狂わされた天使たち
◇数分前◇
ソテーリアは両手を頭の上にあげた状態で、天井からつるされた鎖につながれていた。
「ここ……は……」
「全員、お目覚めかな? それじゃあ良い子ちゃんになる矯正のお時間ですよ〜!!」
ルイスは高らかに両手を広げる。
「私たちを矯正なんて無理です」
「どんな拷問だって私たちには効きません」
「強がっていられるのも今のうちさ。じゃあ、まず一人一人──爪を剥いで行くぞ」
俺は椅子に縛り拘束して座らせた一人の少女の前に立った。
「お前が最初だ」
俺はペンチをパチパチさせる。
「──拷問なんて慣れっこです! こんなので屈するはず──あ゛あぁぁあああっ!! 痛い、痛いッ!! 痛いよっ!」
少女は悲鳴を上げる。
「もう少し、静かに──しろッ!」
「ぎゃぁぁああああああッッ!!」
「あれ? オッカシイナ」
俺は少女の右の親指をペンチで挟み、上から下へ下げた。
「あ゛あ゛っ゛!!」
「まだあるぞ? せーっの、えい!」
「あ゛っ゛、あ゛っ゛アァァアアア!!」
俺は勢いよく爪を引き剥がした。
「はい、まず一枚目ね。次行くよ〜えい!」
その後を引き続き、少女の爪を楽しそうに剥がした。そして、最後の手足すべての爪を剥がし終えた。
「はぁ、ハァハァ、ど、どうよ?」
少女はとても顔色が悪かった。
「よく耐えたな、お前は根性があるから《《もう一周なっ》》? ヒール」
「えっ?」
俺は回復魔法を使い、爪を剥がす前の状態まで回復させた。
「本番はここからだよな、天使さん?」
「い、いやっ! やべでぇ! もうやべでぇっ!!」
少女は拷問が永遠に続く恐怖を感じ取り泣きじゃくる。
「ダ〜メッ♡ えい!」
「やべでぇえええええええッッ!!!!」
「く、狂ってる……」
俺は仲間の泣きじゃくる様子を見ている別の少女に目を向ける。
アイツは何を言っているんだ? 散々、自分たちがやってきたことなのにやられる側になったら、止めてと懇願するか……。道理に合わないな、もう少しだけ爪を引き剥がすか。
そして、もう数えるのを止めてからそれなりの時間が経った。
「わ、私……はあなた様、ルイス様の……物です……」
「はい、よく言えました。良い子ちゃんにはご褒美だよ」
俺は精神が狂ってしまっている少女の頭をよしやしと撫でる。
「はい〜、これからもルイス様のために精進いたします」
少女たちは俺の拷問により心を壊した。だから、この少女も笑っているが、精神崩壊を起こしている。
まあ、コイツらはこれくらいでも壊れないだろう。
今後、この判断が彼女たちの自分に対する忠誠心、そしてが行き過ぎることになるとは俺は微塵も思っていなかった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ってことがあったんだよっ!!」
「…………」
ムーはルイスによる拷問の数々の話を聞いて言葉を失っていた。
「それじゃあ、みんな彼女も仲間外れじゃ可哀そうだから仲間に入れてあげてね」
「「「「「はーい!!」」」」」
ぞろぞろとソテーリアはムーに近付く。
「う、嘘……そ、そんな……。みんな、正気に戻って!」
「リーダー、僕たちは至って正気だよ」
「リーダーもきっとすぐにルイス様の良さに気付くよ」
「リーダーは楽にしててよ。動くと余計に痛いから」
少女の一人はムーに目隠しをする。
「い、嫌! みんな止めて!」
ムーは目を目隠しで覆われ、お先真っ暗になる。
「ここをキツくしてっと」
ソテーリアはムーを縄でキツく締めた。
「じゃあ、みんなこのまま当分放置ね」
「「「「はーい!!」」」」
「え、嘘だよね?! このまま、置いてくなんてこと無いよね!?」
しかし、ルイスとソテーリアはもうそこには居なかった。




