第52話 皆殺し
「俺の家族に手を出そうと考えてた奴を誰一人として生かすつもりは無いからな」
俺は今、自分でも驚くくらいのドス黒いオーラと凄まじい殺気を放っていた。
俺はその場で冒頭の言葉を言い放った後、立ち上がり右手に持つ『風の剣』と左手に持つ『水の聖杯』を構えた。
「うわーーー‼︎」
「ヤダーーー‼︎」
「殺されるーー‼︎」
「死にたくねーー‼︎」
「誰か助けてーー‼︎」
その瞬間、俺が先程通った道の近くにいた男五人がそれぞれそう叫びながら逃げ出した。
「俺の家族の敵は生かすつもりは無いって言ってんだろうが‼︎『水刃』」
逃げ出そうとしていた男五人に俺は『水の聖杯』飲み口の方を向けた後、ゴブリン討伐戦の終了後に『水の聖杯』のレベルが3に上がった事で使えるようになった新しい魔法を放つ。
呪文を唱えた瞬間、聖杯から五枚の水の刃が勢いよく放たれ逃げ出そうとした男達全員の首を跳ね飛ばした。
頭を失った身体は前方に倒れ首から大量の血を流し、数秒遅れてから上空に打ち上げられた男達の頭が落ちてきてグチャグチャと不愉快な音を出しながら地面に落ちた。
「これで残り十二人。次は誰が死ぬ」
俺は残りの男達を睨みつけながら見渡す。
「調子に乗ってんじゃねーよクソガキが‼︎コッチにはまだ十二人もいるんだぞ!おい魔術士共、殺しても構わねえ‼︎一斉に奴に魔法で攻撃しろ‼︎‼︎」
大剣男が俺の放つドス黒いオーラに怯えながらも恐怖を押し殺し指示を出した。
すると杖男含む計七人が杖を俺の方に構え呪文を唱え魔法を放ち、放たれた複数の魔法が全て此方に向かってきた。
そんな全方位から魔法が勢い良く迫っている中で俺はそれを避けようとせず。そして。
<ドッカーン>
魔法は全て直撃し辺り一面に爆音を響かせ砂煙りを上げた。
「…ハハ…ハハハ……ハハハハハハ‼︎どうだ見たか‼︎俺たちよりも調子に乗りやがった奴らは全員死ぬんだよ‼︎ハハハハハハ‼︎‼︎」
大剣男は俺に魔法が全弾命中してからしばらくして高笑いし始めた。しかし、次の瞬間。
「『風斬』、『水刃』」
俺が立っていた砂煙りの上がっている場所から風の斬撃と水の刃六枚が放たれ水の刃は魔導士六人の胴体や首を切断し、風の斬撃は杖男の胴体を斜めに切断した。また、杖男が切断された時に隣にいる大剣男は大量の血を浴びてしまったがそのことについては反応しなかった。
何故なら大剣男の目の前には信じられない光景があったからだ。その光景とは。
「誰が死んだって?俺はまだ死んでないんだけど?」
砂煙りがさっきの風の斬撃により吹き飛び、その中から魔法が全弾命中したはずの俺が傷どころか服に砂埃一つも付けない状態で立っていたのだ。
「な、ななな、なんでオメェが生きてんだよ‼︎さっき魔法を全弾命中させられたお前がなんで‼︎⁉︎」
「今から死ぬお前らに教えても意味ないだろうが」
大剣男の質問に答えない俺であったがここで誰かさんの為に種明かしをすると、俺は昨日のゴブリン討伐戦の時に全ての小アルカナの武器のレベルが上がっていた。つまりは、俺の扱う『風の剣』は今回の戦いで一番使っていたのでレベルが4まで上がり、新しく『風鎧』と『風矢』を取得していた。
ここまでくればもう簡単。
俺は魔法が全弾命中する直前に『風鎧』を発動しており、風の鎧を身に纏い攻撃を防いでいたということだ。
そんなこととは露知らず残った大剣男と槍男を含めた五人は俺の計り知れない力に恐怖していた。
俺は大剣男に背を向けて背後にいた槍男を含む計四人を睨みそして。
「『風矢』」
風魔法で新しく取得したもう一つの魔法を唱え、次の瞬間には上空に四本の風の矢が形成され、男達四人が何かを言おうとする前に矢を放ち槍男達は心臓を貫ぬかれその場に倒れた。
男達が倒れた後、背後にいる大剣男に目を向け睨みつける。
「こここの化け物が!こっち来んじゃねえ‼︎あっちに行きやがれこの化け物が‼︎」
大剣男は腰を抜かし地面に座り込みながらも俺から離れようと必死に後退りしていた。
一方で大剣男に近づきながら『化け物』と呼ばれた俺はと言うと。
「『化け物』だと?上等じゃねえか!大切な家族を守る為なら俺は化け物にでも魔族にでもなってやるよ‼︎」
俺はそう大剣男に言い放った後、『風の剣』を振り上げて。
「ちょっと待っt「俺は家族の敵に容赦しないんだよ‼︎」<ズバ>。ギィヤーーーー………」
男の言葉に耳を傾けずに躊躇なく『風の剣』を振り下ろし大剣男を斬りつけた。
大剣男は最後に叫び越えを上げて息を引き取った。
大剣男を斬りつけた俺は武器を異空間に戻した後、『隠密』を使い直ぐさまその場を去った。
俺が路地裏から出てきた後、騒ぎを聞きつけやってきた警備兵達とすれ違ってからしばらく歩き、先程とは違う裏路地に入って『隠密』を解き、少し心を落ち着かせてからマリーさんと俺が化け物になってでも守りたい家族であるフールとシルフィアが多分いるはずの服屋に戻っていった。




