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「鳥が、しゃべった!」
「そりゃ、しゃべりますよ。こうくんだってパパだってママだって、しゃべるでしょう?」
おばあちゃんはこともなげに言います。言われてみれば確かにそうだなあ、とこうくんは思いました。
「さて、じゃあ翼を作らないとね」
おばあちゃんは立ち上がると、押し入れをあけて、ごそごそと何かを探し始めました。
「ああ、あったあった。これでどうかしら」
それは、真っ白な大きい布でした。おばあちゃんは、一緒におはりばこを持ってくると、じょきじょきとその布を切り始めます。何を作るのかと、こうくんは興味津々でその手元を見守っていました。
「ふう。こんなものかしらね。じゃあこうくん、ランドセルを持っておいで」
こうくんは言われた通りに、自分のランドセルを持ってきます。おばあちゃんに買ってもらった、青いランドセルです。
「はい」
「貸してごらん」
渡されたランドセルに、おばあちゃんは切った布をちくちくと縫い付けました。右に一つ。左に一つ。大きな白い布がランドセルの両側につきました。
「さあ、これを背負って」
こうくんがランドセルを背負うと、白い布がぱあ、っと広がりました。それは、二枚の翼でした。
「わあっ!」
こうくんが驚いていると、その翼はばたばたと動き始めます。
「さあ、行くよ。こうくん」
庭から飛び立った小鳥が言いました。おばあちゃんがこうくんの手を握ると、ふわりと二人は空中に浮かびます。
「あっ、おばあちゃん飛んだよ! すごい、僕、鳥になっちゃった!」
すうい、とこうくんたちはお空へ舞い上がります。青い青い空を、二人は小鳥について飛んでいきました。びゅんびゅんと風の音がします。
「うわあ、高いね。君は、いつもこんなところを飛んでいるの?」
「そうだよ。今日みたいに晴れた日は気持ちいいけど、雨だと大変だね。なにせ、はねもしっぽもびしょ濡れになっちゃうからね。けれどもっと大変なのは、強い風の日さ。あっという間に遠くまで飛ばされちゃうんだ」
「ふーん。鳥もなかなか大変なんだね」
こうくんは、わかったようなことを言ってうんうんとうなずきました。
「こうくん、お山へ散歩に行こうか」
おばあちゃんはこうくんに言いました。
こうくんの家から歩いて30分くらいのところに、小高い丘があります。そこをこうくんたちは、山とよんで、よくおばあちゃんと散歩に行きました。
「うん、行こう。今日は、空からのお散歩だね」
「そうだね」