第15話 ひとときの安らぎ
「み、見事だ……」
それだけ言うと奴は地面に倒れ、事切れた。
「ハァ……ハァ……」
私は、奴の体に向かって思い切り拳を叩き込んだ。
叩き込んだ拳は槍のごとく貫通し、奴の体に大きな穴を空けた。
「姉さんっ!」
私は呆然とする姉さんに走って近寄り、抱き締める。
「……勝ったのか?」
まだ勝ったことが信じられない様子で姉さんは私に聞いてくる。
「──私たち、勝ったんだよ……」
私は姉さんに間髪入れずに答える。
「……そうか」
「うん」
姉さんと私は、強敵に勝ったことに安堵し、全身から力が抜けて地面に座り込む。
「「ぷっ、ははははははっ!!」」
姉さんと私は、お互いに顔を見合わせながら笑い合う。
「エメラ、私たち……やったんだな……」
「そうだよっ! 姉さん、私たちはやったんだよ!」
私は目から溢れるたくさんの涙を流しながら姉さんを肯定する。
「あっ、雨が──」
私が空を見上げると雨が上がっていることに気付く。
「止んだ、みたいだな。──よっこらしょ!」
「姉さん、体の調子は大丈夫?」
「お前ほどじゃないから大丈夫だ。調子はすこぶる良いぞ!」
「ほら」っと右肩を回して見せる。
「もう、姉さんったら」
私は口角を上げて微笑む。
そのとき──
「「────ッ!!」」
私たちは気配を感じて通路の奥の方へと目を向ける。
すると、コツッ、コツッ、コツッっと足音が聞こえてくる。
「ま、まさか──」
私は忘れていた。私たちではないアイツらと戦っていた存在を。
「ウソだろ、終わったと思ったんだけどな──」
姉さんは顔から冷や汗をだらだらと流しながら苦笑する。
そして血の色に染まったメイド服を着た人物が現れる。
その人物の手には、たくさんの男たちの首がぶら下げられていた。
その中には、あのリーダーの男の首も──。
「お待たせいたしました。遅くなって申し訳ございません。ルイス様」
メイドのベルファストは一言、そう言うのだった。




