第4話 悪夢
今回はシリアスな話です。主人公の過去が明らかになります。
そこには何もない真っ暗な世界が広がっており、そこに俺は一人だけでそこに立っていた。
(此処はどこだ?フールはどこに行ったんだ?)
俺は先程まで一緒にいた筈のフールが近くにはおらず、心配してそこらを探し続ける。しかし、此処にはフールはおらず、ましてや此処が夢の中であることは知る由もなかった。
すると突然辺り一面が光りだし眩しさのあまり目を強く瞑った。
そうしてから十数秒後、目が光りになれ瞼を開いていくとそこには信じられない光景があった。
それは、大きい道路に車が五月蠅い音を鳴らしながら何台も走っており、辺りには高いビルが立ち並び、歩道には汗水をたらしながら営業に行くサラリーマン、今から学校に勉強しに行く小学生、友達と楽しい会話で盛り上がる女子高生グループなどの沢山の人が行き交っていた。
そう此処は俺が異世界転生する前のつまり、俺の住んでいたで地球だった。
俺がなぜ此処にいるかわからずにいると、目の前からある人物が歩いてきた。
それを見た俺はまたも驚き思考が一時停止した。
何故ならそこに居たのは会社に行くときに着るスーツを着た異世界に転生する前の25歳の時の俺だったからだ。
そこで俺はすぐに動きもう一人の俺を止めようとした。しかし、それはできなかった。
何故なら触れることが出来なかったからだ。
何回も止めようとしたが手が通り抜け触れないのである。
何故此処までしてもう一人の俺を止めようとしているのかというと。
(お願いだ止まってくれ!行かないでくれ!あそこにはもう行きたくない‼︎)
しかし、俺はなんの抵抗もできずにただもう一人の俺から何か得体の知らないもので引っ張られており俺について行くしかなかった。
そしてもう一人の俺がついにそこに辿り着いでしまった。
その場所は周りのビルよりさらに高く大きいビルだった。
そうそこは間違える筈もない自分が働いていた会社つまり俺の父親が経営していた会社だ。
父親は俺が中学生の頃、母親は病気で亡くなりそれを理由に仕事を休むことができない父親は働き、俺の生活費や学費を男手一つで働いていた。
俺はそんな父親に憧れ、また尊敬していた俺はタロット占い師になる夢を諦め必死になって勉強し続けて難関の高校と大学を無事に卒業した後、直ぐに父親の働く会社に就職し父親に少しでも恩返しができるように仕事を頑張った。
父親は偶に自分を占ってくれと俺の所に来た。
その時ただの気晴らしにと思い、またどんな形であれ尊敬している父親が俺を頼って来てくれているようでとても嬉しかった。
なのでこれからも父親のように頑張り父親を支えようと心に決めていた。
『あの日が来るまでは』
そうしてもう一人の俺は父親がいる社長室の前に立っていた。
その時は父親に頼まれた仕事の報告と占いの結果を報告をしに訪れた。
俺が社長室のドアをノックしようとした時中から会話が聞こえて来た。
「いやはや、そんなたいしたことはありませんよ。ハハハハハ!」
俺の父親の笑い声が聞こえて来た。
どうやらお得意先の取り引き相手と会話をしていたようだ。
このまま立ち聞きしていたら本当はダメだが。しかし、父親が普段はどの様にして取り引きを行っているのかが知りたくて、またその技を盗むチャンスだと思いそのまま聞いていると。
「そういえば、あの報告書はまだですかね」
「それはご心配なく、もう少ししたらうちの息子が持ってくる筈ですから」
<ビク>
いきなり俺のことが話しにでてきたので驚き、もう少しの所で大切な書類を落とす所だった。
(今、俺の持っているこの書類がそこまで重要だったとは思はなかったなあ。まあ父さんから直接頼まれた仕事だったからある程度は重要なのは分かっていたけどそこまで大切だったのか〜)
と今の状況を心の底から喜んだ。
本来なら此処で直ぐにでもこの書類を渡さなければならないが、もっと父親が俺のことをどう思っているかもう少し聞いていたかった。
「そんなに優秀な息子さんがいて羨ましい限りですなー」
この言葉に父親はどう答えてくれるのか期待をする。
「あいつはタダの金を稼いでくれる『道具』としか思っていませんよ」
父親の放った言葉に俺の思考が停止してしまった。
俺は今、何が起こったかわからずにいた。
父親が俺のことを『道具』としか見ていなかったのだと、どうしても信じられなかった。
何かの聞き間違いであってほしいが俺の思いとは裏腹に会話が進んでいく。
「あいつのお陰でそちらとこの様な両社が利益を出す事が出来るのであいつの『占い』には本当に助かっておりますよ。ハハハハハ」
「本当に素晴らしゅうこざいますね。貴方の息子さんは」
「あいつの扱いも簡単でな。少しだけ褒めれば褒美だと思いまた私の願った通りに働く本当に「犬」のような存在ですよ」
俺はもう耐えれなくなり社長室の前から離れた。
途中でお茶を運びに来たOLとあったので書類を渡し体調が優れないので暫く休むと嘘の伝言を残し俺は会社を去った。
今までの努力はなんだったのだろうか?
俺はただ『道具』として『占い』をして『犬』のように扱われ俺の努力が何だったのかが馬鹿らしくなってきた。
その後俺は銀行でお金を全財産を引き出し、携帯ショップで新しい携帯を買い、家に帰った後服を着替え、着替えなどを2,3日分準備し家を出て新幹線に何回も乗り換えながら行方を眩ませた。
俺はしばらくしてから父親の会社が潰れた事を知り俺はこれからどうしようと考えていると手にはタロットカードがあった。
此処まで来る時に今まで集めてきたカードは全て捨ててきたのだがこのカードだけは捨てられなかった。
このカードは今は亡き母親が俺が10歳の時に誕生日プレゼントとしてくれたカードであった。
その時俺は何を思ってたのか俺自身の事を占ってみた。
普通占いは自分自身の事を占う事が出来ないとされているがそれでも占う俺がいた。
そして、そんな時に占って引いたカードが「『NO.17 スター』の正位置」であった。
意味は、希望、閃き、出会い、未来、願いが叶う、である。
「ハハハハハ…」
その結果を見た俺は思わず笑ってしまった。
今の俺に何が残っているのかと、でも完全に外れているとは思えない俺がいて頑張ろうと思える俺がいた。
そう思った俺は後先考えずに占い師になるために全財産を殆ど使い果たして店を作ったが夢は叶えられずに俺はこの世を去ったのであった。
しかし、その後で異世界転生をして元神様のフールと出会い一緒旅をする事になり、あながちあの占いが当たっているのであった。
そう思っているとフールに今直ぐに会いたくなった。
俺は直ぐにフールを探し始めた。
「フール!どこ行ったんだ返事をしてくれー、頼むからフール出てきてくれー‼︎」
大声で叫びながらフールを探した。
でも歩けど歩けど一向にフールは見つからず唯々暗い道が続くだけであった。
「頼むからフール出てきてくれよ、お願いだから、一緒いてくれよフールーー‼︎」
そう叫ぶと何処からか声がした。
とても小さいがはっきりと聞こえ、俺は直ぐに声のする方向へ走った。
途中で躓いたり、転んだりしても立ち上がり、声のする方向え走った。
すると目の前から光が現れてそこから。
「主様、しっかりして下さい、主様、フールは此処におります、主様のお側にずっとおります、主様ー‼︎」
とフールの声が聞こえ、俺はそこに何も躊躇わずに突っ込んだ。




