第81話 油断大敵
投稿が遅れてしまい申し訳御座いませんでした。
「…なので、あなたが奥さんに素直に謝らないと、関係がさらに悪化し、最悪の場合は別れなければならない状況になってしまいます」
「だけどよ、本当に妻は俺のことを許してくれるのかよ?」
ケトラさんを占ってからはお昼休憩を挟みながらも、お客さんの悩みを聴いてから占っている。
因みに今は夕方の5時になって結構時間が経っており、今のお客さんは三十代後半の男性であり、相談内容が些細なことで奥さんと喧嘩してしまい、仲直りするにはどうすれば良いのかと言う内容だった。
「あなたが奥さんに対して、反省の気持ちをちゃんと伝えて謝れば、必ず奥さんも許してくれますよ」
「…そうだよな。元はと言えば俺の所為で喧嘩になったんだよな…。ありがとよ坊主。坊主のお陰でちゃんと謝れそうだ」
「それは良かったです。ただ、一つ忠告させていただきますが、もう二度と同じ過ちは起こさないでくださいね。もし同じ過ちを起こしたその時は今度こそお二人の関係が悪化し、別れに繋がりますので」
決心がついたお客さんに念のために釘を刺しておく。
「ああ、今度からは気をつけるよ。ありがとな」
お客さんはそう言って店から出て行った。
<ゴーン×6>
「もう店閉めの時間だな。なんか早かったな」
夕方の6時になったことを報せる鐘が鳴り、俺は店閉めの準備に取り掛かる。
「お疲れ様です礼治様。何か手伝うことはありませんか?」
タロットカードを『アイテムボックス(極)』に収納してから次に焚いているお香の火を消そうとした時にフールが店の中に入ってきた。
「お疲れ様フール。テーブルの上は俺が片付けるから、フールはロウソクとかを片付けといてくれるかな」
「了解です礼治様」
その後は自分は『アイテムボックス(極)』に、フールはマジックバックに道具を収納するだけだったので店の中のモノを片付けたところで店も収納する。
「「「レイジ兄さ〜ん」」」
呼ばれたので振り返るとアポロとツクヨミとラッキが三人で力を合わせて外に立てていた看板を持ってきてくれていた。
「ありがとう三人とも」
三人から看板を受け取り、収納してから三人にお礼を言い、頭を撫でる。
「お疲れ様ですレイジ様」
「レイジー、今日一日お疲れー」
「フフフ、迷える者達を正しい道へと導くとは流石はレイジ殿だ」
三人の頭を撫で終わると、今度はシルフィアとハングとルビーが声をかけてきた。
ここで何故ハング達がいるのかと言うと、昼に休憩を挟みギルド食堂で昼食を済ませた後でテミス達を異空間に戻らせてから、代わりにハング達を呼び出したからである。
因みにハングは地面から1.8メートル位離れた位置で逆さまに浮いている。
前に初めて会った時はその体勢で大丈夫なのかと尋ねてみたことがあったけど、本人曰く大丈夫らしいので、今は考えないことにしてる。
「お疲れ様三人とも。そういえばなんか問題とかは無かった?」
三人にも返事を返し、ふっと思ったことを尋ねてみた。
「あー。そう言えばー、途中で変に絡んでくる冒険者達がいたなー」
ハングはそう報告しながら、ある方向を向いたのでそちらに目を向けると、冒険者であろう人物達が山積みにされたまま放置されていた。
「どうしたのアレ?」
「あの者共は罪を犯した。よって我らが裁きを下したまで」
「礼治様がお仕事をなさっている最中に、あのゴミ達が絡んできて、その絡み方が些か度が過ぎるものでしたので早々に対処させていただきました」
ルビーとフールの説明により大体の事情がつかめた俺は山積みにされている冒険者達を放っておくことにした。
「それじゃあ御飯を食べに行こうか」
『オー』
昼にテミス達と御飯を食べていたので、夕食のことは不公平にならないように前から家族全員で約束していたことであり、ミネットさん達には今日の夕食は要らないことを昨日の夕食後に宿泊期間を延長する為に一週間分の宿泊代金を払った時に伝えてある。
勿論、残りの家族とは来週の昼食と夕食で一緒に御飯を食べることになっている。
そんな訳で、家族達と一緒にギルドの出入り口に向かって歩き出そうとしていた、その時だった。
俺達の目の前に黒いローブを身に纏い、顔が見えないようにフードを深く被った何者かが突然現れた。
その瞬間、俺は直ぐに警戒態勢に入ろうと呪文を唱えようとし、フール達も目の前に突然現れた何者かに対して構えようとしたのだが、目の前に現れた何者かの手には白いガラス玉が握られており、それを地面に勢いよく叩きつけた。
<パリン>
地面に叩きつけられたガラス玉は粉々に割れると同時にギルド内で反射的に手で目を覆ってしまうほどの強い光を放ち俺と黒いローブを着た者だけを覆う。
「礼治様‼︎」
左手で目を覆いながらも右手を俺に伸ばしてくるフールがいたのだが、強い光に包まれた俺には僅か数センチ届かず、光が瞬時に消えると同時に俺と黒いローブを着た者だけがギルドから姿を消してしまった。
ギルドに取り残された冒険者達やギルド職員さん達は目の前で起こった出来事に頭が追いついておらず、その場で呆然とし。
「礼治様ーーーー‼︎」
フールは大声で叫んだ。
しかし、その叫び声が俺の耳に届くことは無く。また、その場から姿を消した俺の油断が大惨事を招くと身を以て知ることとなった。




