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タロット占い師は神様に殺され異世界転生  作者: マロンさん
第4章
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第146話 護衛一日目 (前編)

短めです。

〜視点:マリー〜


レイジ様達を見送った後、私は他の冒険者様方が依頼を受けに来られる時間になるまで書類整理を行なっていました。


「ねぇマリー。あれだけで良かったの?」


そんな時、隣で同じく書類整理をしていたミレアからそう尋ねられました。


「えっと…何が?」


しかし、私はミレアが何について質問しているのか分からずに聞き返します。


「あんたねー…。レイジ様のことに決まってんでしょうが」


私の返しに呆れた表情を浮かべたミレアはそう言って言葉を続けます。


「せっかく昨日レイジ様達が領主様を王都まで護衛するために今朝早くに街を出ることを伝えてあげたのにさ」


私は今日、本来なら非番であったものの、昨日ミレアからそのことを知らされた私は明日が早出である同僚に訳を話して交代してもらっていました。


「でも、個人的な理由でレイジ様達に時間を取らせるのはなんだか気が引けて…」


「あんたねぇ…。そんなこと言ってる余裕なんか無いでしょうが」


ミレアは更に呆れた表情を浮かべると、今まで整理をしていた資料をカウンターの上に置き、私の方に体をむけてきました。


「マリー!レイジ様達の今のランクを答えなさい!」


「シ、Cランクの中級冒険者…」


右手の人差し指を勢い良く私に向けて質問してきたミレアのいきなりの行動に驚いてしまった私でしたが直ぐに質問に返答しました。


「そう!レイジ様が上級冒険者に上がる一歩手前まで来ているのよ!つまり、あんたがあの日に宣言したことを全うする気ならもう時間に猶予はないの!わかってる?」


私は前に『レイジ様が上級冒険者になるまでに好きと言う気持ちを伝える』と言う宣言をミレアにしており、私はその宣言を全うするつもりです。ですが、やはりいざとなるとなかなか実行に移せない自分がいて、前に進めていないのが今の現状です。


「だからマリー!レイジ様が街に戻って来た時、あんたの方からレイジ様をデートに誘いなさい!」


「ニャニャニャ…⁉︎ ニャンでそうなるのニャ⁈」


「あんたがいつまでも奥手だからよ!こうでもしないとあんたは行動しないでしょうが‼︎」


「で、でも「『でも』じゃない!もし、レイジ様が戻って来た時にデートに誘わなかった時はその時点でレイジ様を諦めなさい‼︎」ニャ、ニャー⁈」


ミレアの突然の提案に戸惑いを隠せない私であり。しかも、レイジ様をデートに誘わなかったら諦めろと言うミレアの宣告に更に戸惑います。


「大丈夫よ。あんたからの誘いならレイジ様も快く受けてくれるわよ。だから頑張りなさい」


「は、はいニャ!」


レイジ様をデートに誘うという私にとっては超難題な課題に対し、レイジ様のことを諦めるよりもマシだと半ば自棄になりながらも私はその課題を受けることにしました。


「よし。なら、今日の仕事が終わったら早速作戦会議をするわよ」


「はいニャ!」


そう決意した私はあがる時間になるまで仕事に取り組み、ミレアと一緒に寮へと帰ってからはデートに誘う為の作戦を練るのでした。


〜〜〜


〜視点:礼治〜


「はぁぁぁぁぁッッ‼︎」


〈ザンッ〉


「ギィ…〈バタンッ〉」


「よし、終わり」


アルバスを出てから数時間が経った頃、俺たちはアルバスの領主であるアレイン・アルバス伯爵様とその護衛であるルーベルさんが率いる警備兵達と一緒にアルバスの南にある『初心の森』の中を小休憩を何回か挟みながら進んでいた。

そして、今は森の中を進む途中で襲って来たゴブリン数匹と戦闘を始め、最後の一匹を『風の剣』で仕留め終えたところだった。


「レイジ様」


「どうしたシルフィア?」


仕留め終えたゴブリンの死体を一旦『アイテムボックス(極)』に収納しようとした時、直ぐ近くで一足先にゴブリン討伐を終えていたシルフィアが俺のもとへと駆け寄って来ていた。


「副団長さんがここから少し先にある場所でお昼を含めた長めの休憩を取ると言うことらしく、それを伝えに来ました」


「そうか。じゃあ直ぐにこの死体を異空間に収納するからシルフィアも手伝ってくれ」


「はいです!」


それから直ぐにシルフィアと戦闘に参加していたサタンとフールが死体の回収を手伝ってくれたお陰ですぐに終わり、俺たちは再び馬車に乗り込み目的地へと向かった。


〜〜〜


「よし。此処で昼を取りながら長い休憩をとる。昼ができる前にお前達は見張りの者と馬車の点検をする者とで別れ直ぐに取りかかれ。いいな」


『ハイ‼︎』


馬車に乗り込んでからものの数分で着いた場所に到着するとルーベルさんが他の警備兵さん達に指示を出していた。

俺達も馬車から降り、馬に変身して馬車を引いていたホースとポニーは変身を解いて元の姿に戻ったことを確認してから俺達もそれぞれ役割を分担して昼の準備に取り掛かる。


「フール、テミス。料理の方は二人だけで大丈夫か?大変なら手伝うけど?」


「大丈夫ですよ礼治様。料理の方は私達にお任せください」


「レイジ様は料理が出来るまでの間は身体を御休め下さい」


今回の護衛の間、野外での食事準備の担当であるフールと今回一緒に食事を準備するテミス。

野外の時のみであるが食事準備にはフールを固定した大アルカナの料理が出来るグループが交代で行い、テミスはフールと同じく料理の腕がある為今回は二人だけだが、基本はフールを含め三人ぐらいでローテーションするとのこと。

因みに食材はアルバス伯爵様持ちなので出費に関しては心配することは無い。

そんなわけで料理は二人に任せて俺は暇なので此処までの道中で狩った魔獣の死体を異空間から取り出し、解体を済ませることにした。


「御手伝います」


解体を始めようとした時、シルフィアがそばに駆け寄って来て手伝いをすることを申し出てくれたので二人で解体を始める。

サタンとルビーは警備兵さん達と一緒に辺りの見張りをしており、ホースとポニーは馬車の点検を始めていて、昼ができるまでは各自それぞれの仕事に専念した。

それから数十分程で昼の準備ができたらしく、料理を作ってくれたフール達に礼を言ってからアルバス伯爵様と警備兵さん達と一緒に昼を取り始めた。


「お代わりお願いします!」


「俺も!」


「〈ゴックン〉お代わり!」


「お前は三杯目だろうが!他の奴らのぶんを考えろ!」


フールとテミスが作ったスープは警備兵さん達に大好評であり、お皿に注がれてスープを飲み干すと直ぐにお代わりを要求していた。


「オイお前ら!少しは遠慮しろ!それと食い終えたんなら今直ぐ見張りをしている奴らと交代しろ‼︎」


『は、はい!』


そんな彼等に怒鳴り声をあげるルーベルさんは指示を出す。そして、その怒鳴り声にお代わりを要求していた警備兵さん達は返事をすると同時に食器を片付け、見張りの人と交代するために急いで席を立った。


「ったく。俺の部下どもが悪かったなレイジ。彼奴らにはまた後で言っとく。伯爵様も申し訳御座いませんでした」


「大丈夫ですよルーベルさん。食事は賑やかなほうが良いですし」


「ハッハッハッ、元気があって良いではないか」


ルーベルさんは申し訳なさそうに謝るも俺は別に気にしてはおらず、アルバス伯爵様は豪快に笑っていた。

その後は見張りをしていた警備兵さん達が昼を食べ終わるまで待ち、片付けと準備が済んでから俺たちは馬車に乗り込んで出発した。

それから一時間弱で森を抜け、更に数時間掛け夕暮れ前までに今日の目的地である村に着いたのだった。

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