第132話 祝い 後編
今回の投稿で第3章は完結となります。
俺たちの宴は夜になるまで夜の九時を報せる鐘の音が聴こえてからお開きとなった。
「じゃあな、レイジ。今日は楽しかったぜ」
「俺も色々と話を聞けて楽しかった。また、時間があったら一緒に喋ろう」
「そん時はついでに依頼とかを一緒にやろうぜ」
「だな」
宿屋の前で俺はナーグとそんな会話をしていた。
「大丈夫ですか、ティナさん? 足元がふらついてますよ?」
「だいひょうふ、だいひょうふ。心配しゃぇんでもだいひょうふ/////」
そんな時、明らかに酔っ払って呂律の回っていないティナの介抱していたメルが宿屋から出てきた。
「メル。俺がおぶるよ」
「ありがとうございます」
それを見かねたナーグは酔っ払って顔を真っ赤にしているティナを引き寄せ、背中からティナをおんぶした。
「じゃあなレイジ。また今度な」
「今日は本当に楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます。そして、お休みなさい」
「じゃあな」
別れを告げた後、俺は別の宿屋に泊まっている三人を見送ってから宿屋へと戻り、食堂へと向かった。
「ほら、ケトラ。もう戻るから起きて」
「ふみゃ〜……」
「はぁ〜…。完全に熟睡してるな」
食堂へ入って目に入ってきた光景は、テーブルに上体をたおして完全に酔い潰れて寝てしまったケトラとケトラを起こそうとするジャン、姉の今の状況に呆れるリュンクの姿だった。
「大丈夫そうか?」
一応、声を掛けてみる。
「ああ、僕がおんぶして帰れば大丈夫だから。リュンク、手伝って」
「りょうか〜い」
そう言ってから、リュンクが酔って寝てしまったケトラを抱えてからテーブルから離れ、ジャンは腰を下ろした後、ケトラを抱えていたリュンクがジャンの背にケトラを抱えさせ、ジャンはケトラをしっかりと背負ってから立ち上がる。
「ふぅ〜。姉ちゃんはいつも俺に世話が掛かる弟って言うが、姉ちゃんも姉ちゃんで世話が掛かるぜ」
「まぁまぁ、今日は大目に見てあげてよ」
世話が掛かる姉に愚痴をこぼすリュンクを宥めるジャンを見て、本当に仲が良いなと思った。
「じゃあ、レイジ。今日は楽しかったよ」
「俺も姉ちゃんも同じくだ。楽しかったぜレイジ」
「俺も楽しかったよ」
それから俺はナーグ達と同様にジャン達を外まで見送ってから食堂へと戻り、後片付けをしていたミネットさんとラルファさんに御礼を言ってから宿泊している部屋へと戻り、部屋の扉を軽く叩く。
「お疲れ様です礼治様」
「皆様は帰られましたかレイジ様?」
部屋の扉は直ぐに開き、ネグリジェに着替えていたフールとシルフィアが出迎えてくれた。
「うん。みんな帰って行ったよ」
俺は質問に答えながら部屋の中へと入る。
それから俺は身体を綺麗に拭いてから寝巻きに着替えフールとシルフィアと一緒にベットに身体を倒した。
「そう言えば礼治様。あの後、ロイドさんとは何を話されていたのですか?」
「私も気になります」
シングルとダブルのベットの上で寝転がっていたところ、フールとシルフィアが尋ねてきたので俺はロイドさんと話したことを包み隠さずに二人に話す。
「貴族ですか…。確かに、礼治様の占いの的中率の高さを聞きつけた貴族が何らかの形で近づいてきそうですね」
「私達は何があったとしてもレイジ様をお護りします!」
俺が話し終えた時、フールとシルフィアは真剣な表情でそう述べた。
「ありがとう二人とも」
自分のために考え、行動を起こそうとしてくれる二人に感謝する。
「それについてはみんなと話しながら対策を練っていこう」
「そうですね。明日の近況報告の時にでも話してみます」
「私も何かの力になれるよう頑張ります」
そこで話は纏まった俺たちはそのまま眠りにつくのだった。
次回の新章をお楽しみ下さい。