第78話 種明かしと手紙
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では、本編をどうぞ。
〜視点:礼治〜
宣伝を兼ねたマジックショーを無事に終え、今では実家感覚になっている『夕暮れの日差し亭』に帰ってきた俺達。
今は昼の3時を過ぎた頃だった。
「お帰りなさいませ。レイジ様、皆様」
俺達が借りている部屋の扉をノックし、扉が開くと同時にシルフィアが出迎えてくれた。
「ただいまシルフィア」
「ただいま戻りましたシルフィア」
「ただいまシルフィア姐」
「ただいまデース、ミスシルフィア」
俺達はシルフィアと挨拶を交わしながら部屋の中に入る。
今回は何故、シルフィアを留守番させていたのかにはちゃんとした理由があった。
「お帰りなさいませレイジ様。首尾はいかがだったでしょうか?」
この部屋の中には俺達以外にある人物がもう一人いた。
その人物とは、身長171センチで黒のピンヒールを履いた、クリーム色の少し盛った感じの髪型で吊り目、白シャツに黒のスカートとストキング姿でフールと同じくらいか下手したらフール以上の身体つきをした、見た感じが教師でクールな女性である。
「ただいまジャンヌ」
その女性の名前はジャンヌと言い、彼女は俺の家族の一人、つまりは大アルカナの一人であるNO.2『ハイ・プリーステス』である。
「マジックショーは結構好評だったよ。明日が楽しみだよ」
本当に今日のマジックショーでの宣伝には手応えを感じた。
因みに誰かさんの為にここでマジックショーでの種明かしをしときたいと思います。
まず最初は煙が上がってからトランと俺が入れ替わっていたマジック。
アレは俺がスキルの『スキル共有:1』を使ってフールと元々から共有していた『念話』を外してから代わりに『透明化』を共有していた。つまり、俺は『透明化』を使って姿を隠した状態で元からトランの側にいただけであって、トランの演奏が終わって暫くしてから準備していたトリックお手製の煙玉を地面に叩きつけ、煙が上がった瞬間にトランを異空間に戻しただけの話。
続けて、中には何も入っていなかった木箱の中からフールが現れたマジック。
アレもただ、俺が蓋を閉める前に小人バージョンの『透明化』を使っていたフールが箱の中に潜り込んでから『透明化』を解いて、『巨大化』を使った、ただそれだけのこと。
そして最後に『瞬間移動』について。
と言っても、察しの良い人ならもう分かってると思うけど、俺はカウントダウンが終わった後も黒い箱の中に入っていたままで、『透明化』を使っていかにも黒い箱の中から消えたと思わせていただけ。
それからはフールが扉を開いた時に外に出て、念のために『隠密』を使って気配を隠しながら木箱の所まで移動し、ロープを『マジックボックス(極)』に入れていたナイフで切ってから解いた。
移動した後、流石に木箱の蓋を開けたらバレるだろうと思われるけど、そこは大丈夫。
実はショーの途中で観客の全員がトリックのマジックに目が釘付けになっている時にこっそりと元々あった木箱と『マジックボックス(極)』に収納していた別の木箱と入れ替えており、入れ替えた木箱には幾つかの細工がしてあり観客の方からは見えない面の板が簡単に取り外し出来る様にしていた。
つまり、俺はそこから木箱の中に入り、板を取り付けた後でトランを呼び出した。
その際に放たれる光が外に漏れる心配があったが、そこもトリックが光漏れを防げる様に木箱には細工されており、光漏れの心配が無かった。
「本当にトリックのお陰でマジックショーは大成功した様なもんだし、ありがとうな」
ショーを振り返った俺は改めてトリックに礼を言う。
「ノン、ノン、ノン。ミーはマスターレイジの為にベストを尽くしたまでデース」
トリックは右手の人差し指を振りながらそう話した後も話を続けた。
「それにミーはマスターレイジと一緒にマジックショーができてベリーハッピーデース!」
どうやらトリックは沢山の観客の前で自慢のマジックを披露することが出来て楽しかったらしい。
(そんなに楽しかったんなら、今度時間がある時にまたやってみても良いかな)
そう思っていると誰かから服の裾を引っ張られていることに気づき下を向くと、裾を引っ張っていたのはトランだった。
トランは何も言葉を発していなかったが、目で『ボクは!ボクは⁉︎』と尋ねていた。
「トランも演奏ありがとうな、すごく良かったよ」
俺は笑顔でトランの頭を撫でながら感謝の言葉を伝えた。
「えへへへ〜<ニコニコニコ>」
トランはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれて、その笑顔を見た俺もまた一段と笑顔になった。
「レレレ、レイジ様!」
トランの頭を撫でていると今度はシルフィアが声をかけてきたのでそちらを振り向く。
「どうしたシルフィア?」
「あ、あのですね…。そ、その…えっとですね…」
シルフィアは何だかもじもじしていた。
「シルフィア様。頑張ってください」
そんなシルフィアにジャンヌが応援した。
応援を受けたシルフィアは深呼吸してから決心がついたのか、真剣な表情でこちらに近づいてきた。
「レレレ、レイジ様!うう、受け取って下さい‼︎」
シルフィアは目の前までに来ると何かを渡してくれて自分がそれを受け取ると直ぐにその場から離れてジャンヌの背後に隠れてしまった。
そんなシルフィアの態度が不思議だったけど、渡されたものを見て何となく理解した。
シルフィアから渡されたものとは羊用紙を縦に折り、表紙のところには『レイジ様』と書かれていた。
そう、これはシルフィアから手紙だったのだ。
渡されたのが手紙だと気付いた俺はシルフィアの方を見るとシルフィアの顔が真っ赤になっていた。
シルフィアの顔を見た俺は手紙に視線を戻し、手紙を開いてみた。
『レイジ様、家族、ありがとうございます。レイジ様大好き。』
手紙にはそう書かれており、端っこには『シルフィア』と書かれていた。
「この手紙、シルフィアが一人で書いたのか?」
またシルフィアに視線を移し尋ねてみる。
「////////////」
しかし、シルフィア本人は恥ずかしさのあまり顔を熟したトマトの様に真っ赤に染めており、返事を返すのは難しそうだった。
「その手紙はシルフィア様本人が一人で書かれたものですよレイジ様」
代わりにジャンヌが質問に答えてくれた。
そう、シルフィアを留守番させていたのは字の練習をさせる為であり、ジャンヌには先生役としてシルフィアについていてもらったのだ。
シルフィアが頑張っていたことを知った俺は机に向かい椅子に座ってからジャンヌに手招きした。
ジャンヌは何も尋ねずにこちらに来てくれて、一方でシルフィアは今度フールの背後に隠れてしまった。
「どうかなされましたかレイジ様?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ。シルフィアが今読める単語を教えてくれないかな?」
そう尋ねるとジャンヌは察してくれたらしく、机の上に置いてあった羊用紙にインクをつけた羽根ペンを使い、幾つかの単語を書いてから俺に渡してくれた。
単語は次の様になる。
____________________
・レイジ(様)
・シルフィア
・フール(様)
・大好き
・ありがとう(ございます)
・家族
・私(自分)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たった一日でこれだけの単語を覚えたシルフィアに俺は驚いた。
因みに単語の順番はシルフィアが覚えた順番らしく、一番最初に覚えた単語がシルフィア本人の名前ではなく、俺の名前だったことにシルフィアらしいと思ってしまった。
俺はその表を基に手紙を書き上げ、インクを乾かしてから立ち上がりシルフィアの目の前まで行き。
「はいシルフィア。手紙の返事を書いたから読んでみて」
シルフィアに手紙を手渡す。
手紙を受け取ったシルフィアは早速手紙を読み始めた。
<ボフン>
その瞬間、シルフィアは頭から湯気が上がり、そのまま倒れそうになったので慌ててシルフィアを受け止めた。
倒れ込んだシルフィアの表情はとても幸せそうだった。
俺はシルフィアをそのままお姫様抱っこした。
「手紙に何と書かれたのですか礼治様?」
シルフィアの表情を伺ったフールが尋ねながらシルフィアが握りしめている手紙をしゃがみ、覗き込んだ。
因みに手紙にはこう書いた。
『ありがとうシルフィア。自分も大好きだよ。』
手紙を読んだフールは顔を赤くした後、急いで机に向かい、羊用紙に何かを書き始めた。
その間に自分はシルフィアをベットまで運び、横にした。
それから数分後、ジャンヌはシルフィアの物覚えの良さを高く評価しており、早くて二、三ヶ月位で読み書きをマスターできるとのことで、俺はシルフィアの凄さに驚くと同時に嬉しさを感じた。
また、トリックからは次のマジックショー(未定)に向けてどんなマジックをしたいかをまるで子供の様に語り始めたり、トランは『ボクもレイジ兄達と一緒にマジックしたい!』と言ってきたので、これは本当に二回目以降をすることがほぼ確定してしまった。
「礼治様」
そうやってトラン達と話していると名前を呼ばれ、背後を振り向くとフールが頬を赤く染め、もじもじしていた。
「どうしたのフール?」
「受け取って下さい‼︎」
フールから手紙を渡された。
「私の礼治様に対しての気持ちを手紙にまとめました!是非読んでください‼︎」
フールから催促されたので俺はフールの手紙を読み始めた。
『愛しの礼治様へ』
『私は礼治様と初めてお会いした時、今まで神の一人として世界の均衡を保つために異世界に送った他の方々とは違う何かを礼治様を見ていて感じていましたが最初はそれが何だったのか分からなかったのです。しかし、礼治様が御顔を近づかれた際に私の心臓が強く鼓動し、その時に初めて私は礼治様に一目惚れしていたことが分かったのです。
そう『運命』を司る神であった私が初めて恋に落ちてしまったのです。しかも私と同じ神ではなく、人間の礼治様に。
そう分かった瞬間、私は礼治様のお側で一緒にいたいとそう思っていました。しかし、私の身勝手な理由で礼治様に迷惑をかけてしまうのではないかと思ってしまい、そこで私は礼治様を諦めようと思ったのです。しかし、心から諦めきれず、礼治様がスキルをお決めになさっている時に礼治様の過去を調べ、何か一つでも礼治様を嫌いになれることはないかを探していまして、その時の私の愚かさを痛快しました。何たって礼治様を嫌いになれる要素などチリ一つも無かったのです。
寧ろその時の私にとっては逆効果であり、礼治様の優しさや純情さに心を奪われ、礼治様が心に深い傷を負われていることを改めて知った時には私にできる全てを使い礼治様の心を癒してあげたいとそう考える様になってしまい、礼治様のステータスの称号欄に『運命神に愛されし者』が載ってしまい、そのことが礼治様にバレ、全てを打ち明けました。
すると礼治様は私に
「初めてしかもこんな美人な神様から好きになってもらってすっごく嬉しいから!」
礼治様の言った言葉が自身では信じきれず、思わず礼治様の手を握って聞き返しました。
「本当です。なんならいっそのこと、神様と一緒に異世界で旅をしたい位です」
返ってきた返事に私はもうどうにでもなれと礼治様の唇を奪い、礼治様の魔力を貰い、礼治様の使い魔として今では家族として此処にいます。
私はこれからも礼治様の家族であり、妻であり、礼治様のお側で一生を支える者として頑張らせて頂きます。』
『世界で一番礼治様を愛するフールより』
手紙を読み終えた俺はフールの方を向くと恥ずかしそうに俯いていた。
そんな可愛いい仕草を見た俺はフールに近づき優しく抱いた。
「れれ、礼治様‼︎‼︎///////」
俺の行動にフールは顔を真っ赤にして慌て始め、その反応もとても可愛いらしく、微笑ましいものだった。
「あ、あの礼治様。その…ててて、手紙の返事がまだなのですが」
どうやらフールは手紙の返事が欲しかったから手紙を書いたらしい。
「手紙の返事は今から書くよ」
そう言ってから俺はフールをお姫様抱っこをした。
「れれれ、礼治様‼︎‼︎‼︎///////」
更に慌てふためき始めたフールに俺は顔をフールに近づけ。
「フールの身体にちゃんとね」
耳元でそう囁く。
「//////////////////」
フールは顔を更に真っ赤に染めた。
その後はフールをベットまで運び、いつの間にか目を覚ましていたシルフィアとともに夕食ができる時間になるまでお互いの気持ちをぶつけ合った。
P.S.
ジャンヌ達は空気を読んでくれたらしく、俺がフールからの手紙を読み終えたあたりで異空間に戻っていってくれた。
(もちろん、トランだけは何が何だか分からずに)
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ジャンヌ:大アルカナNO.2『ハイ・プリーステス』
正位置の意味 :教養、知識、学問、専門教育、乙女、夢見る心、ロマンチスト、知性、聡明、安らぎ、清純
逆位置の意味 :疑心暗鬼、優柔不断、現実逃避、不安定、自棄、あさはか、勉強嫌い、貞操の無さ、非常識
11月7日
暫くの間は投稿が出来ません。
詳しい内容は活動報告欄を拝見してください。




