第21話 初めてのお仕事(3)
本日2度目の投稿ですどうぞ。
今俺達は南門の直ぐ側まで来ていた。
最後の依頼はギルドからの依頼で薬草集めである。
薬草は回復効果があるが回復薬の原料でありこちらがメインの用途らしい。
薬草の生える場所は主に森や草原によく生えており、ここらでは俺が転生してついた洞窟がある『初心の森』によく生えているらしい。
そうこうしていると南門に着きギルドカードを取り出そうとしたら突然。
「っお、昨日の坊主と嬢ちゃんじゃねえか。ちゃんと冒険者にはなることは出来たか?」
声をかけられたので前を向くとそこには昨日の警備兵のオッチャンがいた。
昨日の警備兵とは、俺をゴロツキと間違えて連行しようとした警備兵であり、また謝罪と感謝の意味を込めてフールと合わせて二人分の仮身分証の発行を無料にしてくれた警備兵のオッチャンだった。
「こんにちわ。無事に二人とも冒険者になりました」
「おう、それは良かったな。っと、そお言えば自己紹介してなかったな。俺はこの街の警備兵の団長を務めるジグトだ。よろしくな」
どうやら警備兵のオッチャンはジグトさんという名前で警備兵の団長を務めている人であったのだ。
(道理で仮身分証の発行を無料にするのを独断で決めれたわけだ)
俺は昨日のことを思い出しながら今度はこっちの自己紹介を始めた。
「昨日はありがとうございました。俺は礼治と言います。これからも『アルバス』に滞在しますのでよろしくお願いします」
自己紹介してから頭を下げた。
「フールです。礼治様と同じくこの街に滞在しますのでよろしくお願いします」
フールも俺の後に自己紹介をしてから頭を下げる。
「レイジとフールだな。お前らお二人さんは冒険者の割には本当に礼儀が良くて助かる。そこらへんの礼儀のなってない冒険者に見習ってほしいぜ」
ジグトさんはそう言った後、俺達のギルドカードを確認する。
「仕事頑張ってこいよ仲良し夫婦さん。ハッハッハッハッハー‼︎」
笑いながら見送ってくもらいその間フールは。
「私と礼治様が夫婦♡。私と礼治様が夫婦♡。私と礼治様が夫婦♡。……………」
と呪文のように唱えながら両手で真っ赤に染まった頰を押さえながらいやんいやんと顔を左右に振っていた。
もちろんそんな風に言われた俺も顔を真っ赤にしていたが心の中では今のフールとの関係に幸せを噛み締めていた。
そんなこんなしていたら俺達は目的地の『初心の森』についていた。
俺達は早速森の中に入って薬草を探し始めた。
因みにこの世界での薬草は形が俺の住んでいた元の世界でいうとヨモギによく似ていた。
しばらく探しているとフールが薬草の沢山生えている場所を見つけてくれたので依頼達成する為の1株を10本の一束を最低でも5株の倍である10株を採取する事ができ、その間に敵に襲われることはなく、これで無事に最後の依頼を達成した自分達は街に戻っていったのである。
街に戻ると時間は夕方の6時を回っていた。
門で警備兵の人にギルドカードを見せそのままギルドに向かった。
ギルドに着くと受付のカウンターは仕事を終えて依頼報酬を受け取る冒険者で少し混雑しており、俺達が列の最後尾に並んでから受付に着くまでチョットだけ時間が掛かってしまった。
そうしてやっとのことで受付につくとそこには今朝に会った受付嬢のマリーさんが立っていた。
「レイジ様とフール様。初めての依頼お疲れ様でした。では依頼書と収穫物をお渡し下さい」
マリーさんに言われるがまま『マジックボックス(極)』から薬草を取り出してマリーさんが取り出した銀色のトレイの上に乗せた。
「薬草1株を10本の一束で10束ありますので合計500ナグルになりますね」
マリーさんは素早く且つ丁寧に一束に薬草が10本あるか確認してから依頼報酬の大銅貨5枚を渡してくれた。
報酬を受け取り財布に直した後、今度は依頼書二枚を渡す。
依頼書を受け取ったマリーさんは一枚目のニグリスさんからの依頼書に書いてある報酬一人につき150ナグルの倍の300ナグルを二人分、つまり600ナグルを今度は直ぐに渡すのではなく木で作られたトレイに一旦置いてから次にタルシャさんからの依頼書に目を通し始めた。
すると突然マリーさんは依頼書から目線を外し俺達に目線を合わせた。
「あの…レイジ様とフール様。これは確かGランクの依頼書ですよね?」
「はい。確かにGランクの依頼書ですね。」
俺達はGランクなのでGランクの依頼しか受けられ無いはずである。しかし。
「じゃあなんでGランクの依頼報酬が大銀貨2枚になってるんですかニャ〜〜〜‼︎」
マリーさんは営業スマイルから一変、驚きのあまり素で大声をあげてしまったのである。
そう依頼報酬が本来ならBランクが一日で稼ぐ最低金額の依頼報酬と同じ額の大銀貨2枚だったのである。
マリーさんの大声はギルド全体に響き渡りその場が暫くの間沈黙してしまった。
その大声をあげた本人であるマリーさんはハッと我に返り。
「すいませんニャ!Gランクではバカにならないほどの報酬につい素が出てしまいましたニャ‼︎本当に申し訳ございませんでしたニャ!!!」
「いえ、そんな謝らなくても大丈夫ですよマリーさん。誰でもその金額を見たら驚きます。なので頭を上げてください、それに後ろも詰まってますし」
俺達の後ろには他の冒険者が並んでいた。
「すすす、すいません。でで、ではこちらが今回の依頼報酬である大銀貨2枚と大銅貨6枚になりますニャ」
マリーさんは慌てながらも直ぐに依頼報酬を渡してくれた。
それから報酬を受け取り財布になおしマジックボックスに戻した。
(今の所持金:27,870ナグル)
(大銀貨2枚、銀貨7枚、大銅貨8枚、銅貨7枚)
「それとレイジ様とフール様おめでとうございます。お二人は無事にGランクの依頼を3つ達成されたのでFランクに昇格されます。ギルドカードの更新を行いますのでお二人のギルドカードをお渡し下さいませ」
ギルドカードをマリーさんに渡すとマリーさんはカードを持って一旦カウンターの裏に行き、数分も経たずに戻って来たマリーさんはカードを返してくれた。
俺達のギルドカードは鉄から銅に変わりFランクと書かれていた。
「これで今日からお二人はFランクの冒険者になられます。Fランクになられますと色々とこちらで説明をしなければいけませんが今から聞かれますか?」
「今日はもう疲れましたし時間も時間なので明日、今日と同じ時間に来ますんでその時でいいですか?」
「はい、もちろんそちらで大丈夫ですよ。では明日はギルドに訪れたさいに一度受付カウンターまでお越し下さいね」
「はい分かりました。では俺達は帰りますんでこれで失礼します」
「お疲れ様でしたレイジ様フール様」
マリーさんに挨拶してからフールと一緒にカウンターを離れギルドの出口に向かった。
「おいそこのガキ!チョット待ちやがれ‼︎」
俺は本日二度目のテンプレに溜息をつくしかなかった。




