第27話 呼び出しを食らいました。
今回は少し長めです。
朝の9時の鐘の音で俺は目を覚ました。
フールが戻っていった後、結局することが見つからず俺は仮眠を取ることにした。
目を覚ましてから大きく伸びをした後、フールを呼び出すために呪文を唱えた。
「『タロットマジック』大アルカナNO.0『フール』」
呪文を唱えるといつも通りの光が放たれ中からフールが現れた。
「礼治様二時間一分十五秒振りですね。フールは首を長くして待っていました」
「ハハハハ、フールは相変わらずだな」
昨日と同じく秒刻みだったフールについつい笑ってしまった。
「プゥー。私は礼治様とは一秒でも長く一緒にいたいんですー」
頰を膨らませながらそう言ってきたフールであり、俺はそんなフールの頭に手を置き。
「ごめんなフール。じゃあ依頼を受けにギルドに行こうか?」
フールの頭を撫でながらギルドに行くことを提案した。
するとフールは頰を膨らますのを止め、今度頰を赤く染めてからコクンと頷いてくれた。
俺とフールは部屋を出て鍵を閉めその鍵をラルファさんに預けてからギルドに向かった。
約十分後、俺とフールはギルドに着くと昨日壊した扉は修理されており、その修理された扉を開けてギルドの中へと入った。
すると他の冒険者から注目の的になってしまい冒険者達がひそひそと何かを話していたので耳を傾けてみると。
〔あのガキが昨日冒険者になって早々Dランクの冒険者を一方的に倒した奴かよ〕
〔ああ、何もないところから杖やコップそれからコインや剣とかを取り出したりして火と水と土の魔法を放っていたらしいぞ〕
〔じゃあ、あのガキの隣にいるのがEランクパーティーの『狼の牙』を風魔法一発で一人を気絶させて残り二人を威圧して腰を抜けさせた嬢ちゃんか?全くそんな力があるように見えないんだが?〕
〔バカ野郎!お前はあの時ここにいなかったからそう言えるんだよ!あの時の嬢ちゃんの威圧は遠くで見ていた俺の所にまで届いたんだぞ‼︎〕
〔あの男見た目がスゴくカッコいいし、それでいて強いんだなんて。私の男になってくれないかな〜?〕
〔そんなこと言うんじゃあねえよ!お前あの嬢ちゃんにもし聞かれたら威圧だけで殺されるぞ‼︎〕
昨日の俺とフールの起こしていた騒動のせいですっかり目立つ存在になってしまったが俺達二人はそんなことは気にせずに受付カウンターへと向かった。
受付に行くと昨日と同じくマリーさんが対応してくれた。
「おはようございます。レイジ様、フール様。お二人はもうギルドの中では有名人ですよ。私達ギルド職員の中ども『期待の新人現る‼︎』って感じで盛り上がってます」
マリーさんはまるで自分のことのように喜んでくれていた。
「おはようございますマリーさん。じゃあ早速なんですがFランクに昇格した冒険者にお話しすることを聴かせてもらっていいですか?」
俺は昨日聞けなかったFランクに昇格してから受けないといけない説明を聞いておらず、今日の朝ギルドに来てから説明を受けることにしていたのだ。
「実はですね。レイジ様とフール様には大変申し訳ございませんが説明を受ける前に一度ギルドマスターにお会いして頂けませんか?」
「「ヘェ?」」
マリーさんの突然の申し出に俺達は変な声を出してしまった。
「あのすみませんマリーさん?ギルドマスターが俺とフールに会いたいと言っているんですか?」
変な声を出してから数秒後にマリーさんに質問した。
「はい。ギルドマスター直々にお二人にお会いして話をしたいらしく、お二人がギルドに来たらすぐにギルドマスターの部屋にお通しするようにと承っております。多分昨日のことでだと思います」
(イヤイヤイヤ。逆にそれしかないでしょう⁉︎)
俺は心の中でマリーさんにツッコんだ。
その後はマリーさんの話を聞いた後で考えるふりをしてフールに合図を出してから『念話』で話し始めた。
[フールはどうしたらいいと思う?]
[そうですね……。私の正体と礼治様が異世界人であることがバレなければ大丈夫だと思います。逆にここで拒んでしまうとかえって怪しまれるかと思います]
[やっぱりそうだよな…。じゃあ念のためフールはステータスを今のうちに偽造しておいて、ギルドマスターになる人だからステータスを見るスキル持ちかもしれないしな]
[分かりました礼治様]
『念話』の結果ギルドマスターに会うことにした俺とフールだった。
「分かりましたマリーさん。今からギルドマスターに会わせてもらっていいですか?」
「はいもちろんです。それではギルドマスターがおられる部屋まで案内しますのでついてきてくださいね」
マリーさんはそう言ってカウンターの上に『現在お取り込み中』と書いてある立て札を置いてから自分達を案内してくれた。
その途中また他の冒険者達がひそひそと何かを話していたがそれは気にせずにマリーさんの後をついていく。
俺達は階段で五階まで上がり、廊下を少し歩くと周りの部屋の扉に比べ大きい部屋の扉の前でマリーさんは足を止めた。
マリーさんはその扉をノックする。
「ギルドマスター。受付嬢のマリーです。お二人をお連れしました」
「入ってくれ。扉の鍵は開けてあるから」
マリーさんが呼びかけた後、間をおかずに部屋の中から返事が返ってきた。
「失礼します」
マリーさんは部屋の主であるギルドマスターの許可を得てから扉を開け中に俺とフールを招いた。
部屋の中はシンプルで、壁際には沢山の本棚があり大量の資料が詰め込まれており、部屋の中央には客人を座らせておくソファーとテーブルが置いてあり、その奥には机の上に大量の資料の山からこちらを覗く見た目が20代の女性がいた。
その女性の耳は尖っており自分はすぐに彼女がエルフであることに気づいた。
「やあよく来てくれたねお二人さん。マリーもわざわざ案内をありがとうね。後はこっちでするから持ち場に戻ってくれ」
「わかりました。では私はこれで失礼させていただきます」
「案内ありがとうございましたマリーさん。お仕事頑張ってくださいね」
マリーさんはギルドマスターからの指示で部屋を出ようとしたので俺はわざわざ仕事の合間を縫って案内してくれたマリーさんにお礼をしてから頑張ってと言った。
「はは、はい////。私は今から仕事に全力を尽くし頑張らせて頂きますニャ。それでは失礼しますニャ‼︎」
マリーさんはそのまま風のように仕事場へと戻って行った。
それを見送った俺はフールの方を振り向くとフールは何故か不機嫌そうな顔をしていた。
「どうしたのフール?」
「別に何もありません‼︎」
フールはそう言ってそっぽを向いてしまった。
「おーいお二人さん?そんなとこにいないでこっちに来て座ってくれないか?」
その声を聞き俺とフールは入り口から向かって正面に振り向くとギルドマスターは先程まで座っていた席からソファーに座ってお茶を飲んでいた。
俺達は慌ててギルドマスターの向かい側のソファーに座った。
「やあやあやあ。冒険者登録して次の日に早速呼び出しちゃってすまないね。私はこの冒険者ギルド『アルバス』支部のギルドマスターをしているエネドラというものだ。よろしくな」
「Fランクの冒険者の礼治です。よろしくお願いします」
「同じくFランクの冒険者のフールです。礼治様共々よろしくお願いします」
俺とフールはギルドマスターに頭を下げて挨拶をした。
「そんな畏まらなくてもいいよ。私はそう言った硬いのはあまり慣れてなくてな。だから楽にしてもらえると私にとってもありがたい。まあ取り敢えずお茶でも飲んでくれ」
ギルドマスターであるエネドラさんに薦められお茶を飲んでから一旦落ち着くことにした。
俺達が落ち着いたと判断したギルドマスターは本題に入ってきた。
「今日二人を呼んだのは別に昨日ギルドの扉を壊したりだとか壁を壊したから説教しようと思っているわけじゃなく、ただ君達二人に興味があったからなんだよね」
「俺達にですか?」
「そう。君達はもうギルドでは知らない奴はほぼいないからね。確かに今までにも有名になった奴はごまんといた。だけどたった一日だけで有名になる奴はお前達二人が数十年振りでな、それと君はたしかレイジといったな。私は君に一番興味がある」
この時ギルドマスターからの言葉に驚きを隠せずギルドマスターを凝視してしまった。
<ピキ>
突如何かの音がしたので我に返りその音が聞こえた方へ向くとそこにはフールが額に怒りマークをつくりギルドマスターを睨んでいた。
「ああ、勘違いはしないでくれよ。私が言った『興味がある』は男としてではなくてレイジが使う『タロットマジック』についてだよ。だから別にあんたから最愛の男を盗もうとかしないから安心しな」
それに気がついたギルドマスターは直ぐに弁解に入った。
「それなら別に構いませんね。私の礼治様は誰にもあげませんから」
フールは怒りの表情から一変すぐに元の表情に戻ったのである。
「よし。あんたの奥さんの機嫌も直ったから本題に入らせて貰うよ」
フールはギルドマスターの言葉を聞いた瞬間、今度は顔を真っ赤にしてから。
「私は礼治様の奥さん♡、私は礼治様の奥さん♡、私は礼治様の奥さん♡、…………」
っと自分の世界へと入っていってしまった。
そんなフールを置いて俺とギルドマスターは会話を始めた。
「まず私は見ての通り『エルフ族』であり弓はもちろんのこと、四元素魔法や生活魔法の基本的な魔法からエルフが最も得意とする精霊の力を借りて放つ魔法『精霊魔法』を熟知している種族だ」
(やっぱりエルフはこの世界でも弓や魔法の扱いに長けた種族なんだな)
エネドラさんの話を聞き、元の世界で読んでいた小説の内容と『エルフ族』の特徴が一致していたので話を直ぐに理解した。
「そんな魔法に特化した種族でその中でも私は長い間、独学で魔法の研究をしているにも関わらずだ!君は何故、私が知らない魔法『タロットマジック』という魔法を扱っている!」
突然エネドラさんがテーブル越しに俺に迫ってきた。
「昨日の君の魔法を見ていた者達から聞いた所によるとだな。君は何もない所から杖を取り出し火魔法で槍を放ち、今度は聖杯を取り出して水魔法で回復を行い、次には二つの武器を何処かになおしたかと思ったら、今度は金貨を複数枚取り出して投げつけてそれから土魔法を使い大きな壁を形成した。他にも剣を取り出していたらしいが私の見解では君が使う武器にはそれぞれ四大元素魔法の一つ一つを使うことができ、その剣は風魔法を扱うことができる装備だろう?どうだ違うか?」
俺はギルドマスターの勢いに驚き、また『タロットマジック』の小アルカナの仕組みを実際に見ていないにも関わらず完璧に理解されたことに驚いた。
「しかもだ!タダでさえ『人間族』は四大元素魔法のうち三元素の属性魔法を取得していれば大賢者と扱われるのに対して君は四つ全ての魔法を扱え、尚且つ召喚魔法で強力な使い魔を呼び出すことができ、それら全てが詰め込まれた『タロットマジック』という世界の理を超越した魔法を取得している君は一体何者なんだ‼︎⁉︎」
どうやら俺はギルドマスターですら驚きを隠せない程の力を持っていたらしく世界の理を超越した者として見られているらしい。
(もう化け物決定かー。まあ前から気づいてはいたけどやっぱり他人からそう言われると落ち込むなー<ガックシ>)
魔法を熱く語るギルドマスターの言葉に自分が化け物である事を認めざるを得なくなり落ち込んでしまった。
それに対してフールは、俺が凄い者という扱いをされている事にまるで自身が褒められているかのように喜んでいた。
そんな俺達の様子を見ていたギルドマスターは突然とんでもない言葉を放った。
「そんであんたらは一体何者なんだい?君は異世界人で君は精霊の中でも上位の扱いをされる聖霊で使い魔なんだろう?」
俺とフールはギルドマスターの言葉に驚きフリーズしてしまった。




