表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

煙の向こうで

作者: Valentina

煙の向こうで


[1]

僕は、誰もいなくなった暗闇の中に1人体を横たえていた。


寒くて暗い部屋。

待ちくたびれた愛は、やがて眠りについた。

僕は誰よりも世間知らずで、誰よりも不器用で、気がつけばいつも1人ぼっちだった。


そしてまた、さみしい夜明けが来る。

気づくといつも瞳の中の涙が枯れ果てている


夜空に月は見えない。

僕はこの汚れた手を伸ばし、この愛を取り戻すか、銃で撃ち抜くか、震える手で銃を構える。

ここはあなたから遠く離れた街。

手にした銃はこの愛を撃ち抜くため。

僕はこんなになるまで愛してた。


ねえ、教えて

たった1人で この愛を撃ち抜けというの

たった1人で この引き金を引けというの


[2]・・・・・・・・・・・・・・・・・


恋人よ

この引き金を引く、力がほしい

疲れ果てた、"さよなら" と言う火薬を込めて


思い出が邪魔して、引き金が引けなくて

僕は銃を手にして1人ぼっち。


ここはあなたに会えない遥か遠くの街。

手にした銃はこの愛を撃ち抜くため。

そう、僕はこんなになるまで愛してた。

ねえ、教えて

たった1人で この愛を撃ち抜けというの。

たった1人で この引き金を引けというの。


僕は夜空に銃の先を構える。

遥か遠くの恋人を想いながら。

恋人よ、やろうと思えばこの愛、僕が自分から壊すこともできる。

恋人よ、逆に言えばあなたも、この愛を壊すことができる。


恋人よ、この宇宙に最後の時を誓おう

傷ついて、疲れ果てた2人のまま。


撃てば銃の反動で、僕達はお互いに傷つく。

まだ2人の愛で暖かいこの銃で、この愛を終わりにしよう。


僕はとうとう銃を愛に構えた。


この銃の"さよなら"という弾を、できれば使いたくはない。

恋人よ、僕が今詰め替えたもう一つの火薬は"あなたを信じる"


遠く離れた人よ。

これに賭けて

僕はたった1人でも引き金を引くよ


僕は引き金に手をかけた。

同時に僕の目には、涙があふれていた。

たった、たった1人では


あなたを抱きしめられない

たった1人では


あの頃に戻れない


たった1人では、、、

この愛を撃ち抜けない


だけどこの煙の向こうで

きっと2人は出会えるでしょう。


月の見えない夜空に、銃声があがった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ