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28話 新生☆五条 椿

ちょいちょいスランプに陥ってますが、気長に待ってくださると嬉しいです……汗

「これは……どういうことなの……」



 あの波乱の遠足から土日を挟んで月曜日。

 結局あの遠足の後泥まみれの服で帰宅した椿は、お母様にこっぴどく叱られたのだった。

 令嬢としてあるまじき〜だかアルマジロだか知らないけど、普段怒らない人が怒るとこんなにも怖いのかと痛感した。

 娘に甘いお父様も今回ばかりは助け舟が出せなかったようで、楓お兄様に事情を説明してもらわなければ、淑女教育という名のお説教が延々と続いたのであろう。



「無事だったからよかったものの、お母様も僕も椿が心配なんだよ」



 「だから、あまり無茶をしないように」なんて、お父様にも困り顔で言われてしまった。


 お説教もほどほどに終わり、椿はこの土日を、『月曜から千鶴子のことを堂々と千鶴子ちゃんと呼んでもいいのか』という問題について考えることに費やしていたのだが……。


 学校に着くなり、椿は頬をぴくぴくと引き攣らせることになったのだ。



「ごっ、五条さんおはよう!」



 少し離れた木の影から突然ひょっこり顔を出しては、挨拶をする男子生徒。



「つつつつ椿様! ごきげんよう!」



 突然2メートルほどの距離まで駆け寄ってきては、挨拶をするなり脱兎のごとく逃げていく女子生徒。



「ご、ごきげんよう……?」



 そしてまるでお化け屋敷にいるかのようにビクビクしながら歩く椿。



 そう、これだ。

 みな、遠巻きに、一定の距離をとって声をかけてくるのだ。

 入学当初から遠足まで、クラスで星野くんや千鶴子以外と言葉を交わしたことはほとんどなかった(話したうち八割は千鶴子や星野くん、一割は千鶴子の取り巻きさん方、残りはメガネくん含むクラスメイトの業務連絡的なものだ)。

 おはよう、ごきげんようの挨拶さえ数える程しか交わさなかったのに、今日の朝数十分でゆうに新記録達成である。

 ちなみにこれで数え始めて20人目である。

 

 

「よかったじゃない、椿。モテモテね」



 今日も校門で待ち合わせた三葉は、相も変わらずの傍観者面、ニヤニヤ面だ。

 


「モテモテっていうより、珍獣扱いだよ、これじゃあ……」



 二人で歩いていると、三葉の方は「ごきげんよう、長篠さん」「あら、ごきげんよう」などと自然な挨拶を交わしているのに、椿ときたら「つっ、つつつつつつ椿様!! ごっ、ごごきごきげんよう!!」「ご、ごきげんよう……」と、遠くから投げかけられる挨拶にたじたじと返すばかり。

 小学校デビューを盛大に失敗した感が否めない。


 今までは遠巻きにされる理由を必死に探していたのに、今は急に声をかけられるようになった理由を探しているのだから、人生何があるかわからない。この世に生まれ落ちて6年足らずで何があるかわからないといっているくらいだから、きっとこの先は波乱万丈の人生だ。


 にしても、いくらなんでも急すぎない? このまま鳳翔学園の女番長ルートかと思ってたのに、いきなり高嶺の花子さん化したの? 

 どうしようサインとか練習した方がいいのかな。



「あー……椿? どうせしょうもないこと考えてるんだろうけど、顔が変よ」



 顔が変とは失礼な。こんな美少女捕まえて。



「いやまあ、流石にサインは要らないかなーとは思うけど……」


「はぁ? サイン?」


「や、こっちの話……」




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なにか声をかけていただけると死ぬほど喜びます。

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