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タロット占い師は神様に殺され異世界転生  作者: マロンさん
第1章
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第25話 一方その頃

今回は大アルカナ達がメインで登場し話を二回に分けて一挙に投稿します。

時間は戻り俺達と別れたサタンは大アルカナ達が住む異空間に戻っていた。


「ただいまーっと。<クンクン>いい匂いがしてんなー」


サタンは帰って来て早々美味しそうな匂いに惹かれてその匂いがする方向へと進んでいった。

暫く歩いていると広場の一角でフールを抜く大アルカナ達全員が大きなシーツの上に大量に作られた料理を囲み食事をしていた。

外から見ると大家族がピクニックを楽しんでいるようにも見える。


「ただいまーっと。おお!今日の飯も旨そうだなあ」


サタンは挨拶をしてから予め用意されていた自身の席に腰を下ろした。

するとサタンの左横に座っていた少女が声をかけてきた。


「おかえりサタン兄。レイジ兄とフール姐はどうだった?」


声をかけてきたのはトランである。


「おうトランのガキ、ちょっと待っときな。話は食事を食べ終わってからな」


「だからガキって呼ぶなーー!」


トランはサタンからまた『ガキ』と呼ばれたことに怒る。しかし、サタンは気にせずに料理を取ろうとした次の瞬間


「<バコーン>。イッテ〜〜〜〜‼︎⁉︎」


大きい音と共にサタンの頭には物凄い痛みが走る。

サタンはあまりの痛さに涙目になりながらも頭を両手で抑えてから後ろを振り向いた。


「サタン。その態度を貴方は何度注意されれば直すんですか?後、帰ってから手を洗いましたか?」


「だからってフライパンで頭を殴ることは無いだろうがテミスの姐御‼︎⁉︎」


サタンの後ろにはいつもと同じく赤色のローブの上から白いエプロンを着けたテミスが右手にはフライ返しを左手には天秤ではなく少し底が凹んだフライパンを持って立っていた。


「貴方が礼儀正しくして且つマナーを守ればそんなことはしませんよ。さあ早く手を洗ってきなさい」


テミスはそう言ってから再びフライパンを持った左手を振り上げた。


「わわわ、分かったからフライパンを持ち上げるのはやめろー‼︎‼︎」


サタンはテミスのフライパン攻撃から逃れるために立ち上がり、脱兎のごとく手を洗いにその場を離れた。


〜数十分後〜

サタンは手を洗ってから席に戻り食事を始めて暫くして、沢山あった料理は大アルカナ達によって瞬く間に完食され、シーツの上には食後のデザートとしてお菓子が並べており、片手にフルーツジュースの入ったコップを持ったトランを筆頭とした大アルカナの子供グループが周りに群がっていた。


それに対して大アルカナの大人グループは食後の一杯として酒やお茶やコーヒーやら紅茶やら自分の好きなものを飲みながら食後の一杯を楽しんでいた。


サタンが酒を飲んでいると横から声をかけてくる二人の人物がいた。


「ほれサタン殿。早う儂等の主であるレイジ殿の近況報告をせんか」


「そうだぜサタン。さっさとレイジの話を聞かせな。私は早くレイジの話を聞きたくてウズウズしてるんだよ」


「煩いなあ。いちいち言われなくても今から報告してやるから黙ってろよロマノフの旦那にフォースの姐御」


サタンに声をかけてきた二人の人物とは片手にエールが入ったジョッキを持ったロマノフと、ウィスキーの入ったグラスを持ったフォースだった。

サタンは一旦酒が入ったジョッキをシーツを敷いた床の上に置いた。


「今からレイジの兄貴の近況報告すっから話を聞きたい奴はちゃんと聞いてな」


今まで食後の一杯を楽しんでいた大アルカナ達はサタンの話を聞いた途端、一瞬にしてサタンの周りに群がった。

大アルカナの全員が心の中で主である俺の近況報告を今か今かと待っていたのである。


「うんじゃあ報告を始めるぞ〜」


サタンはそう言ってから近況報告を始めた。


サタンがどうして呼ばれたのかから始まり。フールのこと、主の俺とサタンが何を話したかや、俺がサタンにどんな評価をしたかなどを余すことなく報告した。

サタンにとっては出来のいい近況報告に満足をしていたが、周りからの評価は。


「短すぎーー!」


「殆どがサタン殿の自慢話で終わってしまったのう」


「サタン兄の役立たずーーーー‼︎」


サタンは批難と言う名の集中攻撃を喰らうだけで終わってしまった。


「オメーラ煩いんだよ‼︎仕方ねえだろうがレイジの兄貴と一緒に居られる時間が少なかったんだからよ‼︎後、トランのガキ‼︎‼︎『役立たず』とはなんだ!『役立たず』とはー‼︎」


「ふんだ!サタン兄がいつも『ガキ』って呼ぶからそのお返しだよ〜だ。ベェーだ‼︎」


トランはいつものサタンにお返しと言い、舌を出して可愛く挑発をする。


「なんだとガキが‼︎こっちにきやがれ‼︎」


それに対してサタンはトランにこっちに来いと怒鳴りながら言うものの。


「ふーんだ。悔しかったら捕まえてみろーだ」


それでサタンの側にトランが行くはずもなく、トランはさらにサタンを挑発してから走り出した。


「待ちやがれガキがーーーーー‼︎」


サタンは走り出したトランを追いかけ始めた。


ここで食後の運動が始まってしまいサタンから逃げるトラン。トランを追いかけるサタンという構図ができた。

他の大アルカナ達は逃げるトランを応援したり、追いかけるサタンにヤジを飛ばしたりとドンチャン騒ぎになってしまった。


<パリン>


そんな騒がしい中、突然何かが割れる音が辺りに響き渡った。


大アルカナ達は音のした方を振り向くとそこにはテミスが手で紅茶の入ったティーカップ割っていたのだった。


テミスからは次の瞬間黒いオーラが放たれた。


「あのバカフールが、レイジ様にあれ程迷惑をかけないようにと注意していたはずなのにその約束を破るなんて!帰ってきたら説教どころではすみませんね‼︎」


他の大アルカナ達はここには居ないフールの命の危険を感じとった。

その時サタンは伝言を頼まれていたことを忘れていたことに気付く。


「テミスの姐御!そう言えばレイジの兄貴から伝言を預かってるから落ち着け‼︎」


「えっ?レイジ様から私に伝言ですか?」


するとさっきの黒いオーラを放っていたのがまるで嘘だったかのように収まっていた。


「伝言はフールの姐御はちゃんと反省しているからあまり怒らないであげてだ。これはレイジの兄貴からの伝言だからな!」


「はい分かりました。今回はレイジ様の頼みということでお説教は免除しましょう」


テミスの言葉にホットした大アルカナ達。


「ですが、次は許さないでお説教ですね」


テミスはそう言って一瞬だけ先程とは比べ物にならないほどのドス黒いオーラを放った。


そのオーラを肌身で感じた大アルカナの子供グループはほとんどが腰を抜かして泣きじゃくり始め、何とかオーラに耐えた大アルカナの大人グループは泣きじゃくる子供たちをあやすのに必死になって取り組んだ。


今回のことで大アルカナ達の中では


『テミスを絶対怒らせてはならない』


という暗黙のルールが作られたのだった。

続きもご覧ください。

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