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タロット占い師は神様に殺され異世界転生  作者: マロンさん
第2章
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第74話 戦いの後

連日投稿です。どうぞ。

〜視点:ナーグ〜

(一体何が起こった?)


俺があの罪人に魔剣を振り下ろしてそこで決着がつく。そのはずだったのに、今の現状を飲み込めなかった。

魔剣を振り下ろした瞬間、彼奴が放った魔法がゼロ距離で直撃した。

その時に発生した突風に煽られ俺はバランスを崩して倒れこんだ。

そんな俺に対して彼奴はあの突風を物ともせずに倒れ込んだ俺に近づき喉元に剣先を突きつけてきやがった。


(頭の中では理解できている。だけど、認めたくねえ!俺が新米冒険者に、罪人に負けたことを認めたくねえ‼︎)


だが、俺の思いとは裏腹に。


「試合はそこまで!勝者レイジ‼︎」


『ウオーーーーー‼︎‼︎』


さっきの突風で舞い上がっていた砂煙が収まったと同時にロイドさんが試合終了の合図を出し、辺りが外野の声が響き渡った。



〜視点:レイジ〜

「『解除(キャンセル)』」


辺りが観戦者達の声で響き渡る中、『風の剣』を異空間に戻す。


「これで納得してくれましたか?」


俺は魔剣を手放して地面に腰を落としていたナーグに尋ねる。


〔…ぜっ…み……ねえ……〕


「はい?なんか言いましたか?」


ナーグは小声で何かを呟いたが俺には殆ど聞こえなかったので再び尋ねてみた。するとナーグは急にその場に立ち上がり。


「俺はゼッテーに認めねえぞ!もっと強くなってテメェーの悪事を暴いてやるからな罪人‼︎」


そう言うなり、『風球(ウインドボール)』と衝突した際に吹っ飛び、数メートル先の地面に突き刺さった魔剣を抜き、観戦者達の間を掻き分けながらその場から去っていった。

その時の逃げ方が悪の組織に所属している下っ端が主人公の強さに怯え、苦し紛れの戯言を放ってから逃げ去るところと似ていたので『どっちが悪者だよ』と心の中で突っ込んでしまった。


「「礼治様(レイジ様)ーー‼︎」」


そう思っていると観戦者達の中から二人の人物が俺の名前を呼びながら此方に向かって走ってきた。言わずともわかるであろう、フールとシルフィアの二人だ。


「流石は私達の主様でおられる礼治様です!あんなにも簡単に勝たれるなんて、私は礼治様を今まで以上に惚れ直しました♡」


「本当にレイジ様は凄すぎです!そんなレイジ様の家族になれて、本当に私は幸せ者です♡」


二人は興奮気味で眼を輝かせながら、うっとりとした表情で賞賛の言葉を投げかけてくれた。


「ありがとう二人とも」


そんな二人に笑顔でお礼を言いながら、両手を使って同時に二人の頭を撫でてあげると、今度は二人ともとても幸せそうな表情を浮かべた。


「お取込み中のところチョイと失礼するぞレイジ」


二人の頭を撫でていると声をかけられ振り向くとそこには審判を務めてくれたロイドさんがいた。


「見事な戦いだったぞ」


「ありがとうございますロイドさん。審判お疲れ様でした」


ロイドさんに感謝の意味を込めて、お礼と労いの言葉をかける。


「礼には及ばねーぞ。審判は俺から引き受けたものだしな」


ロイドさんはそう言い残すと、依頼完遂の報告をしに俺達に別れを告げるとギルドに向かっていった。

ロイドさんがその場から去っていった後、タイミングを見計らっていたのか?今度はマリーさんが此方に向かって駆け寄ってきた。


「大丈夫ですかニャレイジ様!何処も怪我は御座いませんかニャ⁉︎」


マリーさんは慌てた表情と言動で尋ねてきた。


「大丈夫ですよマリーさん。何処にも怪我はありませんよ」


俺はマリーさんを安心させ、また落ち着かせるために無事であることを伝える。


「良かったニャ〜」


マリーさんは安心するや否やその場に腰を落としてしまった。


「大丈夫ですかマリーさん⁉︎」


そんな俺はその場に座り込んでしまったマリーさんと同じ目線の高さになるよう腰を落とした。


「大丈夫ですニャレイジ様。緊張が解けたせいで足腰に力が入らなくなっただけですニャ////」


「何だか心配をお掛けしたみたいでスミマセン。立てそうですか?」


俺のことを心配してくれていたマリーさんに対し、俺は本当に感謝と申し訳なさで心を埋め尽くされてしまいながらも、立てるかどうか尋ねる。


「レイジ様が謝られることは何一つありませんニャ。それと質問に対してのお答えはもう少し時間が掛かりそうですニャ」


「だったらギルドの中まで運んであげますよ」


「‼︎‼︎、レレレレ、レイジ様!そそそ、それにはおよびm「よいしょっと」ニャーー‼︎‼︎‼︎」


何が起こったかって?ただ、マリーさんをこのままの状態で置いて行くのは流石にマズイだろうと思って、マリーさんをギルドの中まで運ぶためにお姫様抱っこしただけだけど?


「レレレレ、レイジ様‼︎わわわ、私は大丈夫ニャので降ろして下さいませニャ‼︎一人で歩けますニャ‼︎///////」


「そうは言ってもマリーさんの顔がとても赤いですよ?大丈夫ですか?」


マリーさんは大丈夫と言っているものの、顔を赤くしており、顔を近づけて尋ねる。


「ふニャーーーー‼︎‼︎/////////」

<ガクッ>


顔を近づけた瞬間、マリーさんは更に顔を真っ赤にし、そのまま気絶してしまった。


「マリーさん大丈夫ですか⁉︎」


慌てて尋ねるもマリーさんは気絶しているために応答はなかった。


「マリーさんをギルドまで運んで行ってくるから二人は此処で待っててね‼︎」


俺は背後で控えていた二人にそう告げ、急いでギルドの中へと向かっていった。


「相変わらず鈍感の域を超えていますね礼治様は…」


「マリーさん、これからも大変そうですね…」


そんな二人の言葉が慌てて走っていった俺の耳に届く筈もなかった。

その後は受付カウンターで書類作業をしていたミレアさんに声をかけると、マリーさんを抱えている状態に最初は驚かれるも、これまでの経緯を説明する。


「気を失っただけだと思いますので、気がつくまでは奥の医務室のベットに寝かせておきます、なのでそこまで運んで行ってもらえますか?」


ミレアさんの指示に従い医務室まで運び、ベットに横たわらせ、ミレアさんに後は任せてからギルドを出て、フールとシルフィアに合流してから宿屋へと戻っていった。


〜〜〜


「よし、明日も色々とやることがあるし今日はもう寝よう」


時間はあれから少し進み、俺達は『夕暮れの日差し亭』に戻ってきて、ミネットさん手作りの料理を食べ、部屋で身体を微温湯で濡らして絞ったタオルで拭いた後で寝巻きに着替えた状態で現在の時刻は夜の10時を過ぎたところだった。


「あの礼治様。私達はまだ御褒美を貰って無いんですけど?」


「レイジ様。私も早く御褒美を貰いたいです」


ベットに潜り込もうとした自分に対して、二人は徐に近づいてきて、自分は二人の言葉を聞いて振り向いた瞬間、二人がかりでベットに押し倒された。


「チョット二人ともどうしたの急に⁉︎」


慌てて尋ねるもフールとシルフィアから身体を抑え込まれていたために身動きが取れなかった。


「礼治様。私は昨日からずっと礼治様と夜の営みを我慢していたんですよ?」


「私はまだレイジ様とは一回しかしていません」


(うわー。二人とも目が肉食獣そのまんまじゃん)


目は肉食獣になっているものの、二人はまるで『待て』と命令され、目の前の餌を主人の許可が出るまで我慢している飼い犬そのものの状態だった。


「わかったよ二人とも。だけど、明日も色々あるんだからできれば程々に頼むよ」


俺が今日の夕方に二人と約束していたことだ。

腹を決め、二人に許可を出す。


「「ありがとうございます礼治様(レイジ様)‼︎///////」」


二人は礼を言うなり俺に抱きついてきて、二人と激しいキスを交わした後、夜の営みを遅くまで楽しんだ。

明日の朝のことが心配だったがこの際そんなことは気にせずに楽しんでいた俺だったが、それから数日後、あんなことが起こるなんて、この時の俺は思ってもみなかった。

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