてもらうわ」
と、上市理可も言った。
「……?」
男が、何か言いたげに反応をする。
聞き取りとは、どういうことか?
いま、目も口も失ってしまった状態で、指先も動かせそうにない。
そう考えているところ、
「そんな状態で、どう情報を伝えるというのか――? そう、言いたいのだろう
」
「――!」
と、まさに自分の思考を読み取った綾羅木定祐に、男は驚いた。
「なに、ちょっと、“ある力!を――、妖力というヤツを使わせてもらってな」
綾羅木定祐が、答えながら指を構えた。
その、振り返るところは、こうである――
***
――少し前のこと。
ポーカー・バーをあとにして、
「はぁ……、あんまし、役に立たなかったわね? あの人たちの情報」
と、上市理可が、ため息まじりに言い、
「まったくだ。ほんと、クソだよな。酒代おごったのを考えると、ムカついてくるな」
と、綾羅木定祐が同意する。
どうやら情報代は、酒をおごったくらいである。
「むしろ、こっちがお金ほしいくらい」
また、上市理可が言い、
「ほんそれ。金、金。金だよ、金」
と、悪質な取り鉄たちが夜の江ノ電で言いそうなセリフを、綾羅木定祐が言って文句たれる。
安い情報代で人様から情報を聞いての、この態度と言い草。
この二人は、人間として大事な“ナニカ”が、欠如しているとしか思えないだろう。
それはさておき、
「やれやれ、そしたら、あのドラ〇もん野郎のクソポンコツダヌキにでも連絡してやるか」
「うん、そうだね。仕方ないけど、連絡してあげて」
と、まあ何様かという態度で、二人は妖狐に連絡をとることにする。
綾羅木定祐は電話をかけて、
――プル、ルルル……
と、呼び出し音を、しばらく待つ。
すると、つながって、
「おい、早く出ろよ、クソダヌキ。こっちは疲れてんだぞ」
『はぅ、』
と、妖狐の神楽坂文が、電話に出る。
「毎回しまりのない返事しやがって……。おい、妖具か妖力、貸せ」
『何だ? また、どうしたというのだ?』
「ああ、今回の調査でな……、ちょっと、ガイシャの男から情報を得たいと思ってな――」
と、要件を聞いてくる妖狐に、綾羅木定祐は経緯を話す。
そうして、しばらく――
かくかくしかじかと、伝えたところで、
『――ふむ。それで、生きているガイシャの男から証言を、情報を得るというわけか?』
「ああ、そうだ。何か、あるだろ? このドラ〇もん野郎」
『まあ、あるには“ある”、が――」
「だったら、ちょっと召還せんかい」
と、綾羅木定祐は“頼んだ”。
『やれやれ、仕方ないヤツらめ……』
妖狐が言うと、
――ファ、ァァン……
と、綾羅木定祐と上市理可の二人の前に、スキャニングするオーラとともに、“ナニカ”が現れた。




