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十八話 小次郎の微妙なフリマ生活

建物を出て車に向かった小次郎はリアハッチを開放した。

リフトアッップした車体の為、少々乗り降りがし辛いがヒッチメンバーを足場にして内部にギチギチに積まれた段ボール箱を取り出して行く。

クラウスの指示で体格の良い男が2人付いてくれたので、スムーズに荷下しが進んでいく。


ダンボールにして大小約20数箱、殆どは衣服等のアパレル物やバッグとかポーチだが革細工も出てきた。

(よくもまあ、これだけ積んだよな)と小次郎自身、感心する。

ジュエリー関係の箱は奥地の最下層に半ば潰れていたが発見できた。


残りは武術用の道具、工具や小型旋盤と金属材料、小型発電機とモデルガン数丁。。。バイクの部品類はそのまま車内に残す事にした。


《この箱は全て商品なのですか?》

荷下しが済んだ段ボール箱を見ながらクラウスは小次郎に声をかけた。

紙で出来た箱が珍しいらしく、箱を触っている。


「はい、殆どは衣類ですがバッグや食器、革細工の小物等もあります」

幾つかの箱を開けて答えつつ、中身を出して見せる。


《ふむ、とても柔らかく・・・しかもよく伸びる変わった生地ですな、しかもとても肌理が細かい》

渡したTシャツを触っているクラウスは腕が折れているのも忘れたかのように真剣な表情で確認している。

他の従業員達も集まりだしてクラウスと何か囁きあっている。


「衣類は14箱、バッグ等は2箱、食器と革製品は1箱づつ有ります。如何でしょう、正直大量に仕入れすぎてこちらも少々手に余っているのです。気に入って頂けたのなら私が使用する分を除いて、買い取って頂けると助かるのですが」


《むう・・・これだけ品質の良い生地を使用しているとなると値段もそれなりに・・・》

クラウスは青いシャツを触りながら渋い顔をしている。


「今回見て頂きたい商品は銀製品と宝石類が主ですから、衣類はオマケと考えてください。

納得行く値段を提示していただけるようでしたら、そちらの言い値でも構わないと思っていますので」


《むむむ・・・そうですか、ではこの衣類に関しては店の者達に検品させる事にしましょう》

そう言い目配せをすると従業員達はそれぞれ箱を奥へ運んでいった。


「さてと、この4箱が銀物と宝石類になります。それぞれ2箱ですが銀物は重量があるので中身はそんなに入ってはいません」

《そうですか、こちらの2箱が宝石類という事ですね?》

「はい、こんなのが大量に入れてあります」


そう言いながら、箱から2mm大の宝石が詰まった袋を出して渡した。


《《《《・・・・・・》》》》


どさっと重い音が後ろからしたので振り返るとニィーナさんとアイリスが倒れていた。


慌ててアイリスを抱き起こすと美しいアイリスの顔が驚愕の表情に歪んだままヒクヒクと痙攣している。

振り返ってニィーナさんを見ると同じような表情を浮かべながらクラウスに抱き起こされているところだった。


とりあえず、ニィーナさんとアイリスを運びソファーに寝かせた後

荷物を部屋に運び込んでクラウスさんに検品をしてもらうことにした。


《オオヒラ様・・・あなたはいったい何者ですか》

困ったような顔をしたクラウスが尋ねてきた。


「何者と言われましても困ります」


《私も長い事商人をしてきましたが、これ程の宝石を在庫として持ち合わせている者を知りません。

量もですが品質に於いても常軌を逸していると言って良い。

一瞬、盗品ではと思いましたが、これだけの品質の物なら盗品の情報が回っている筈ですし、量が有りすぎる》


「先程も言いましたが、私の国では人工的に作り出すことが出来ますので価値が低いのですよ。

この1000個入りの物などは、数粒とパン1つの金額がほぼ同価値です、運が良ければ大粒1つがそれ位で買える事も有ります。

前に宝飾材料を販売している知り合いが店をたたむので、買取をしてくれと言われて付き合いで仕方なく買った物なんです」


《パン・・・》


声が聞えた方を見るとジョルジュが頭を押さえていた。


「正直な所、そのランプの宝石を見るまで積んでいる事すら忘れていたんですよ、あまりに売れないもんで」


翻訳魔法の効果を持つランプを見やりながら半ば笑いながら小次郎は答えた。


《と、とりあえず、鑑定を致しましょう。私一人ではとてもやり切れませんので店の者にも手伝わせますが、数日頂く事になります》


「承知しました。では、鑑定をして頂く間滞在する宿を紹介して頂きたい。何しろこの辺りの事は全く知らないので」


《それならば、もし宜しければこちらにお泊りください。食事等もご用意いたします》


いい加減、外も暗くなり始めていたので宿を探さなければと思った小次郎だがクラウスは笑顔でそう言って来た。


「ご迷惑ではないですか?」


《とんでもない、命を救って頂いたのです、それくらいの事位させて下さい》


「では、お言葉に甘えさせて頂く事にします、よろしくお願いいたします」


立ち上がり頭を下げるとクラウスもそれに倣い礼を交わした・・・が、小次郎は頭を上げたクラウスが額に汗を浮かべ表情が歪んでいる事に気が付いた。


「クラウスさん、ひょっとして薬が切れてませんか?」


《申し訳ございません、オオヒラ様の仰るとおりです》


「先程お渡しした薬が半分残っていますよね、どうぞ遠慮せずにお飲み下さい。まだ薬はありますので数日分差上げますから・・・」


《申し訳ございません》

そう言うと薬を取り出して飲み込んだ。


《では、部屋の準備をさせます、鑑定は明日から行うと言う事にしましょう》

そう言うとクラウスはジョルジュに目を向けた。


ジョルジュも頷き《では、また明日来る事にしよう》と言って出て行った。


メイドに案内され、小次郎はアイリスを背負い宛がわれた部屋に入った。

《滞在中はご自由にお使い下さい》と翻訳のランプを渡されたのでアイリスが眠ったままだが言葉に不自由は無かった。

ベッドにアイリスを寝かせたところでメイドから《御用の際はこちらをお使い下さいと》呼び鈴を渡された。


メイドが部屋を去った後、暫くアイリスの寝顔を眺めていた小次郎だったが慣れない世界で急展開する日々に気づかない内に疲れが溜まっていたのか

眠気を催したので隣のベッドに寝転がり仮眠を取る事にした。

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