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【混沌事件調査】  作者: 石田ヨネ


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15/39

15 世間の、なるべく人様に迷惑をかけないように生きようとしている男性諸氏

「ああ”? 俺たちを、私人逮捕だと?」

「ふざけてんじゃねぇぞ? チー牛野郎」

 男たちが怒りをあらわにし、餅月三平太へ襲いかかった――


 ――それで、数分もしないうち……

 そこからは、電光石火のごとくといえる展開だった。

「おらぁッ!!」

 戦闘狂を思わせる、嬉々とした餅月三平太の声とともに、

「ぐがッ!!」

 と、屈強な男の苦悶の声があがる。

 そう、餅月三平太は握りこぶしで顔面をゴン、ゴン――! と殴り、男のひとりの顔面を潰してしまった。

 さらに、餅月三平太は別の屈強な男をつかむ。

「う、うぉぉッ――!?」

 男が叫ぶ。

 それを、まさに瞬殺するがごとく、

 ――スパ、パーンッ――!!

 と、餅月三平太は投げ落とすや、男の腰を床にドンッ――! と、強打させる。

「あ”ぁ”ぁ”ッー!!」

 男は苦悶に絶叫した。

 恐らく、腰かどこかの骨が折れたのだろう。


 そんな、一瞬にして二人がやられる様を見たものだから、当然、

「ひぃぃッ!! か、勘弁してくれぇッ!!」

 と、リーダー格の男が完全に戦意を喪失し、逃げようとする。

 しかし、それを許すほど、餅月三平太も甘くはなく、

「勘弁してくれ――、だと? お前ら、確か、痴漢を許さないんだよな? だったら、相手が強かろうがどうだろうが、痴漢をした人間を私人逮捕しようとするのが筋ってもんじゃないか? あぁ”?」

「ぐっ――!?」

 と、リーダー格の男の胸ぐらをつかみ、つめ寄った。

 その怪力か、片手でつかんでいるにもかかわらず、男の足先は宙に浮いていたが。

「そ、その……、」

 リーダー格の男は、慌てふためいて何か言い訳しようとするも、さらに餅月三平太が男にせまる。

「それとも、最初から痴漢じゃなかった、か――?」

「うっ――!」

 餅月の鬼気せまる圧に、リーダー格の男がビビる。

 そこへ、

「正直に言え」

 と、最終審判のように、餅月三平太が問う。

「す、すみません……、じ、実は……」

 男が、白状しようとした。

 その瞬間、


「あぁ”ん!? 冤罪やってんじゃねぇか!! ボケコラァッ!!」


 と、餅月三平太が瞬間沸騰的にブチ切れ、

 ――ボゴォッ――!!

 と、男の腹部に強烈なパンチを見舞った。

「ボォ!? エ”ェ”ェ”ーッ!!!」

 男は腹部への強烈な苦痛に声をあげる。

 そのまま、男は地面に転がり、

「カッ……!! ァ、ァッ……!!」

 と、まだ続く強烈な痛みに、胃の内容物を吐きそうになりつつ、のたうち回る。

 あともう少し打撃を手加減しなければ、胃を破裂させていただろう。

「おいコラ、この痴漢冤罪犯」

「ぐ、ぅぅッ……!!」

 餅月三平太が、男の髪をつかんで言う。

「実は、な――? 最初から、お前たちが“やってた”証拠は、つかんでんだわ」

 その声を合図として、


「はーい♪ 実は、私が囮でしたー♪」


 と、スーツ姿の女が現れた。

「ッ――!?」

 苦痛に顔を歪めた男が、その姿に驚く。

 女は結ってた髪を解き、硬そうなOLから、夜の蝶のような妖しい雰囲気へとかわる。

 そう――

 囮と言ったように、女の正体こそ、餅月三平太の協力者の桜田みおんぬだった。

 それだけでなく、もう一人現れる。

「――そうだぜ、俺は、お前たちが撮っているのを撮ったぞ」

 と、こちらは餅月三平太とは系統が違って、黒髪にパーマがかった短髪のツーブロックに、筋骨隆々とした背の高い黒のジャージ姿の男、早乙女一花さおとめ・いちかだった。

 その早乙女一花は確かに、揺れる電車内で男たちが餅月三平太を押し、スマホのカメラで手の甲が触れる瞬間を撮ろうとしているのを収めていた。

 また、

「ああ……、あと、私も、こいつらが三平太を嵌めようとしている会話を録音してるわよ」

 と、囮として男たちに近づいた桜田みおんぬも、リーダー格の男に仕込んでいた小型マイクと、その内容をスマホに録音したものを見せる。

「おお、いいね! みおんぬ、一花ちゃん! お前ら、愛してるぜ!」

 仲間二人の仕事に、思わず餅月三平太のテンションがあがる。

「おい、一花ちゃんやめろって、」

 早乙女一花が、嫌そうな顔をしてみせる。


 それはさておき、

「――さて? これで、冤罪の証拠もすべて揃ったな?」

「うっ……! ぐっ……、」

 と、餅月三平太が、再びリーダー格の男にせまる。

「自主しろ。さもないと、今度は内蔵破裂させるか半身不随にするぞ、てめぇら」

「ひぃっ……!! わ、分かりましたッ!! じ、自首します!!」

 鬼にさえ勝るオーラの餅月三平太に、男は心底おののいて言った。

 その男に、

「そもそもな――、女性が痴漢に迷惑しているのは勿論のこと、それと同じくらい、世間の、なるべく人様に迷惑をかけないように生きようとしている男性諸氏も迷惑している――、分かるな?」

「は、はいっ……!」

「痴漢冤罪で自分の人生や大事な人の人生まで台無しにしないため、日々気をつけて満員電車に乗る――。ただでさえ大変な、汗水たらして生きる彼らに、一度世間に迷惑をかけた前科者の貴様たちみたい連中が、痴漢の取り締まりだとかいって余計に迷惑かけんじゃねぇよ」

 と、餅月三平太が言った。

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