表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/76

 王族にタメ口を使う男

「あなた、私の騎士になりなさい!」

リナの頭を撫で終わった俺は今、目の前にいるなんかよく分からない意味不明なことを言ってくるお嬢様に呆れていた。

「はっ?」

「『はっ?』とは何ですか?! 『はっ?』とは?!」

「いや、だって俺はお前みたいな奴の騎士なりたくないし……。それに俺はコイツらの稽古で忙しいんだ」

それにいつかは勇者や魔王とも戦ってみたいしな。

「そうでございます。あなたの様な裕福な家庭で育った常識を知らないお嬢様とは違い、ルイス様は日々努力を重ねてお強くなられております。加えて私たち二人の稽古相手にもなってくれております」

リナの頭に乗っている、もこはリナに同意するようにブンブン頭を振っている。

「なっ?! 私が常識を知らないお嬢様ですって?! ソフィア、このいけ好かない男たちに何か言ってやって!」

自分勝手な貴族の娘がそう言うと、側にいたソフィアというメイドが前に出て話し始めた。

「確かに、アリエル様は──朝起こしに行くと寝相が悪くベッドから転げ落ちていたり、色々と問題があり──」

グサグサッ!

うん? 何か今あのお転婆娘から効果音が聞こえたような……。メイドは続ける。

「突然突拍子もないことを言い出して、行動したりと私も本当に疲れます。今日もそれで危険な目に合いました」

グサグサッ!

あっ、やっぱり勘違いじゃないわ。あの娘から効果音が出てるわ。

「それに他にも──」

「ソフィア〜それ以上はめて〜お願いだから〜」

涙で目を潤々させ、ソフィアの服に両膝を付きながら掴み止めてと訴え掛けていた。

「し、失礼しました。アリエル様。つい本音が」「ソ゛フ゛ィ゛ア゛〜゛〜゛!!」

あのメイド、主人に対して容赦ないなぁ〜。

何ともまあ、見るに堪えない光景だな……。

「リナ、帰るぞ。付き合ってられない」

「了解しました」

俺はリナに耳打ちをして、気付かれないように帰ろうとする。

「あの〜、アリエル様よろしいのですか?」

「何よ、ポール。少しは私を慰めてよ」

「あの少年を帰らせて良いのですか?」

「えっ?」

アリエルはポールの方を振り向くと、先ほどまでそこにいた少年が居なくなっていたことに気付いた。

「あ、あいつ、言うだけ言って帰るなんて──」

アリエルは拳にこれでもかと力を入れる。

「ア、アリエル様?」

ソフィアはアリエルに尋ねる。

「──ぜっーーたい、私の騎士にさせるんだから!! あと、まだお礼が言えていないんだから!」

アリエルは空に向かって高らかに叫ぶ。

「まず、お礼を言うのが先だったのでは? アリエル様」

「それは、ソフィアも同じじゃない!!」


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「あなた、私の騎士になりなさい!」

あの小娘めぇ、身の程をまきまえていなのかぁー? 

いくらルイス様がお強いからといって、ルイス様に向かって『あなた、私の騎士になりなさい!』っとは何たる不敬。

普通はルイス様に懇願こんがんしてお願いしますと土下座をするのが筋ってもんでしょうが!

これは、即刻この場で死刑、いや拷問が好ましいわ。

私は頭に血が上り、気づかないうちに拳いっぱいに力を入れていた。

しかし、今はルイス様がお話をしている最中。

ここはルイス様の騎士として怒りを抑えなければ。

「いや、だって俺はお前みたいな奴の騎士なりたくないし……。それに俺はコイツらの稽古で忙しいんだ」

ル、ルイス様が私たちのことを大事にしてくださってくれていることを再認識することが出来ました。

このカリーナこれ以上ない喜びでいっぱいですぅ。

私は心の中で感動して涙を流していた。

きっと、もこも喜んでいることでしょう。

なにせ、私の頭の上で頭をブンブン振っているのだから。

「そうでございます。あなたの様な裕福な家庭で育った常識を知らないお嬢様とは違い、ルイス様は日々努力を重ねてお強くなられております。加えて私たち二人の稽古相手にもなってくれており、忙しいのです」

私は、ルイス様に同意するようにあの貴族の小娘に言うと、納得がいかない様子で側にいたメイドに助けを求めた。

しかし──

「確かに、アリエル様は──朝起こしに行くと寝相が悪くベッドから転げ落ちていたり、色々と問題があり──」

グサグサッ!

あらあら、メイドもメイドでよく分かってるじゃない〜。

これでは、あの小娘が可哀想だわ〜。

まあ、私はそんなこと微塵みじんも思ってないけど。

私は悪魔的笑みを浮かべながら、あの小娘がメイドに家での生活を暴露されて、へたる様子を見ていた。

最終的には、小娘が泣きじゃくる結果となり──

「リナ、帰るぞ。付き合ってられない」

ルイス様があきれた様子で私におっしゃられた。

「了解しました」

そして私はそう返事を返しながら、ルイス様の少し後ろを歩くのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ