第20話 初めてのお仕事(2)
暫くは1日に2話投稿させていただきます。
では朝の一回目の投稿ですどうぞ。
俺達は次の依頼人の所へ行く前にお昼が近かったこともあり昼食をとることにした。
場所は北門の近くにある大きめの食堂で俺は分厚い狼の肉のステーキでフールは『魔牛』という先祖が牛となんかの魔獣の間にできた子供というやつの肉と野菜の煮込みスープを大銅貨1枚支払って食べた。
この世界に来て狼の肉の虜になった自分であり、またその間にやっと機嫌を直してくれたフールにホットしたのであった。
因みテミスはと言うとニグリスさんの荷物を積んだ後でフールに「明日の朝までには一旦此方に戻ってきてくださいねフール様」っと釘を打って帰っていった。
どうやらフールや大アルカナ達の間で色々とルールが決まっていたらしい。
今度詳しいことをテミスに聞いてみようと思った自分である。
理由は簡単フールがまた何かを隠しているかもしれないからである。
昼食を食べ終わると少し街で買い物をしてから次の依頼人であるペット探しの依頼をしたタルシャさんの家に向かった。
タルシャさんの家は街の中央広場から南門に向かう途中にあった。
タルシャさんの家の前に着き家の戸をノックすると家の中から70代の腰を曲げ杖をついているお婆さんが出てきた。
多分この人が依頼人のタルシャさんだろう。
「初めまして、俺はGランクの冒険者で名前は礼治といい此方は同じくGランクの冒険者のフールです。依頼を受けにきたんですがタルシャさんでお間違えないでしょうか?」
自己紹介をした後で一応確認をとってみた。
「あんた達が依頼を受けてくれた冒険者かい?わざわざ老いぼれのために来てくれてありがとうね。私が依頼人のタルシャだよ。さあさあ立ち話もなんだ一旦家に上がってお茶でも飲んで話を聞いてくれるかい?」
とても優しそうな人で俺は元の世界で小学生後半の頃に亡くなった母方の優しかった祖母を思い出していた。
「「失礼します」」
俺とフールは同時に頭を下げてから家の中に入りリビングにある椅子に腰を下ろした。
タルシャさんはお茶を出そうとしていたが杖を持ちながら運ぼうとしていたので手伝おうとしたが、フールが先に動きタルシャさんの代わりにお茶の準備をしてくれた。
フールの淹れたお茶はとても美味しく流石は『家事(極)』だと思った。
タルシャさんも席に座りフールの淹れたお茶にとても満足してくれた。
しばらくお茶を飲みながらちょっとした世間話をしてからタルシャさんは本題に入ってくれた。
「あなた達に探して欲しいペットは私の大切な家族である黒猫の『クロ』だよ。私は10年前に最愛の夫と別れてとても寂しい時間を過ごしていたんだ」
タルシャさん夫婦の間には子供ができなかったらしく、本当に夫が亡くなってから寂しい時間を過ごしていたんだろうと思った。
「だけどね。夫が亡くなってちょうど5年経った頃にね。まだ杖を持たずに歩くことができてた私は街で買い物をしている時に小さいけど確かに何かが鳴く声が聞こえたんだよ。私は何故かその声が聞こえてくる方向に歩いて行ったらそこにクロがいたんだよ。体がとても小さくて産まれたてだったんだ。多分捨てられてたんだろうね。私はすぐにクロを拾って自分の家に帰って行ってそれで暫く看病をしていたら1ヶ月くらいで元気になっててなその時私はこの子を自分の息子として育てようとそう思ったんだよ」
タルシャさんはそこで一旦話を切った。
タルシャさんにとってクロは本当に自分の息子のように育てていたんだろう。
「あの子は本当に頭が良くてそして優しい子でね。私が歩くと後ろからついてきたり、私が疲れている時に側に来て『大丈夫?』って心配してくれたり、私が探し物をしてると一緒に探してくれたり、後……………。」
親バカスイッチが入ったのかクロについての弾丸トークが数十分ぐらい続いた。
その時のタルシャさんは本当に楽しく話していた。
「だけど二カ月くらい前からクロはよくどっかに頻繁に行くようになったんだよ。最初は二日に一回あるかないかだったんだけど日に日に頻度が増してきて私が最後にクロにあったのがちょうど一週間前だ。」
最初はタルシャさんもクロの後を追おうとしたが歳のせいですぐにクロを見失ってしまい。
探すにしても遠くに行けず冒険者ギルドに依頼するに至ったらしい。
「ほとんどの人はもう死んでるだろうから諦めろと言ってくるが私はまだクロが何処かで必ず生きているって信じているんだ。頼むよお若いお二人さん。クロを見つけてくれないか?頼むこの通りだ」
タルシャさんは凄く必死に俺達に頭を下げてきた。
「タルシャさん頭を上げてください。タルシャさんのペットいえ、息子さんのクロは絶対に見つけますんで安心してください」
俺そう言ってから『マジックボックス(極)』からタロットカードを取り出した。
そのカードは元の世界で母親から誕生日プレゼントでもらったタロットカードである。
「タルシャさん今からクロを探すためにある占いを使います」
「占いかい?」
タルシャさんは疑問符をつけた。
本当に占いでクロを見つけられるのかどうか正直信じれなかったんだろう。しかし、今のタルシャさんは藁にすがる思いでいるための自分を信じてくれた。
「よろしく頼むよ」
「はい!」
タルシャさんの了承を得てからタロット占いの準備を始めた。
まずは占いをする場所を浄化するためにここに来る途中で雑貨屋で買ったお香を焚いた。そして俺の手を洗うためにフールの『生活魔法』の『クリーン』で自分自身を浄化する。
次にテーブルの上にタロットカードを置き両手でカードを時計回りで混ぜた。
この時はまだ会った事のないクロのことを強く思いながら混ぜた。
俺のタイミングでここだと思った時に混ぜるの止めカードをまとめてから今度はトランプを切るのと同じようにタロットカードを切っていく。
この時もクロのことを強く思いながらである。
ここでも自分のタイミングで切るのを止めカードをテーブルの上に置き左手でカードの束を三つの山に分けて並べ、今度は並べた逆の方からカードをまた左手で元の束に戻していく。
戻したカードの束からカードを3枚引き、左から順番に並べた。
その結果を見て少し口元が緩んでしまったがすぐにタルシャさんに質問をした。
「タルシャさん一つ質問があります。タルシャさんとクロが初めて会った場所は何処ですか?」
「クロと初めて会ったのは広場から北門に向かう途中に雑貨屋と服屋の路地裏を通ってすぐの所だが。それと占いが何か関係あるのかい?」
タルシャさんは今の質問の意図がわからなかったが素直に答えた。
俺はタルシャさんの質問に答えた。
「はい。クロはそこに居ますから俺が今から連れて来ますんでタルシャさんはここで待っていて下さい。フールは一応ここにいてね」
『クロはそこに居る』この言葉を聞きタルシャさんは勢いよく立ち上がり手を掴んできた。
「あの子は無事なのかい⁈」
「大丈夫ですよタルシャさん。クロは無事ですよ。だから待っていて下さい直ぐに連れて来ますから」
タルシャさんを落ち着かせてから俺はクロの元に向かうため席を立ち家から出て行った。また出て行く際にタルシャさんに。
「おめでとうございます。お婆ちゃん」
と言い外に出た。
タルシャさんとフールがその言葉の意味を理解するのは約十分後ことだった。
〜視点:フール〜
約十分後タルシャさんの家の戸が開き礼治様が戻って来られました。
礼治様の頭の上には毛が黒色で目が黄色い猫が乗っており、その猫がタルシャさんの息子さんのクロだと思われます。
タルシャさんはクロが帰ってきたことに喜んでいましたが礼治様の手に抱えられているある生き物達に目が釘付けになっていました。
その生き物達とは、一匹がクロより少し小さい白い猫と黒色と白色と灰色の三匹の仔猫の計四匹の猫が抱えられていたのです。
そんな驚きを隠せないタルシャさんに礼治様は言葉を掛けられました。
「おめでとうございますタルシャお婆ちゃん。クロはこの白猫との間に子供ができていましたよ。良かったですねお孫さんの顔が見れて」
礼治様の言葉を聞いたタルシャさんは手で口を押さえながら涙を流し始めた。
それを見ていたクロは礼治様の頭の上から飛び降りタルシャさんの側により身体をタルシャさんに擦り始めました。
それを見ていた白猫や仔猫たちも礼治様の手から飛び降りタルシャさんの側によりクロと同様に身体をタルシャさんに擦り始めた。
礼治様がその光景を眺めて微笑んでいました。
私は礼治様の側により。
「お疲れ様です礼治様。流石は礼治様ですね。見事に当てるなんて凄すぎです」
私の言葉を聞いた礼治様は嬉しかったのと同時に恥ずかしかったのでしょう。
右手で頭をかきながら顔をそらされました。そして顔をそらした礼治様の視線の先には礼治様が占いをされた際に三枚のカードが並べられていました。
〜視点:礼治〜
俺はフールに褒められ、嬉しさの反面恥ずかしさもあり顔を逸らしてしまい自分の視線は今、三枚のカードを見ていた。
そのカードは次のようになる。
左 :カップの2 正位置
真ん中:NO.17『スター』正位置
右 :ワンドのエース 正位置
この占いは並べたカードの左から順番に『過去』『現在』『未来』と表す。
『過去』=質問の原因、『現在』=今の状況や今やるべきこと、『未来』=質問の解決策や結果を表していて、今回のこの三つを簡単にまとめると。
『過去』:クロが居なくなった理由。
『現在』:どうすれば良いか。
『未来』:クロは何処に居るのか。
となる。そして次は引き当てた三枚のカードに込められた意味とは。
カップの2の正位置=愛、友情、一致、を表し。
NO.17『スター』正位置=希望、ひらめき、出会い、未来、願いが叶う、を表し。
最後のワンドのエース 正位置=創造力、出発点、アイディア、を表す。
これらをまとめて考えると。
『クロはあのメスの白猫と愛を育んでおり、自分だけではタルシャさんの所まで四匹を守れずにいたために立ち往生していた。』
となる。
なので俺はタルシャさんとクロの出発点であるタルシャさんがクロを拾った場所に迎えに行ったということだ。
俺がその場所に行くとクロが妻と子供を守るために最初は威嚇してきたがタルシャさんの代わりに迎えに来たことを伝えるとクロは本当に賢いのか言葉を理解して付いて来てくれたのである。
しばらく嬉し涙を流していたタルシャさんは落ち着いてから頭を深々と下げてきた。
「あんた達本当にありがとうね。あんた達のお陰でウチの息子と再会することができたし、また息子のお嫁さんと孫たちに会うことができた。本当に感謝仕切れないよ。これは私からの些細な気持ちだ受け取ってくれ」
タルシャさんは依頼書にサインの他に何かを書き込んでいた。
タルシャさんから依頼書を受け取りその依頼書を見た瞬間、俺の目を疑った。
「あのタルシャさん。俺の目がおかしくなったのか、ここに書いてある金額がバカにならないほどの金額何ですが?」
依頼書に書かれていた金額が
依頼達成証明サイン:タルシャ
報酬:20,000ナグル=大銀貨2枚
そう。依頼書には書かれていたこの金額を見て驚愕してしまい、また後ろから依頼書を見たフールも同じくらい驚愕していた。
二人の驚いた顔を見たタルシャさんは笑いながら口を開いた。
「私がなぜこんなに金を持っているかというとね。実は昔、私もココとは別の冒険者ギルドに所属していてね。そこではそこそこ活躍していた私は一人じゃ一生使い切らないお金を稼いでいたんだよ。だからこそ金には変えられない私の息子達を探し出してくれたあんたら二人にはこの金額を払えるってもんなんだよ。だからちゃんと受け取って貰えないと逆に困るんだよね」
タルシャさんに言われたので素直にタルシャさんにの厚意に感謝して頭を下げ、クロ達に挨拶してからタルシャさんの家を後にするのだった。
何はともあれ二つ目の依頼を達成した俺達は次の依頼達成に向けて南門に向かっていっただった。
午後にも投稿しようと思いますお楽しみにしていて下さい。




