信号機
「里の湯のすぐ近くにある大通りですけど、駅からお店に向かってくる際に縦型の信号機がありますよね番台。 あれ珍しくないですか?」
「確かに縦の信号機って滅多に見ないねぇー」
「スマホで調べてみたら雪国では縦型の信号機が一般的だそうです。 なんでも視認性の確保や雪の積雪で信号機が倒壊しないようにするためだとか」
「雪の積雪って頭痛が痛いみたいなことになってるよ」
「逆に歩行者用の信号機は縦型しか見たことないですよね~」
「スルーかいっ」
「そういえば歩行者用の信号機といえば小学生の頃、ちょっとした騒動があったんですよ」
「何、信号機が出たり消えたりでもしてたの?」
「そんな心霊現象じゃないですよ~。 まぁ一種の心霊現象かもしれませんけど……」
「信号機で心霊現象って……」
「えぇ、言い出した本人がその言い様ですか!? まぁ良いでしょう」
「良いんかい」
「小学校の高学年の頃、言わゆるお受験組に分類される子達がいたんです。 彼らとある日何故か信号機の話題になったんですよ」
「ほうほう」
「それで歩行者用の信号機について赤信号が下段、青信号が上段だろって一人が言い始めたんですよ」
「まぁ普通に逆だよね」
「ところが他の子たちも同じことを言い出して歩行者用信号は『青が上で赤が下』と揃って口にし始めたんですよ」
「はぇ~」
「終いには関係なかった色々な子たちまでが同じだと主張し始めてある種の騒ぎなりまして……」
「面白いクラスだね~」
「それで学校の目の前に歩行者信号機が普通にあったので実際に皆で確認しに行くことになったんです」
「まさか……」
「そして信号機を実際に確認したらやはり赤が上段で青が下段でした」
「何もないんかーい」
「皆それまで意気揚々と青が上段・赤が下段と唱えていたのにそれを見て下を向いて黙り込んでしまいました」
「まぁ、それはねぇ」
「あの謎の思い込み現象はいったい何だったのか今でも謎です。 お受験組の子達が勉強のし過ぎで疲れていたんでしょうかね」
「かもしれないね」
「何が怖かったというと当初関係なかった子たちまでが何故か間違いに賛同しだして、しかも正しいと思い込んでいたことですね。 新しく登場したものならまだしも生まれた時からずっと存在していて外に出れば必ず1回は目にする物なのに……」
「確かにそう考えると怖いねそれ」
「どういった集団心理が作用したのか、はたまた何かに取り憑かれたのかわかりませんが、そんなことがありましたとさ」
「でも確かに何でもない流れで認識が作られるというのは怖いね」
「赤信号は皆で渡れば怖くなくても渡っちゃ駄目ですよ。 普通に車やバイクに轢かれて終わりの可能性が高いですからね!」
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