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異世界に来たので次こそ努力します  作者: かたな
異世界に召喚されました
3/42

入っちゃいけないところに入っちゃいました

「じゃあ、男子はこっちのほうで女の子たちは反対側の通路のほうね」


 紫苑が話を仕切り、部屋を決める。

 中央の階段を上ると左右に廊下が伸びていた。そして左右どちらも等間隔に部屋のドアが6つほどあり、中を確認すると寝室になっていた。俺たち男子三人は階段を上って右側に、女子は左側に向かった。


「俺は、一番奥に入るわ。紫苑と大輔はどうする?」

「俺、角部屋欲しかったけどなぁ...まあ、どうでもいいわ、じゃあ俺は竜胆の一つ飛ばし横にするわ」

「じゃあ、オレは紫苑先輩の部屋の一つ飛ばしにするッス」


 女子たちはまだ話し合っているようだが、俺たちは一応話し合いが終わった。結局一つ飛ばしに部屋はなった。男子は人数が少なくちょうどいい感じに部屋決めできることが良かった。


「じゃあ、解散するか」


 俺たちは紫苑に賛成して解散した。

 俺は早速部屋に入った。改めて部屋の中を見渡してみると、ベッドが一つに机といすのセットが一つ、あとはタンスと棚があるだけの質素な部屋だ。しかしながら、その品質自体は一流のものが使われているように思われる。照明は机の上に置かれている淡く光っている石が卓上の照明器具についているものだけだ。今の時間は部屋に入って右側にある大きな両開きの窓があり、それが採光しているため明るいが夜になると光が足りないように感じられる。卓上での作業はできるだろうが、部屋全体を照らすことは厳しそうだ。


「まあ、とりあえず荷物を片付けるか......」


 今持っている教科書が入っているリュックを下ろし、ヘルメット、グローブとともに棚に入れた。......いや、リュックは使えそうだから中身を出して出しておくか。異世界に来た今、大学の教科書はあまり意味がないがリュックは一応荷物を運ぶこともできるし登山用のかなり大きいの使っていたため、これだけは片付けずに出しておくことにした。


「さてこれからどうするかな?......とりあえず時間まで城内を探索してみるか」


 俺は、何かこの世界のことが分かるかもしれないと思い屋敷を出て城内に戻ってみることにした。そして、一応何かあったら思いリュックサックを背負っていく。



☆☆☆☆☆



 城内に入りおおよそ一時間ほど時間がたった。腕時計の時間は合っていないが時間を計るくらいなら、一時間、一分、一秒が変わっていないなら正確な地球の時計はできる。

 城内はかなりの広さがあり、いまさらながら紫苑を連れて探索すればよかったと後悔する。ただ、城内にはそこそこの人がおり(とは言っても使用人さんや騎士の人が多い)話しかけてくれる人が時々いて楽しかった。特に厨房に迷い込んだ時には休憩でまかないを食べていたおばちゃんやおじさん達にあったが、いやな顔や鬱陶しいといった顔をせず話しかけてきてくれた。そして、本当にたまたま偶然空腹な状況で、たまたまお腹が鳴ってしまった。


「食べていくか?ここはいいもの使ってるし、まかないとはいえ手は抜いていないからおいしいぞ」


 すると、料理長風の豪快で大柄のおっさんが俺にまかないをよそおってくれた。パンとちょっとした肉の煮込み料理を出してくれた。ここはご厚意に応じて食べると何の肉かは分からないが、元の世界に負けないおいしさだった。

 食後には一口サイズのショートケーキまで食べさせてもらい、お礼を言い厨房をあとにしようとするとおばちゃんに止められた。少しばかり奥に行って戻ってくると二つのリンゴに似た果実を持ってきた。


「あまりだから持っていきな」

「いいんですか?」

「今日中に食べないといけないけど、私たちでは処分できないからね。私たちを助けると思って持って行っておくれ」

「ありがとうございます、それでは今度こそ失礼しました。まかない美味しかったです」


 結局まかないとケーキと果物をご馳走になった。これからもお世話になるだろうから名前を聞いとけばよかった。


 リンゴをリュックに入れ厨房を出た後、さらに城内を巡りおおよそこの城がどうなっているか分かった。簡単なマップとしては中央に主な機関を揃えた城があり、その左右と後ろに練兵所、闘技場?訓練所?があり、そして迷い込んだ大規模な厨房がある。また、中央の城は騎士に止められずに入れた場所だけで3階はあった。しかし、外観を入る前に見たがもっと高く見えた。特に中央と四隅の塔はかなりの高さがあるように見えた。

 そして今、一階の階段を降り地下に来たのだがただ長い廊下が続いていた。進んでいくと突き当りに大きな扉があった。ここに入ってはいけないような気がするが、入ってみたいという興味もある。それに今まで本当に入っていけない部屋にはドアの前に使用人さんや騎士の人たちが待機していたがこの扉の前には誰もいない。つまりは入ってもいいってことか。


「入ってみるか。それで怒られたらそれはその時...か」


 俺は意を決して扉を開け、中に入った。すると目に飛び込んできたのは大量の整然とした本棚だった。中は少しほこり臭いが石の照明が天井にはめ込まれており、地下にしては明るい。それに本棚の本はきちんと管理がされているように見受けられる。どうやら図書館のようだ。

 ここで俺は屋敷で執事さんが図書館に入らないように言っていたのを思い出した。入るなということは何か良くないことがあるに違いない!ここから出なきゃ......。

 後ろを振り返り図書館を出ようとすると......バタン!何もしてないのにひとりでに扉が閉まった。そして...。


「だ~れ?わたしの睡眠時間を邪魔するのは~」


 後ろから不機嫌な様子の女の子の声と並々ならぬ気配が漂ってきた。体中から汗が噴き出てき、走馬灯が見える。短い人生だったがせめてこの気配を誰が出しているのか知りたい。

 恐る恐る後ろを向き直ると枕を抱えた、ロリという言葉が似合う可愛らしい少女が立っていた。

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