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 プロローグ

 俺の名前はルイス・フェイト・バハリエリ。

 貴族バハリエリ家の息子である。


 今、俺はスラム街に一人で来ている。何故、スラム街に来てるかって? 親に捨てられた子供たちを助けるためさ。まあ、それは建前なんだけど。


 本当は自分の駒を増やすために、わざわざスラム街にまで来て探している。

 え? そもそもどうやって仲間にするかって? 

おいおい、そんな簡単なことも分からないのか。

特別に教えてやろう。


 まず最初に貧しい子供を探す。二つ目にその貧しい子供を絶望から救ってやる。

 この時に攻撃してきた場合はしっかりと上下関係を分からせる。

 こう見えても、俺は結構強いんだぜ。だって転生者だもん。


 そうすることで、そいつは助けてくれた俺に恩返しをしようとする。

 結果、絶対に裏切らない忠誠心が高い駒の完成よ。

 だけど、忠誠心が高すぎるのも問題だけどな。

 まあ、そこら辺は、何とかするよ。何せ、この世界にはアンドロイドがあるんだから。


 ここまで話した所で、子供を見つけたので、助けに行ってきまーす!

 俺はそこかしこから俺を獲物と見ているスラム民たちに威圧し牽制(けんせい)しながら向かった。


   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


 俺は、スラム街の路地で段ボールの上に座り、ナイフを回している金髪エルフの少女を見つけたので歩み寄る。

「……ん? 何だテメェは? 何の用だ?」

 自分に近付いて来た俺を金髪エルフは鋭い眼光で睨みつけてきた。

「俺に付いて来い。そうするなら、最低限の生活は保障しよう」

 俺は金髪エルフに手を差し出す。

「……お前何言ってんだ? ワタシのことを舐めてんのか? スラムの奴ならそう言えば、ホイホイ付いて行くとそう思ってんのか?」

「いーや、別にそうは思わないな。仕方ない、お前みたいな奴は実力で上下をハッキリ分からした方が良さそうだな」

「……お前、ワタシのことガチで舐めんてんだろ?」

 金髪エルフは少し短気のようだ。ならこのまま怒らせよう。

「えー、別に舐めてはないゾウ。ただお前みたいな     奴は可哀想だから、俺様がしかたなーく、ほんとにしかたなーくお前に慈悲(じひ)をかけてやっただけだゾウー。ぱお~ん!」

 変顔しながら金髪エルフをこれでもかと煽ってやった。

「テメェっ! ガチで殺す──」

 煽ってやったら、ノってくれたようだ。

「そうこなくっちゃな!」

 金髪エルフは手に持っているナイフで、俺の急所の心臓目掛けて突進してきた。もちろん、それを予測していた俺は軽々と躱し、その横を歩いてすり抜けた。

「っ!?」

「遅いな」

「ナメんな!」

 金髪エルフは声を荒げる。さらに攻撃が激しくなるが、俺はあいも変わらず攻撃を安々と(かわ)す。

「ハアッ、ハアッ、クソッ!」

「息を切らしているようだが、大丈夫か? 俺はまだ切れてすらいないんだが?」

「ほざけ!」

 金髪エルフは再度俺の心臓をナイフで突き刺すために、突進して来たので俺は腕を掴み、背負投(せおいなげ)を喰らわした。

「ガハッ……!!」

 金髪エルフは俺の背負投をまともに喰らい悶えた。

「どうだ? まだやるか?」

「……テメェは……一体何者なんだよ!」

 金髪エルフは息を切らしながら途切れ途切れに、大声で叫んだ。

「俺はただのそこらにいる貴族の坊っちゃんだよ」

「……どこの貴族の坊ちゃんがこんなに強いんだよ。どこまでも洗練された動きで私の攻撃を避けれる奴がいるかよ」

「ところでさっきの質問に答えてもらえるか? 俺に付いてくるか、否か」

「はぁ、ったく。分かったよ、テメェに付いて行けばいいんだろ?」

「随分と素直なんだな」

 俺はエルフの少女から手を離そうとする。

 すると、彼女は突然ニヤけた。

「──バーカッ!!」

 彼女は俺が手を緩めた隙をついて、反対の手で隠し持っていたナイフを腕に突き刺してきた……のだが。

「うん?」

 俺の手から抜けようと体を動かすも、一向に抜けられず、疑問を抱く金髪エルフ。

「ナイフを腕に刺して痛がっている隙に、抜けようとする作戦は良かった。──だが、それは俺には通用しない」

「このクソがぁああああっ!!」

 エルフの少女はナイフを引き抜いて、脱出を試みるが……。

「嘘……何で、どうして……」

 俺に突き刺されたナイフは、彼女が引き抜こうと力を込めるもビクともしない。

「なんで抜けねぇんだよっ!!」

 少女は、ナイフはもうダメだと悟り、素手を使っての反撃を始める。

 彼女の拳は俺の顔面を集中的に狙ってきた。

「これが、殴り合いか。中々に痛いな」

 俺はエルフの少女が殴り疲れるその時まで殴られ続けた。

「ハァハァ、ハァハァ、こんなに殴られて……どうして立っていられるんだよ。これでも、私の戦闘力はこの国では二個旅団並だぞ」

「ハァハァ……例えそうだったとしても、この体勢でお前は本領を発揮することが出来ない。──あくまでも、その戦闘力は身動きが取れる状態でのもの……つまり、今この状況でのお前の戦闘力は──俺たち子供と同等だ。……さーてとっ!」

「う゛っ!」

 俺は仰向けのエルフの少女に馬乗りになった。

「お前、私に何をするつもりだ!」

「そうだな、一方的にお前を殴る……とか?」

「そうかい、なら好きに殴りな! 私はもうお前を散々殴って疲れた」

「…………気が変わった」

「何?」

 俺は空間から飲み物の入った試験管を取り出す。

「飲め」

「はっ?」

「飲まないなら、口移しでこの俺が直々に無理やり飲まそうか?」

「ふんっ」

 俺が口元に試験管を近づけると彼女は仕方なく前者を選びその液体に口をつけた。

「これでいいかよ」

「あぁ、それでいい。クックックッ」

「気持ち悪りぃ、笑いかた……だ……うっ!」

 どうやら、異変が現れ始めたようだ。

「分かってはいたが……私に……何をした」

「単純明快なことさ、お前の飲んだものには、腹が一瞬で水に満たされる効果がある」

「たった、それだけか?」

「たった、それだけだが、今からやることにおいて効果は十分だ」

 俺は金髪のエルフ少女のお腹辺りを思い切り殴る。

「ガハッ!」

 腹にパンチを食らわされた瞬間、彼女は嘔吐した。

「ほらな、予想──」

 当然、馬乗りなっていた俺にもエルフ少女の吐き出し物が顔面に直撃した。

「俺は何で気付かなかったんだ……馬乗りになったら必然的に汚物を浴びると……」

「ハハッ、アンタもしかして、アホなのか?」

 ピキンッ!

「うあああ!!」

「黙れ、黙れ、黙れ、黙゛れ゛!!」

「ガバッ、ゴホッ、ゲホッ!!」

 俺は頭にきていたためコイツの嘔吐物で汚れても何も感じなくなった。

「──さぁ、第二ラウンド」


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


「懲りたか?」

「……は、はひっ」

「俺に着いてくるか?」

「はひ、ふいてひひはふ。へほ、ひゅほひひゃふはへへふへ」


「俺はルイス・フェイト・バハリエリだ。お前の名前は?」

 少し時間が経ってもとに戻った金髪エルフに手を差し伸べる。

「──カリーナ・ランセル。国同士の争いで負けた落ちこぼれのスラム民さ」

「カリーナそれじゃあ、まずはその言葉遣いを直して敬語を覚えろ」

「ゲッ! マジすか、ルイス様」

カリーナは俺を様付けで呼んだ。うん、従順になって悪くないな。

「大マジだ。これから俺が厳しく教育していくから覚悟しておけ!」

 これが俺とカリーナとの出会いだった──



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