表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生きる。

作者: 如月天使

※この話はフィクションです。

「広い宇宙の」

「数あるひとつ」

「青い地球の」

「広い世界で」

「小さな恋の」

「思いは届く」

「小さな……あれ?なんだっけ?」

「はいーれいの負けー!」

「いやこれ勝負だったのかよ…てか毎回言ってるけど、俺って歌は曲調で覚える派だからさ。歌詞とかそんな気にしないんだよ」

「そしたらカラオケ音源でいいやん」

「いやぁ、…それはなんか違うんだよなぁ」

「れいー!ちょっとこっち来て手伝ってー?」

「ほらほらぁ。女の子に呼ばれるぞぉ?早く体育館倉庫に行って跳び箱の準備してきなさい!」

「はぁ……」

「ところでさ、れい。れいは何段まで飛べる?」

「うーん。小学校でやった時以来だからなぁ。でも8段くらいは飛べるんじゃない?」

「それじゃあ、ガンギマッて見とくね。みんなー!れいが8段飛ぶってー!」

「いやだる死ねよ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――

ドンッとロイター板を使い高く俺の体は空を舞う。

冬、ということもあってか顔面や手に当たる空気はとても冷たく、悴んでいる。

そしてそのコンマ数秒後。ドスン、鈍い音が体育館に響いた。明らかにロイター板を使った音では無い、人やボールが高いところから叩きつけられた音だったので、クラスメイトが注目する。そしてさっきよりも大きく同じような音がさらに響くもちろん俺は今見ることなんて…あれ?目の前が暗い。なんで…。

「え?」「……?」「ん?」「れい…?」

様々な音を声と認識した瞬間何が起きたのかも分からず、俺の意識は消えて……


―――――――――――――――――――――――――――――――――


見慣れない天井。独特な匂い。心地よい肌触り。右手になにか握られている感覚。そして左側には…線か?これ。なんなんだこの透明の管。

「あ…」

その瞬間。全て察してしまった。この透明の管は点滴。そう。ここは紛れもなく病院だ。

「あ!起きた!せんせぇーー!」

うん。この声の主は一人しかいないな。俺の彼女の「内田きらり」ただ一人。が、今はそんなことどうでもいいんだ。「今」は。とりあえず、今の状況をこいつに確認し―――

「………?」

あれ?なんだ?上手く言葉が出ない。さらに言うと手足もなんだか違和感が…

すると医師らしき人物が部屋に入ってきた。

「おぉ。起きましたか。おっと。申し遅れました。私はあなたの担当医師の渡部です。鈴木さん。具合はどうですか?」

「あ…えっと…」

「では、簡単に診察させてください。まず、あなたのフルネームを教えてください」

「?…鈴木れいです」

「では次に、あなたが通っている学校

生年月日、そこにいる彼女さんのお名前は分かりますか?」

「えっと…私立桐相(きりしょう)中学校、二千八年六月六日、彼女の名前は内田きらり…」

すると医師の渡部さんは、持っていた紙をじろりと見て、顔を上げた。

「はい。わかりました。記憶喪失ではなさそうです。鈴木さんは学校の体育の授業中、跳び箱の一段目がしっかりとハマっていなくて、地面に落下し頭を強打。さらにそのあと一番目が鈴木さんの頭に落ちてきてさらに強打。計二日強打しています。今の診察から記憶喪失ではないと判断しましたので、とりあえずは安心して大丈夫かと…ただ、一応CTを受けて欲しいのですが…よろしいですか?」

CT…?そこまでするか?頭を強打したくらいで…

「まぁ、はい。わかりました」


―――――――――――――――――――――――――――――――――


「おそらく、頭蓋内(とうがいない)内出血ですね」

単刀直入に、そう告られた。

頭蓋内出血とは頭蓋骨より内側にある部分で、頭蓋骨と脳の間には硬膜、くも膜、軟膜の三枚の膜があり、これらの膜の間、あるいは脳の中に出血を起こすことが原因でなるものだ。

「はぁ…それで、どうすれば…?」

「手術ですかねぇ…」

カチカチと先生がボールペンの音を立てる。

「お金…」

「いや、今はお金の心配をしてる場合ではないんです鈴木さん。今こうやって話せているのも奇跡のようなものです。とりあえず、保護者にすぐ来ていただいて、了承を得たらすぐに手術をしましょう」

まぁもちろん、親からは了承を貰えた。そりゃあ、子供が死にかけているのだから。それが当たり前のようだが、そんなことも叶わない子供たちがいるとなると、考えさせられるな…

「手術時間は約三時間です。全身麻酔を投与して行います。そして――――」

およそ五分後。先生の手術の説明があり、手術室へ運ばれ、全身麻酔を投与され…

気づけば、手術は終わっていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

一応三週間は入院ということなのだが…生憎と入院というものはそんなにいいものでは無い。まず俺は一部屋に二人いるり隣には高校生くらいの女性。まぁ話す話題なんかないので話さないわけなんだが…。それにしても怖いなぁ。もしかしたらまた血管が破けるかもしれないなんて…はぁ。

「あの…」

「ん?…あ、はい。どうかしましたか?」

「暇でしたら、お話したいなと思って…」

お話ぃ?なんでぇ?

「んまぁ、いいですよ」

了承するのだが。

と。次の瞬間。俺は「なぜ入院されているのですか?」という疑問が湧いた。しかしそれは彼女にとって言いにくい内容かもしれないし、せっかくの暇つぶし相手ができたのに一瞬にして消え去るのは俺としても嫌だし。

「ではまず軽く自己紹介から。私は熊谷更紗(さらさ)です。高校三年生です。あなたのお名前は?」

「あぁえっと、俺は鈴木れいです。中学三年生です」

「あらぁ。中学三年生かぁ。受験も近いのに大変だねぇ」

それは熊谷さんも同じような気がするけど…

「えぇ。まぁ俺は一応サッカー推薦で行こうと思ってるので…」

「へー!サッカー上手いんだ!たしかに、体つきが運動できるぞ!っていう感じの体だもんねー」

「いやいやそんな…」

そこで俺らの会話は終わった。

…気まずい沈黙に耐えられないんだが?

あ、そうだ。

「ねぇーちょっと!なんでヘッドホンなんか付けるの!」

「いやだって…なんかもう話し終わった感じでしたし…それと…名前…」

「熊谷でも更紗でも。好きな呼び方でいいよ〜」

「なら更紗で」

会話が弾んできたので俺はヘッドホンをベットに隣接されている机の上に置く。

「え?」

「ん?どうしました?」

「いや、一応私って先輩じゃん。少なくとも君から見たら。だからてっきり『〇〇先輩!』って、呼ばれるのかと…」

「俺、なんか嫌なんすよね。相手がそう呼べって言うなら別ですけど。特に指定がなければ『先輩』をつけるのは好きではないですね」

「えぇ?どぉして?」

「なんか、距離があるみたいじゃないですか」

「私たち、今初めて話したばっかなんですけど…」

「まぁ…そうですけど…」

はぁ。ちょっと話し疲れてきたな。

「そろそろ寝るので…」

「あぁ、そっか。私たち一応病人だしね」

それなら更紗との楽しい生活が続いた。

トランプをしたり、恋バナをしたり、お互いの学校について話したり…

三週間は夢のように早かった。

つまらない入院生活のはずが、彼女という一人の存在で大きく変化した。彼女というのは、ガールフレンドの方ではない。ってかこれ浮気になるのか?

そして、俺は無事退院することが出来た。しかし更紗はというと…

「やぁ」

「あ!れいくーん」

まだ退院出来ていない。たった一週間の仲の一人の男には話せない事情なのか。また、別の理由があり入院しているのか…分からないが彼女は俺の唯一の話し相手だ。

「私ね!来週手術して、その二週間後には退院できるんだって!」

「お、良かったじゃんか」

「退院したら、デートしようね!」

「なぜそうなる」

「まぁた彼女さーん?じゃあ三人で行こ!」

そう。こいつは…更紗は、俺の彼女のきらりと仲が良くなっていた。

「ん…まぁ、それなら…いいか?」

口ではそう言いつつ、内心楽しみにしていた。

そう。これが。この理想が。現実になればいいと思っていた。

次の日。今日も俺はまた彼女の病室に来ていた。

すると彼女はこう言った。

「今がいつまでも続くとは限らないんだよ?もしかしたら明日には『これ』が壊れているかもしれない。だから今を後悔なく生きるんだよ!」

彼女は笑顔で。それでいてどこか悲しそうで。そんな顔で俺に告げた。真意は分からない。けれど一つ分かるとするならば。こいつは俺を大切な人間として見てくれている。そんな人間を失ってたまるか。

そう思ったんだ。そう。俺の真の彼女のきらりと同じくらい、守ってやりたいと。恋愛感情は一切ないが。人としては好意を抱いていたのかもしれない。

そのまた次の日。

彼女がいつもいるベットには布団しかなかった。

俺は急いで更紗の担当医師を捕まえ、事情を聞くと、衝撃の事実を告げられた。

「熊谷さんは昨日の夜。残念なことに他界しました。熊谷さんはステージ四のガンで、昨日まで生きていたことが奇跡だったんです。…」

全てが繋がった。昨日あいつが言っていたことの真意。それは「助けて」というメッセージ。自分が死ぬと言うことを理解していたから俺にあんなことを言ったんだ。

そうするとさらに罪悪感が増す。

更紗は必死に俺に訴えかけてきた。けれど俺はそんなのお構い無しに三人で遊ぶことだけを考えていた。本当にクズだ。


……もう、死にたい。


そう思ったその刹那。脳裏に彼女のとある一言が浮かんだ。

「死にたいなんて、その時の一瞬の気の迷い。結構楽しいことや嬉しいことがあるとその感情はちっぽけですぐに消えちゃう。……よく、自殺したいって言ってる人がいるけど、本当に死にたい人は自殺したいなんて言葉は言わない。その言葉を言う前に死ねばいいのに、彼らはそうしない。それはなぜって?死ぬのが怖いからだよ。本気で死にたい人は死ぬのが怖いという感情よりも自殺したという感情が勝っているはずだもの。だから、れいも周りに自殺をしたがっている人がいたら止めてあげてね。それは君も同じだけど!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――

その今現在存在しない人の声。

その言葉を言ってくれていなかったら、俺は今一人の妻と二人の子供とご飯を食べられていないかもしれない。

これは、俺の人生の中の一つの物語(エピソード)


どうも。如月天使です。何気なく思ったけど私の挨拶、毎回「どうも」じゃない?まぁそんな話は置いておいて。

いかがだったでしょうか!この作品は半年ほど前に友達に見せるために書いたものなのですが、一部文脈を訂正して、いろいろごちゃごちゃしたものがこちらです!気に入っていただけたら幸いです。

さて、私が今メインで書いている「αとβのこいつに恋をした俺」ですが…

ちゃくちゃくと出来てきてます!(なんだ今の間は…)

本当に期待しててください!(ごめんやっぱ嘘)私史上1番の傑作になると思います!(これはホント)

冗談は置いておいて、ここまで読んでくれた方々、貴重な時間を使って読んでいただきありがとうございました。あなたの生き方がこの作品を通して少しでも変わったり、前向きになってくれたら私としては嬉しい限りです。

それでは、次の小説で会いましょう。

チャオ☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ