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十五話 馬車の主

震えてしがみ付くアイリスの美しい髪を優しく撫でながら落ち着くのを待っていると馬車の方から声と物音が聞こえた。

アイリスを後ろに促しながら、ゆっくりと馬車に近づく。

どううやら投げ出された御者が馬車に乗る乗客を助け出そうとしているようだ。


近づいてきた小次郎達に気付いた御者は顔に恐怖を浮べ必死になって乗客に声を掛けている。

「アイリス、私たちは怪しい者ではない。盗賊は捕らえたので安心して欲しいと伝えてくれ」

そう言うと投げ捨てた鞘を拾い上げた。


アイリスが御者に話し掛けると、ほっとした表情を浮かべた。

そして乗客に声を掛ける。

倒れた馬車から呻き声のを上げる男性の声が聞こえた。

《大平様、馬車の主は怪我をしていているようで馬車から出る事が出来ないようです》

「そうか、ではそこの男と協力してとりあえず、運び出さないといけないな・・・これを預かっていてくれ」

小次郎は刀をアイリスに渡すと横倒しになった馬車に登り、開け放った扉から中に入った。


馬車の中には50代後半に見える男がうずくまっていた。

手を貸して起こそうとすると呻き声を上げ苦しんでいる。

苦しむ男を無視して無理やり背負い、御者に手を借りて馬車から出る。


男は左腕が折れていた。

顔は血だらけに見えるが、傷は深くないようだ。

車から救急セットを出して簡単な治療を行った。

腕の骨折は添え木と包帯で固定する程度しか出来ないので、かなり痛そうだ。

「アイリス、治療の魔法とかは使えないのか?」と聞くと

《済みません、私は治療系の魔法は使えないんです》と答えた。

「そうか・・・なら仕方が無い。とりあえず、痛み止めの薬を飲んで我慢してもらうかね」

救急セットから鎮痛剤を取り出していった。


「効くかは解らないけど、多分いける筈だ。1錠をとりあえず、半分に割って飲むように言ってくれ」

薬をアイリスに渡し、小次郎は倒れた馬車を起そうとしている御者を手伝いに向かった。


馬車を何とか起した小次郎と御者は馬車の主と供にテントに戻っていた。

御者には一度街に向かってもらい、盗賊を護送する手続きをしてもらう事にした。


御者を待つ間、馬車の主にアイリスを通じて色々と質問を受けていたのだが面倒になったので翻訳魔法を掛けて貰った。

男の名はクラウスといった。

クラウスはエルン王国で商売をしている商人だとか。

鉱山の町ロガンに商用で出向いていたが、コレオスに居る妻が倒れたとの知らせを受けて急遽、夜明け前に街に戻る途中だったのだとか。

鎮痛剤が効いたのか、クラウスはテントで横になりながらも小次郎が街に入れず放浪している事を聞き真剣に相談に乗ってくれていた。


《成程・・・解りました。命を救って頂いたのです、出切る限りの協力を致しましょう。幸いいくつかの物件を紹介できると思います》

クラウスはそう答えて続けた。

《コレオスの南側に農村があります、昔の地主が使っていた古い屋敷が、屋敷と言っても小さな物ですが・・・その村に有るのですが、手直しをすれば住める筈です。現在は小作人の家を屋敷の手入れをする事を条件にドワーフに貸し出しているのですが・・・最近、家賃の滞納が続いているので代わりの管理人を探していたのです。そこで良ければ少しですが安く貸して差し上げることは出来ると思います》


工業街の近くで家を借りる事が出来るかもしれない事に小次郎は助かると、思ったままを声にした。


「ほ~、それは助かります。街に近ければ仕事もやりやすい、材料等の事もクラウスさんに相談に乗って頂けると有難い」

クラウスは《それは勿論です》と答えた。

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