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 冒険者ギルト

俺ことルイスは絶賛書類整理中!! その横ではベルファストが懐中時計を見ながら測っていた。

「よーし、終わったー!!」

俺は椅子に座ったまま、ぐーんと腕を伸ばし背伸びをする。

「ルイス様、今日もお疲れ様でした。本日は、昨日よりも少し早く終わられましたね」

俺が背伸びをしているすぐ横でベルファストは俺が終わらせた書類をまとめていた。

「まあ、これくらい大した事ないよ。ちょっとした暇潰しみたいなものだし。なぁ、もこ〜」

俺は頭に乗っかっている、【もこ】の首回りをそっと撫でながら話しかける。

すると、もこはとても気持ち良さそうにしてもっとやってと、おねだりしてくる。

【もこ】とは、先日助けた蜘蛛の魔物に付けた名前だ。どうだ! 俺にしてはとっても可愛いネーミングだと思う。

え? なんで、もこって名前だって? どっちかって言うとゴツゴツだって? 分かってないなぁ〜。

てか、見た目がもこもこだからって理由じゃないし。蜘蛛子からくもこ、くもこからもこ。くを抜いただけだし。

え? 安直にも程があるだと? 良いんだよ! 俺が気に入ったから!

「それにしても、ベルファストは凄いな。書類整理の片手間に紅茶を入れるなんて並のメイドならそんなことは出来ないぞ?」

ベルファストは書類整理の片手間に紅茶を入れるという俺には到底出来ようもない高等テクニックをやってのけていた。

「そうでしょうか? 私にとっては、このくらい普通のことでございますが……」

あらやだ、この子。自覚が無いみたいだわ。っと前世の奥様風に心の中で呟いた。

「ルイス様、本日のご予定はどうなされますか?」

「そうだな、取り敢えずリナともこの武術の稽古かな……」

少し俺は顎に手を当て考える。

「あっ、そうだ!」

「どうかなされましたか? ルイス様」

「今からリナともこを連れて、冒険者ギルドに向かう。ベルファスト残りの雑務は任せたぞ」

「承知致しました。お気を付けて行ってらっしゃいませ」

そう言い、俺は部屋を後にするのだった。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「冒険者ギルドにようこそ! 私は受付を担当している【ステーシー】と申します」

ということで、俺とリナともこは、近くにある冒険者ギルドに来ていた。

「冒険者登録をしたいのだが」

「冒険者登録ですね」

ステーシーは机の中から紙を取り出す。

「では、まずはこちらの紙にお名前の記入をお願いします」

俺は言われるがままに記入しているとき、ふと思った。

「あの、コイツも名前を書くのか?」

俺は頭に乗っているもこに指を指しながら言う。

「えっと〜、人では無いので……大丈夫です」

ステーシーは苦笑しながら言う。

何か変なことでも言っただろうか。

「はい、これで冒険者登録は完了ですね。この冒険者プレートをお受け取り下さい」

俺はステーシーから冒険者プレートを渡された。

「早速なんだが、何か依頼はあるか?」

「そうですね〜。《《ルイスさん》》は今日初めて登録されたので、Fランクからのスタートになりますので、薬草採取とかですかね」

ステーシーがそう言うとリナが口を挟んできた。

「おい、貴様。ルイス様とお呼びしろ。無礼だぞ!」

リナは俺に対して様を付けなかったステーシーに声を声を張り上げる。

「リナ、よせ。俺は冒険者としてここに来ている。普段の俺は貴族でも、ここに来ている以上は冒険者の一人に過ぎない」

「はっ、失礼しました」

「うちの者が失礼した」

俺はステーシーに深々と頭を下げて謝罪する。

全く、忠誠心が高すぎるだろうに。

「い、いや大丈夫ですから! 頭を上げて下さい!」

そう言われたので頭を上げる。

「あの一つ聞いて良いか?」

「はい、答えられる範囲であるば何でもお答えいたします」

そして俺は聞かなければならないことがあるため、ステーシーに聞く。

「冒険者ギルドについて説明を受けていないと思うんだが」

「あ、すみません! うっかりしてました!」

ステーシーは謝り慌てて説明を始める。

「まず、冒険者ギルドには冒険者ランクが存在します。OMG、SSS、SS、S、A、B、C、D、E、Fで冒険者ランクには全部で十段階あります。OMGはオメガ級と言って世界でも片手で数える程度しか存在しません。また、ランクによっても報酬は大きく変わります。討伐依頼は最低でもC以上ではないと受けることは出来ません」

「説明ご苦労。うっかり受付嬢」

「それはもう忘れて下さい!」

ステーシーは顔を少し赤くさせながら怒ってくる。

控えめに言って可愛い。

「じゃあ、今、Fランクの依頼は何があるんだ?」

「そうですねぇ〜、今は薬草採取くらいしかありませんが良いですか?」

「あぁ、それで構わない」

俺は薬草採取の依頼を受けたので早速向かうことにした。

「おーい、そこのお嬢ちゃん。俺たちとパーティー組まねぇか?」

冒険者ギルドから外に出ようとした所で、椅子に座って酒を飲んでいる柄の悪い服を着た三人男たちがリナに話しかけてきていた。

おい、テメェら! 俺の所有物であるリナに気安く話しかけてんじゃねぇよ! このうじ虫共!! 殺すぞゴラァアアア!! という言葉を心の奥底で吐くのを我慢していた。俺、偉い。

「お言葉ですが、私は既にパーティーを組んでおりますので。あなたたちと組むつもりはありません」

リナがキッパリと男たちに向かって言った。

流石、俺の手駒だな。断り方も心得ている。

「良いじゃんかよ〜」っと言うと一人の男は立ち上がりリナに近付いてくる。

すると、周りにいる人たちの話声が聞こえた。

〈おい、アイツらまた絡んでるぞ〉

〈酒癖ほんとに悪すぎだろ〉

〈それに加えて初心者狩りとくる〉

〈今度はあのパーティーか、可哀想に〉

ふむ、どうやらコイツらは評判が悪いみたいだな。

「ヒック、そんなつれねぇこと言うなって。そこにいる《《ガキ》》より気持ち良いこと出来──」

男が言い終える前に、リナのレイピアによる見えないスピードで繰り出される攻撃により首が音もなく斬り落とされた。

「外道が、私の偉大なる恩人であらせられるルイス様に対してガキとは、不敬にも程があるぞ! その言葉、万死に値する!! その罪死んで償え!!」

リナは残った二人の男たちに歩み寄る。

「リナ、そのくらいにしておけ。これ以上騒ぎが大きくなると少々面倒だ」

「承知致しました。ルイス様」

リナはそう言うと、レイピアに付いている血を払い鞘に納める。

それを見た俺は薬草採取に行くため冒険者ギルドを後にした。


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