第67話 家族全員集合
「よし、目的地に到着」
『初心の森』の奥にある以前に俺とフールが一晩過ごしていた開けた場所に俺達三人は到着していた。
え?街を出てからどうしたかって?
先ずは『初心の森』に入っていった後、討伐対象の『レッドピッグ』を俺は『土の金貨』の『土弾丸』で眉間を貫いたり、フールは風魔法の『風爪』で喉元を切り裂いたり、シルフィアはシンプルに鋼のハンマーで脳天に一発喰らわせたりなど勢いに乗ってしまい気づいた時にはノルマ5体の三倍以上の17体を討伐してしまっていた。
まあ、過ぎたことは仕方ないよねってな感じで、その全てを『マジックボックス(極)』に収納してから暫く歩いた後に冒頭に至る。
今回の『レッドピッグ』にとどめを刺した数は俺とフールがそれぞれ4体で、シルフィアが9体であり、シルフィアが前衛だからという理由もあるが一番の理由はシルフィアのレベルを上げるためだ。
通常は敵(獣、魔獣、人)にとどめを刺すことで経験値を稼ぐことができ、またとどめを刺した人以外にその戦闘に参加した人がいればとどめを刺した人よりかはだいぶ少なくなるが経験値を稼ぐことができる。
そんなわけで今の俺達のステータスは次のようになる。
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レイジ・ウラタ (15) ♂ 人間族
レベル:21
職業:タロット占い師
筋力:190(790)
体力:200(800)
耐性:180(780)
敏捷:170(880)
魔力:300(1040)
魔耐:250(990)
運 :50(1650)
称号
転生者、聖霊の加護、聖霊に愛されし者、聖霊を愛す者、獣人に愛されし者、獣人を愛す者
スキル
剣術、魔力・魔耐強化:7、魔力消費削減(大)、魔力回復(大)、アイテムボックス(極)、鑑定(極)、魔力操作、杖術
特有スキル
タロットマジック【小アルカナLVup】、異世界言語(話・読・書)、ステータスチェック(自・相)、隠密、気配察知、成長促進(大)、スキルレベルアップ(速)、《スキル共有:1.new》、《念話(共有:フール)》、《威嚇(共有:シルフィア)》
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フール (0) ♀ 聖霊(元神様)
レベル:24
職業:使い魔(魔導士)
(主:レイジ)
筋力:330(780)
体力:330(780)
耐性:330(780)
敏速:330(780)
魔力:330(920)
魔耐:330(920)
運 :146(1596)
称号
元神、運命を司る者、使い魔、異世界人を愛す者、異世界人に愛されし者
スキル
博士、生活魔法(極)、家事(極)、風魔法LV.7、魔力操作、《魔力・魔耐:7(共有:レイジ)》
特有スキル
巨大化、完全偽造、透明化、念話、ステータスチェック(自・相)
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シルフィア(15)♀獣人族(ベース:フェンリル)
レベル:13
職業:奴隷(獣戦士)
(所有者:レイジ)
筋力:115(915)
体力:135(435)
耐性:125(425)
敏捷:105(505)
魔力:65(365)
魔耐:65(365)
運 :42(342)
称号
フェンリル(未解放)、主人に心から尽くす奴隷(筋力)、異世界人を愛す者、異世界人に愛されし者
スキル
鈍器術、《俊足:5.LV.up》
特有スキル
嗅覚強化、聴覚強化、《威嚇new》、《隠密(共有:レイジ)》
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俺を含めて三人ともレベルが上がったことによりステータスが上がっていた。
そして、新しく覚えたスキルについてはこちら
ー特有スキルー
レイジ
タロットマジック
金貨LV.3
新しく『土針』を覚えた。
《スキル共有:1》
自身のスキルとパーティーメンバーのスキルを共有することができるスキル
(共有できるスキル数はこのスキル所有者がパーティーメンバーの一人につき一つ、それに対してパーティーメンバーはこのスキルの所有者から一つだけと制限がある)
シルフィア
《威嚇》
相手を威嚇することにより一時的に行動不能にするスキル
(このスキルは自身のレベルより相手のレベルが低ければ低いほどに行動不能にする時間が増す。しかし、自身より相手のレベルが高いほど効果は激減する)
先ずはシルフィアが新しく取得した『威嚇』により、レベルが低い敵や少しレベルが高い敵とも効率よく戦えることができる。
そして、自分が新たに取得した『スキル共有:1』はレベルが20になった時に覚えたスキルで、これによりフールとは『念話』と『魔力・魔耐強化:7』を、シルフィアとは『威嚇』と『隠密』を共有することによって、フールはステータスの魔力と魔耐が強化され、シルフィアは自身のステータスを隠すことができ、また自分自身はフールとシルフィアと自由に『念話』で話すことができ、『威嚇』を使えることでこれまで以上に戦略の幅が広がった。
「これで礼治様にもしもの時があった場合には私やシルフィアに助けを求めることができますね」
「レイジ様と同じスキルを使えれることができて、とても嬉しいです」
これには二人とも笑顔でそう応えてくれた。
「よし、それじゃあ早速呼び出しますか」
俺はそう言葉を発した後に右手のひらを前に向けた。
「礼治様、皆さんを呼び出す際には大アルカナの後に『全員』と付け加えて頂ければ一度に呼び出すことができますよ」
「レイジ様頑張ってください‼︎」
フールは大アルカナ達を一度に呼び出す時の呪文の唱え方を教えてくれて、シルフィアはとりあえず応援をしてくれた。
「ありがとう二人とも」
二人にお礼を言ってから前に向き直りそして
「『タロットマジック』大アルカナ、『全員』」
フールに教えてもらった通りに呪文を唱えると、俺の目の前を強い光りが広い範囲で包み込み、光りが消えるとともに目の前には老若男女を問わず、様々な格好をした家族達が現れた。その中には前に会ったことのある家族も数人いた。
「レイジ兄ーー‼︎」
「おっと」
一人の少女が宙に浮いた状態で勢いよく飛び込んで来たのを俺は倒れることなく受け止める。
「久しぶりだねレイジ兄<ニコニコ>」
「久しぶりトラン。相変わらず元気そうだね」
「うん‼︎」
飛び込み抱きついてきたのはトランであった。
「あのさトラン。今さっき空を飛んでなかった?」
「うん!飛んでたよ」
トランは笑顔でそう応え、背中から生えている真っ白い翼をパタパタと動かしていた。
どうやらトランは飛べるらしく、翼は飾りではなかったらしい。
「あー!トラン姉さんだけズルい‼︎俺もレイジ兄さんに抱っこしてもらいたい‼︎」
「できたら僕もしてほしいな…」
「ラッキもレイジ兄さんに抱っこしてもらってハッピーになりたい‼︎」
トランを抱っこしていると足元に赤に近いオレンジ色の髪に白のトガを着てサンダルを履いる活発な少年と黒みを帯びた青色の髪に黒の甚平を着て、下駄を履いた内気そうな少年と金髪ツインテールで星柄のついた黒のワンピースを着て、黒のフォーマルシューズを履いたとても幸せそうな笑顔を浮かべている少女が集まっており身長は三人とも120センチ前後だった。
「えっと。自己紹介してもらっていいかな?」
俺は笑顔であるトランを抱えたまま三人の名前を尋ねる。
「あっ忘れてた。俺は『サン』のアポロ!よろしくねレイジ兄さん‼︎」
「僕は『ムーン』のツクヨミ。迷惑をかけるかもしれないけど、精一杯頑張るからよろしくお願いしますレイジ兄さん」
「私は『スター』のラッキだよ!これからはレイジ兄さんがハッピーになれるように頑張るからよろしくねレイジ兄さん‼︎」
「よろしくね三人とも」
三人の頭を撫でながらよろしくと伝えた。
「トラン姉さんが言ってたようにレイジ兄さんから頭を撫でられると嬉しいな」
「うん、僕も嬉しい」
「私今、す〜〜っごくハッピー‼︎」
三人ともすごく嬉しそうな笑顔を浮かべてくれたのに対して自分も嬉しかった。
「トランそろそろ下ろしていいかな?家族みんなにちゃんと自己紹介したいし」
「うん。いいよ」
了承を得てからトランを下ろした。
その後にアポロ達三人からは抱っこを要求されたけど、後でちゃんとすることを約束することで納得してくれた。
トラン達がその場に待機していた他の大アルカナ達のところに戻ってから俺もまた、大アルカナ達に向き直った。
「初めましての人も、そうじゃない人もいるから改めて俺は礼治。これから家族のみんなには色々と頼ることがあるから、その都度よろしくお願いします」
そう言ってから俺は頭を下げた。
「お顔をお上げくださいレイジ様‼︎」
すると、慌てながら声をかけてきた人物がいたので、顔を上げると目の前にはテミスがいた。
「レイジ様は私達の主であり、上に立たれるお方なのですよ!なので私達に頭をお下げになることはありません!」
テミスはそう強く主張した。
「確かにそうなんだろうけど、俺はみんなと上下関係を無しにして、ありのままで接していきたいんだけどダメかな?」
テミスにそう尋ねてみる。
「確かにレイジ様が仰っていることは理解できますが、しかし……」
テミスはそれでもなかなか納得してくれなかった。
「それじゃあ俺がみんなに頭を下げるのは今日で最後にして明日からは堂々とする。これでいいかな?」
なので妥協案を提案してみた。
「それでしたら構いません。レイジ様の案に従わせていただきます」
テミスは了承してくれるた。
「よし、それじゃあ昨日フールに頼んだ伝言の通りにみんなにはそれぞれ作業を手伝ってもらうから、今日は一日よろしくお願いします」
そう言ってからまた俺は頭を下げる。
「レイジ様!先ほど堂々となされると宣言してくれましたのに頭をお下げにならないでください‼︎」
テミスはまたも慌てていた。
「さっき堂々とするのは明日からっていうのを承諾してくれなかったけ?」
そう、俺はテミスには『自分がみんなに頭を下げるのは今日で最後にして明日からは堂々とする。』とちゃんと宣言していた。
「あ……」
テミスも今の言葉の意味を理解してくれたらしい。
「ハハハハ。流石はレイジの兄貴だぜ。まさかテミスの姐御から一本取るとはな」
今までの話を聞いていたサタンが笑い始め、他の大アルカナ達もつられて笑い始めた。
「うぅ〜////」
テミスは涙目になりながら恥ずかしさのあまり顔を赤く染めて俯いてしまった。
それから暫くしてテミスが落ち着いてから一緒にいたら楽しく愉快な気持ちになり、また心から頼れる俺の掛け替えのない家族達と一緒に準備を始めた。




