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【混沌事件調査】  作者: 石田ヨネ


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17/39

17 そしたら1人でその場所に行って木端みじんにしてくる人

「まあ、そうでしょうね……。だって、複数人のグループの人間たちを相手にしても、目をくり抜いたうえで殺害数する――、なかなかの戦闘力の人間ではないですかね? 旦那」

「確かにな……」

「そのうえで、我々、“界隈”の情報網にも引っかからないってのは、大したもんですよ」

 綾羅木定祐に、餅月三平太が話していると、

「う~ん……、そうすると、困ったのだ! そもそも情報を得れるからと、この変な二人組に聞きに来たというのに、これでは意味がないのだ! ヘケッ!」

「「おい、てめえは、ハ〇太郎ひっこめとけってんだよ! この野郎!」」

 と、突発的にハ〇太郎になる上市理可に、餅月三平太と桜田みおんぬがキレつっこみした。

「――てか、何だよ? 変な二人組って、失礼だな」

「そうよ。貴方の相方、あとで亀甲縛りでもしといていい」

「うん。どうぞー」

 綾羅木定祐が二人に答える。


 ただ、話はそこで行き詰ろうとしているわけで、

「しかし、だ――、そうすると、どうする? 何か、ないのか? おまいら」

「生きている“ガイシャ”は、“いる”んですよね? 綾羅木さん」

 と、桜田みおんぬが聞き、

「ああ……。ただ、奴さんは、目をくり抜かれて舌も焼かれてるんだぞ? どうやって、証言を聞けばいいってんだよ」

「ん――? それなら、旦那たちと協力している、妖狐でしたっけ?」 

「そう、狐さんに、聞けばいいんじゃない」

 と、ここで餅月三平太と桜田みおんぬたちが、妖狐の神楽坂文のことを思い出した。

 だが、ここで、

「おい、お前ら、違うぞ」

「「――へ?」」

 と、いきなりの謎の否定に、餅月三平太と桜田みおんぬがポカンとすると、

「そうよ。キツネじゃなくて、タヌキだよ」

 と、上市理可が言い、

「へ――? 逆、だよね? 妖狐――、キツネよね? 狐耳と尻尾ぐらいしか、妖狐要素ないけど」

「ううん、違うよ。タヌキだよ」

 と、確認するように桜田みおんぬが聞くも、きっぱりと否定する。

「え? 冗談、ですよね? キツネですよね? 旦那」

「だから、違うぞ。キツネじゃなくて、タヌキだって」

 餅月三平太が言うも、かたくなに綾羅木定祐も否定する。

「いや、意地でも、キツネとは言わないんですね……」

「どんだけ嫌いなのよ」

 と、餅月たち二人は、そこで折れてやりつつ、

「とりあえず……、その、キツ――、神楽坂さんの妖力を使えば、意思疎通の困難なガイシャから、何かしらの情報を得れるんじゃないですかね? 旦那」

「まあ、そうだな……? ウザいけど、あのクソポンコツダヌキの妖力でも使ってやるか」

「そうね。仕方ないから、可哀そうだから、使ってあげたほうがいいよ。綾羅木氏」

「人様に頼みごとをする立場なのに、なんて上から目線……」

 と、答える綾羅木定祐と上市理可の二人に、桜田みおんぬが引きつつ絶句する。

 なお、人はないのだが……


 それはさておき、

「そうですね……、ちょうど、我々がボコしたのと同じく、犯罪取り締まりや世直しを謳っていた動画撮影グループが惨殺された事件があったじゃないですか、旦那」

「ああ……? 何か、あったな、そんなの」

 と、餅月三平太の言葉に、綾羅木定祐は“混沌事件”のうちのひとつを思い出す。

 その事件のあらましは、こんな感じだった。

 二週間ほどまえ、世直しを謳いつつも犯罪にあたるシノギをしている動画撮影グループが、例のごとく目をくり抜かれて殺害されていたのが発見された。

 ただ、奇妙なことがあった。

 四人いたグループのうち、二人は別の場所にて、ボコボコにされているのが発見されていたのだが……、調べてみると、何故か、この二人は近隣の外国人犯罪グループの“ヤサ”に襲撃をかけたようだった。


「――外国人グループに、襲撃を?」

 綾羅木定祐が、怪訝な顔で言葉にした。

「みたいですね……。我々の情報筋で聞いてみても、その話は間違いなさそうですね」

「しかし、何で、また――?」

 と、綾羅木定祐は聞くも、

「さあ? よく分からないですね……。何か、突然襲撃しに行ったみたいで……、外国人連中は二人をボコボコにして、そのまま捨てたみたいですが」

「はぁ、」

 と、餅月三平太が答える限り、はっきりしたことは分からず、曖昧に相槌した。

 また、餅月三平太が、

「それで、重要なのは――、そのボコされた一人は、“生きている”みたいじゃないですか」

「そうだな……。まあ、仕方ないか? そしたら、お前らの言うように、証言は、“生きているガイシャ”から得るか」

「そうね、綾羅木氏」

 綾羅木定祐が言って、上市理可が同意した。


 そこで、話はあらかた終わって、

「――で? 俺たちは、これでいいですよね……? 旦那?」 

 と、餅月三平太が、そろそろおいとましたくなって聞いた。

「ああ。とっとと帰れってんだよ、この野郎」 

「ひどッ……!? 旦那が呼んだんじゃないですか、」

「もう、そんなふうに言うと、今度から協力してあげないわよ」

 と、餅月たちは憤りつつも、

「さあ? じゃあ、デートに行くわよ。いい調教ルームのあるホテル、知ってるから」

「ああ、愉しみだな。いっぱい、可愛がってくれよな」

 と、完全に開放されたかのように、ウキウキしながら店を出て行った。

 まあ、「いっぱい可愛がってくれよな」とは、今後の人生であまり聞くことのないセリフだろう。

 残されたテーブルは、静まりかえって、

「……」

「……」

 綾羅木定祐と上市理可の二人も、シュールな顔で沈黙する。

「ああ……? 何か、ムカつくな、あいつら。沢田のア〇キでも召喚して、ロケットランチャーぶっぱなしてもらってこよっかなぁ……?」

「あのッ!? そしたら1人でその場所に行って木端みじんにしてくる人ッ――!?」


良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)


※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)


『トランス島奇譚』:

洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……


ーーー 作中引用 ーーー


 その、ワインボトルにグラスを手にしてパク・ソユンが言う。

「は、ジュースよ? ジュースは、ブドウ味が美味しいのよ」

「いやいや、それ、ワインじゃないか? まだ飲むの?」

「だから、ジュースだって言ってんじゃん? お酒は絶対やめたんだって」

 言いながら、パク・ソユンが早速、グラス一杯のワインを飲む。

 酔い覚まし……とされるラムレーズンのアイスと、赤ワインと――

 いわばこれは、下剤と下痢止めを同時に飲むようなものである。

 まあ、だいたいの確率で、下剤のほうが勝つとのことだが……



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