第59話 装備購入
三日ぶりの投稿です。
俺達は依頼を申請してからギルドを後にした。
今回は『初心の森』で『スライム』をノルマ5体を討伐するFランクの依頼を選んだ。
最初はEランクあたりの依頼を選ぼうとしたけど、シルフィアの実力を把握するためにも余裕を持っていた方がいいと思い、それを三人で話し合ってから俺達のランクより一つ下のFランクの依頼を受けることに決定した。
それで今、俺達は『初心の森』に向かうために南門に面している大通りではなく、反対側の北門に面している大通りを歩いているところだ。
何故かと言うと俺達の装備を購入するために、三日前に俺とフールの二人で初めて受けた仕事のうちの一つでその依頼の依頼主であったニグリスさんの店に向かっている。
まあその間に俺の左腕にはフールが、右腕にはシルフィアが抱きついており、元の世界ではこういったことは全然なかったし、まあ二人とも凄く可愛いし綺麗だから男である俺にとっては嬉しいものである。しかし、公共の場でそうされると恥ずかしさもあり、また周りからの独身男性からの殺気のこもった視線があるために純粋に今の状況を楽しめない自分だった。
まあ色々あってから目的地であるニグリスさんが経営する武器屋に辿り着いた。
俺達は早速、店の中に入ると中は当たり前なのだが色々な種類の武器が並んでいたり、使ってある素材毎に分けて並べられている防具の数々の光景が自分達の目に飛び込んできた。
商品として並べられている装備は俺達が今までに会った冒険者が装備していたものから、見たことがない装備が並んでいたために本来の目的を忘れて装備を眺めていた。
「おい、レイジとフールじゃねえか?」
そんな時、突然名前を呼ばれたので背後を振り返るとそこにはこの店のオーナーであるニグリスさんがこの店の商品であろう何十本もの矢が入ったデッカい樽を両手で抱えたままそこに立っていた。
「おおー!やっぱりお前らだったか!」
ニグリスさんは自分達の顔を確認した後で抱えていたデッカい樽をその場に置いてこちらに駆け寄ってきてから
「いやー久しぶりじゃねーか!それにお前らも二日前の討伐戦に参加してたんだろう?すげーじゃねーか!ガッハッハッハッハー」
<バシバシ>
ニグリスさんはそう言いながら背中を何回も叩いてきた、正直に言うと暫くの間、背中にヒリヒリと痛みが残るほどに凄く痛かった。
「お久しぶりですニグリスさん。今日は装備を買いにきました」
「おーそうかそうか。お前らには本当に感謝しても仕切れないほどに恩があるからな!俺がお前らの装備を見繕ってやるよ!」
流石は武器屋のオーナーであるニグリスさんであり、身体全体から凄いやる気オーラを放っていた。
「ありがとうございます」
「いいってことよ。それよりもどんな装備が欲しいか決まっているのか?」
「はい、欲しいのは鈍器系統の武器が一つとなるべく丈夫で動きやすい鎧を二人分、それから籠手と膝当てと剥ぎ取りようのナイフをそれぞれ人数分を大銀貨2枚前後でお願いします」
自分はニグリスさんにお礼を言ってからどんなものが欲しいかを尋ねられたので、ここに来る前に三人で話してから決めた物を頼んだ。
鈍器系統の武器はシルフィアが、籠手と膝当てとナイフは三人分、それから鎧は自分とシルフィアの分である。
最初は前衛で活躍してもらうシルフィアにだけ鎧を着せて、自分とフールは風魔法の一つ『風鎧』があるために防具はいらなかったのだが、
「レイジ様もフール様も防具を買ってください!」
シルフィアはこれを断固として認めず。
「レイジ様とフール様が防具を着けないのなら私もいりません‼︎」
終いにはそう言い張るので、自分達のことを心配してくれるシルフィアに負けてしまい、仕方なく鎧は後衛で構えるフールを抜いて前衛で戦う自分とシルフィアの二人分、籠手と膝当てを人数分買うことでシルフィアには納得してもらった。
防具をちゃんと買うと伝えた時のシルフィアの顔はとても安心した表情を浮かばせていた。
「なるほどな、鈍器系統の武器はそこの嬢ちゃんが使うのか?」
ニグリスさんは要望を受けると装備を見繕う前にシルフィアに目を向けそう尋ねた。
「はいそうです。そう言えばまだ紹介してませんでしたね。ほらシルフィア、ちゃんと挨拶しな」
ニグリスさんに尋ねられたのでそう応えたのだが、シルフィアのことをまだ紹介していなかったことに気づき、俺の右後ろに立っているシルフィアに自己紹介するように促す。
「はは、初めまして、レイジ様の奴隷で家族でもある、フェンリルの獣人族のシルフィアといいます。どうぞよろしくお願いします」
シルフィアは最初は慌てていたがその後はちゃんと自己紹介をし、今回は昨日みたいに自己紹介を終えてすぐに俺の背後に隠れようとはしなかった。
昨日は初めての人混みに怯えていたり、初対面の人に自己紹介してはすぐに自分の背後に隠れたりするシルフィアではなく、そのことに俺は安心していつの間にかシルフィアの頭を撫でていた。
「レレレレイジ様///⁉︎」
シルフィアは突然頭を撫でられたことに驚きながらも、嬉しそうな表情を浮かべ、耳をピクピク動かし、尻尾をブンブンと振っていた。
「シルフィアさんだけズルいです」
シルフィアの頭を撫でているとフールが羨ましそうにこちらを見ていたのでシルフィアの頭から手を離し、今度はフールの頭を撫で、頭を撫でられたフールは幸せそうな表情を浮かべる。
その間にシルフィアは物足りなかったのか、指をくわえながらこちらを見ていたがこれではいつまでたっても先に進めないので頭撫でタイムはここで終了してから本題に戻った。
「いやー全く若いってのは羨ましい限りだな。まあちょと待ってろよ、今から要望に合った装備を選んでくるからな」
ニグリスさんはそう言ってからその場を離れていった。
「フール様、少しよろしいですか?」
ニグリスさんがその場を離れてから直ぐにシルフィアがフールに声をかけた。
「何でしょうかシルフィアさん?」
「出来れば私を呼ぶ時は呼び捨てで呼んでくれませんか」
フールはシルフィアの方を向き尋ね返すと、シルフィアはフールにそう提案した。
「シルフィアさんがそれを望むのであれば私は構いませんが、理由を尋ねてもよろしいですか?」
シルフィアの突然の提案に理由を尋ねるフール。
「別に大した理由ではないのですが、唯そのですね。さん付けで呼ばれるより、呼び捨てで呼んでもらえた方が家族として呼んでもらえていると私の中ではそう思えるところがあるので、出来ればそうして欲しいのです」
シルフィアは自身の気持ちをフールにちゃんと伝えた。
「分かりました。それではこれからはシルフィアと呼ばせてもらいますね」
理由を聞いたフールは笑顔でシルフィアの提案を承諾した。
それから暫くはニグリスさんを待つ間は三人で話しているとニグリスさんが俺達を店の奥から呼んでいたのでそこに行ってみると、ニグリスさんはカウンターの側に立っており、そのカウンターの上には頼んだ防具が並んでいた。
「取り敢えずお前達の要望に合った防具を選んできた」
ニグリスさんはそう言いながらカウンターの上に乗っている鎧を一つ持ち上げてこちらに渡してきたのでそれを受け取った。
この防具は黒色で爬虫類系統の鱗で作られた胸当てであって、要望した通りに軽く、またチョット軽く叩いてみると見た目よりも硬く『鑑定(極)』を使わなくても素人目線からでもこの防具はとても良いモノだと分かった。
「その胸当ては『ブラックリザード』の鱗から作った代物でな、お前らの要望に合う今の店の中で一番の防具だ」
『ブラックリザード』とは、主に砂漠地帯に好んで棲みつく黒色の巨大トカゲで、鱗は硬く夜行性であるために暗い夜に紛れ込み、気配を消して獲物に奇襲を掛けて狩りを行うと言ったC,Dランクの冒険者から倒せると言われている中位種の魔獣らしい。
「あとの籠手と膝当ても『ブラックリザード』の鱗から作った代物だ」
「じゃあ、それを全部買います」
ニグリスさんは自慢げに、そして力説する程の防具なので即答で買うと宣言した。
「そうかそうか。それじゃあ次はフェンリルの嬢ちゃんの武器だが、嬢ちゃんは鈍器系統の武器でも何が一番得意だ?」
ニグリスさんは自慢の防具を買ってもらえることが嬉しかったらしく、また『ガッハッハッハッハー』っと笑った後、次はシルフィアにどんな武器を使うかを尋ねた。
「できれば、ハンマーが良いです」
シルフィアは鈍器系統の中でもハンマーを扱うらしい。
「じゃあこれはどうだ」
ニグリスさんはあるハンマーをシルフィアに勧めてきた。
そのハンマーは80センチ位の鋼で作られたモノだった。
シルフィアはそのハンマーを受け取った後、ハンマーを数回素振りした後、こちらに振り向いた。
「レイジ様。私の武器はコレにしたいです」
どうやらそのハンマーをシルフィアは気に入ったらしくそれを買うと決めた。
それからニグリスさんに勧められたナイフを三本買うことにした。
「よし、それじゃあ会計だが、『ブラックリザード』の胸当てが一つ4,500ナグルで、二つだから9,000ナグル。『ブラックリザード』の籠手と膝当てはそれぞれ1,500ナグルで三人分だから9,000ナグル。ハンマーは6,300ナグル。ナイフは一本800ナグルで三本だから2,400ナグル。合わせて26,300ナグルだが20,000ナグルで売ってやる」
「そんなに安くしてもらっていいんですか?」
あまりにも安くなったので尋ねてしまった。
「いいんだよこれぐらいは、それにこれからもお前らには俺の店で武器を買ってほしいからな、これは言わば投資だよ」
「ありがとうございます。これからもずっと装備はニグリスさんのところで買わせてもらいます」
俺はニグリスさんに礼を言ってから大銀貨2枚(20,000ナグル)を払いそれぞれで買った装備を身につけた。
因みに防具には魔法がかかっており、装備した人の身体にフィットするようにサイズが変わるというまさに御都合主義の世界だった。
それからはナイフをなおす鞘やシルフィアのハンマーを背中から背負えるように入れ物を無料で提供してくれたので三人でもう一度ニグリスさんに礼を言ってから店を後にした。




