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第4話 ライバル出現!?

  「みさちゃんさー、私も鉄道研究部見に行っていい?いずみくんにも会いたいし。」

 

 昼休み中、みさきが昨日の出来事を話したら陽子も行ってみたくなったようである。

 放課後になり入部届を持って二人で部室に向かうことにした。例の怖い渡り廊下に差しかかるが、陽子も怖い噂を知ってか知らずかそこから見える景色を楽しんでいた。

 

 「いつもの校舎からは見えない景色だね。」


 旧校舎に入り部室のある2階へ下りる。すると、渡り廊下付近から悲鳴が聞こえる。


  「ひぇぇー!」


 二人は怖い噂を信じていなかったので、それが本当かもしれないと思うのであった。悲鳴をあまり気にしないようにして部室に入る。陽子は入るなりいずみを見つけ、


  「あ、いずみくんだー、私のこと覚えてる?」


  「んーっと・・・・陽子ちゃん?」


 いずみはしばらく考えて思い出したようである。

 小学校時代、ままごとを三人でやったとき一番乗り気だったのはいずみだったり、虫をよく捕まえて遊んでいたのはみさきだったりと思い出話に花を咲かせる。会話が盛り上がってきたところで、


  「あーーーーーっ!ナニいずみ様と・・・親しげにしてんのよ・・・高石みさき!」


 静かな旧校舎で急に見知らぬ女子に大声出されたのでみんなビックリ。その女子を見ると少し涙目で息が荒れていた。なぜそうなのか不思議に思っていると、


  「あの渡り廊下いっぱい出る・・・じゃない!虫が・・・・」


 いっぱい出るという言葉に心霊系かと一同凍りついたが、虫ということでみんなひと安心。どうやら虫が苦手で先ほどの悲鳴もこの女子からだったようである。渡り廊下はあまり掃除が行き届いていないので、ゴキブリや巨大クモ、森からの虫たちがやって来る。虫嫌いにはたまったものではない。するとあとから部室にやってきた孝子が苦笑いしながら、


  「あそこ出るのよね~。ホント嫌んなっちゃう・・・、それでこの子は入部希望?」


 突然部室にやってきた女子は何者なのか、いずみを“様”付けで呼び、みさきをフルネームで呼び捨てにしている。って誰?みさきが不思議に思っていると女子が強い口調で、


  「あんたと同じクラスで同じ中学の高野たかのさくらよ!」


 みさきの名前を知っていて当然である。当のみさきは全然覚えていない。同じクラスなのに覚えていないとは怒られても仕方ない。しかし、さくらが怒っているのは覚えられていないことではないようで、


  「いずみ様をたぶらかそうなんて、私が許さないからね、バーカバーカ。」


 さくらがそう言うと走り去ってしまった。どうやら、いずみに片想いをしていて親しげに話すみさきに中学時代からジェラシーを燃やしていたようである。みさきが時折感じていた誰かの視線は、いずみの元へ行くみさきの様子を伺うさくらだったようである。みんながあっけにとられていると、


  「ひぇぇー!虫ー!」


 遠くから悲鳴が聞こえる。さくらが渡り廊下を渡って新校舎へ戻るときにまた虫に遭遇したようである。すると陽子が何か落ちているものに気付く。


  「あれ?これって高野さんの入部届じゃない?」


 さくらが走り去るときに入部届の用紙を落としていったようである。あの走り方では追いつけそうにない。

 用紙の希望部活欄を見てみると“鉄道研究部”と書いてある。入部動機はいずみに会うだけの不純な動機なのか、それとも本当に鉄道が好きなのかこの時点では分からない。どっちにせよ部員不足が深刻な鉄道研究部において入部してもらえるだけでもありがたいのだが・・・。

孝子は少し戸惑った表情で、


  「あ、あの子また来るかしら。」


 入部するかもしれない人材を逃す手はないのだが、とりあえず様子を見ることにした。もし入部する気ならまた来ると信じて。そして、みさきはさくらにライバル視されていたことに初めて気付づくのであった。


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