16 そう、それ。あの『こち亀』の話は、義務教育にするべき
――ここまでが、餅月三平太が振り返って話した内容だった。
話を聞き終わって、
「あっ? 逮捕」
と、綾羅木定祐が言って、唐突に、手錠をするように餅月三平太の腕をグワシッ――! と掴かんだ。
「「あ、逮捕――!?」」
餅月三平太と桜田みおんぬが驚愕する。
「いや、もうさ? 犯人、お前らとかで良くない? めんどいし」
「うん。それいい、綾羅木氏」
かったるそうに振り向いて聞く綾羅木定祐に、上市理可が頷いた。
「「よかねぇよ。てか、何だよ? “とか”って――? 適当すぎんだろ」」
餅月三平太と桜田みおんぬは、二人合わせてつっこんだ。
「まあ、逮捕というのは冗談として、さっさと話を戻せよ、コラ」
「いやいや、旦那がふざけたんじゃないですか……。まあ、とりあえず、犯人は我々じゃないですよ。そもそも、“絞め”はしますが、そこまで粛清することじゃないですし……、ちゃんと警察に引き渡して、世間と司法に裁いてもらうようにしてますし」
自分のおふざけを棚に上げて要求する綾羅木定祐に、まいった様子で餅月三平太が答える。
「――ていうか、何で? そのグループを、絞めるのに至ったわけ?」
上市理可が聞いた。
「ちょっと、我々のほうにも、相談がありましてね。痴漢撲滅を謳って活動している配信者グループが、冤罪をでっち上げているとの情報が、いくつか入ってましてね」
「目に余ったから、私を囮として、今回の“こと”を行なったの」
餅月三平太と、桜田みおんぬが答える。
「しかし、まったく、どうして? 程度の差こそあれ、こうした連中が出てくるんだろうな? ユーチ〇ーバー界隈は」
綾羅木定祐が、某巨大動画サイトで活動して夢見ようとしている人たちを指しながら、疑問を口にした。
「そうですね……、何と言いますかね? 半導体技術、情報技術の進歩によって、世はデジタルによって万人・億人がつながる社会が出来た……。そこに、SNSや動画サイトという強力なプラットフォームがでてくるのも当然で、これで、いわば個人が万人億人と通ずる目、口、耳を手にしたようなものですからね」
と、餅月三平太が答え、
「誰もが撮影者になり、TVが独占していた情報発信という行為ができるようになった――。“そこ”に、やり方次第では、思わぬ商売のチャンスだったり、“シノギ”の余地ができるのも、想像に難くないでしょうね」
と、桜田みおんぬが続いた。
「そのひとつが、私人逮捕――、ってわけか」
綾羅木定祐が、やれやれと、溜め息したそうに言いつつ、
「そもそも、その冤罪をでっちあげてた連中ってのは、前科持ちだろ? その活動を、まじめになったとか、構成して世のために活動して“えらい”とか評価するっての、どうかって話だな」
「そうですね。あくまで、他人に迷惑をかけていたマイナス側の人間が、やっと少しゼロ側に戻って来ただけですしね。世直しをして迷惑をかけたぶんの貢献するよりも、まず、余計な迷惑をかけないほうが先ですね」
と、餅月三平太も同意し、
「あっ? それって、『こ〇亀』の、ずっと真面目に新聞配達してきた少年よりも、不良から構成したヤツのほうがえらく見える話」
と、上市理可が、『こち〇』の“とある有名なエピソード”を思い出した。
「そう、それ。あの『こち亀』の話は、義務教育にすべき」
と、綾羅木定祐が、キメるように言った。
そのまま、綾羅木定祐が、
「――で、話を戻してだ、何か有用な情報はないのか? この野郎」
と、北〇武の映画のセリフによく出てきそうな語尾をつけて、餅月三平太たちに聞いた。
「そうですね……、我々、谷岡組も“この件”について調べているんですが……、まあ、嫌でも、“それなり”に情報は入ってきてますね……」
「それなりって、何だ? この野郎」
「もう、北野〇みたいなセリフ、やめてくださいよ」
と、話を進めようとしない綾羅木定祐に、餅月三平太は嫌そうな顔をしながらも、
「ただ、何と言いますか? この一連の事件――、我々の知る犯罪グループの手によって起こされたというよりかは、何か超人じみた存在や、怪人のような人物の存在を、感じざるを得ないんですよね」
「超人、怪人――、だと?」
と、綾羅木定祐は餅月三平太に、怪訝な顔をした。
良かったら、良くなかってもブクマとかお願いするのだ!(ずんだもん風ボイスで)
※過去作の宣伝(むしろこっちを読んでほしいのだ)
『トランス島奇譚』:
洋上の謎の島、Xパラダイスに招待されたパク・ソユンとドン・ヨンファの二人は奇妙でグロテスクな体験をすることに……




