ルイス死す
俺は、一瞬の隙を突かれ姉妹の攻撃を受けていた。
だが──
「……うそ──何で一発も当たらないんだ!」
俺は、後ろに下がりながらエメラの姉の攻撃を紙一重で躱す。
「何故か答えてやろう。それは、お前の動きには無駄があり過ぎて、俺の動きには一切の無駄が無いからだ」
俺はそう淡々とエメラの姉に向かって話す。
「クソッ、クソッ、クソオォォォッ!!」
エメラの姉は躍起になり、攻撃が荒くなる。
「姉さん! 相手のペースに乗せられないで!」
エメラは姉にそう言いながら、ナイフを投擲。
「甘い!」
俺はエメラが投擲したナイフを手で弾く。
「なにっ?!」
ナイフを弾くが、投げてきたエメラ本人が消えたのだ。
「甘いのはそっちだ!」
声がする方へ向くと、俺の足元に姿勢を低くしたエメラがいた。
「ナイフは、目くらましか!」
「もう遅い!」
エメラは、腰を低くして素早く俺の足を払う。
足を掛けられた俺は体勢を崩す。
「もらった」
エメラの姉はそんな死亡フラグじみた言葉を発するがもちろん────
「カハッ!!」
俺の心臓には、エメラの姉が振りかざしたナイフが皮膚の表皮・真皮・皮下組織の3層と骨を突き破り、深々と刺さっていた。
「中々、やるじゃねえか!」
「テメェ、まだ生きてんのか!」
エメラの姉は深々と俺の心臓を刺したナイフに力を入れて捻る。
「ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!」
俺は、あまりの痛さに耐えられずに喚き散らかす。
「……こ、これは……痛い……な……」
「お、お前まだ生きてんのかよ!?」
エメラの姉は俺の異常な生命力に驚愕する。
「お、俺は……この程度で……死ぬ……訳が──」
言い終える前に、俺は何かに胸を貫かれた。
「み、見事だ……」
俺は、口から血を吐き出しながら地面に倒れ込んだ。




