白地下着のエルフちゃん
「……オイオマエ……ダイジョウブカ?」
何か……声が……聞こえる……。
でも、私の近くにはもこしか居ないはず。
どこかからか聞こえている謎の声について、私は思い出した。
確かこれは──千精の対話〈フェイシー〉ね。
エルフの特殊能力で、この世に生きている自然のものつまり──動物や植物、また精霊に妖精といった類いとも会話をすることが可能なのだ。
これがあることで、エルフは森にいる敵の位置を正確に把握し、奇襲や迎撃をすることが出来る。
懐かしいな……子供の頃に姉さんから教えてもらったんだっけ。
──でも、この能力は《《己の涙》》と《《特殊な水》》を使用しなければ発現しないはずなのだけれど……
私がそんなことを考えいる間にも、木々たちの会話は続いていた。
「カノジョ……ヒドイケガダ……」
「……ダレガヤッタ?」
「……アノオトコガヤッタ」
「……アァ、アノオトコ」
「……名ハタシカ……《ルイス》ト言ッタカ?」
「アァ、言ッタ……」
ルイス様の事を……話しているの?
「……イマナラアノオトコ……テッツイクダセル」
えっ、な、何を……言って……
「……ワタシタチノ」
「……オレタチノ……《《タイセツナソンザイ》》……キズツケタ」
大切な存在……もしかして私のことかしら?
「ソウダ……ゼッタイニユルサナイッ……!」
「コレハ精霊王サマ二…、オツタエセネバ……。オソラク……ダマッテイナイダロウ……」
「精霊王様ガオワスマデ、オマエタチデ捕エテオケ」
「オイ、アノ蜘蛛ハドウスル?」
「ルイストカ言ウ奴ノ仲間デアロウ。ソイツモ──容赦スルナ!」
「「御意ッ!」」
──ま、まずいわね。このままだとルイス様ともこがっ!
私はもこにこの事を伝えようと、今ある力で必死に口を動かす。
「……もっ……こ……逃げ……て……!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ふんっ、ふ、ふ、ふっ、ふ〜ん♪」
私は左手で荷物を抱え、右手で蜘蛛糸を枝に飛ばし、森の木々の間をスイスイと進んでいた。
「天候が雨だから、獲物が捕れないと心配したけど、杞憂だった。これでルイス様もお悦びになられるはずです」
そんな高揚する気持ちを抑えながら、ルイス様とリナが待つマキキィ樹木へと向かう。
そして、私はマキキィ樹木と戻って来た。
「少し時間がかかったけど、良い収穫もあった」
私は右手に抱えている物を一瞥し、水たまりを避け地面に無事着地。うむ、我ながらいい着地っ!
よし、じゃあ早くこれを使って、ルイス様にお食事を──。
「んっ? あれは──」
私が樹木に入ろうとして、ふと左に振り向くと何やら木の下に人影があった。
「あれは──」
私は魔力探知で瞬時に誰なのか理解する。
「──ッ!?」
私は走り出し木に背を向けて、もたれかかるその人物に話しかけた。
「リナ、大丈夫っ!? リナッ!!」
「……も……こ……」
リナは首を少し傾けて返事をする。
「良かった、意識はあるね。その傷もそうだけど、一体何があったの?」
頭や口からは出血、体には殴られた時に出来た傷、木に打ち付けられた衝撃で外見上はあまり酷くはないけど、骨は何本かイカれてるかも──てか何で鎧も何も身に着けないで白地の下着一枚なの?
そういう趣味でもあるの? どう考えてもおかしいっ!
そして私は一つの答えに行き着く。
──まさか! ルイス様とそんなに激しいプレイをっ!?
「……私のせいなの。私が……ルイス様の……ルイス様の触れてはいけない逆鱗に……触れてしまったから……」
大怪我をしていることは気にもとめず、泣きながら状況を説明するリナを私はただ立って(リナとルイス様の妄想を捗らせながら)話を聞いた。




