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タロット占い師は神様に殺され異世界転生  作者: マロンさん
第3章
131/162

第120話 VS盗賊団 ”奇襲”

気付いたら60万PVと8万ユニークを突破していました。ありがとうございます!

これからも投稿を頑張るので応援をよろしくお願い致します。

それでは本編をどうぞ‼︎

月明かりが暗い森を照らす夜遅く、俺達は盗賊団の根城に向けて足を進めていた。


「もう直ぐ根城に着くから慎重にな」


暗い森の中を慎重に進んでいく中で昼間のうちに敵地へ偵察に行っていたリュンクの言葉に全員の緊張感が高まる。


「森が開けてきました」


更に森の中を進むこと数分後、シルフィアの声とともに緊張感が高まる俺達の目の前で森が開け、目の前にはリュンクの情報通りに数百メートルの落差がある崖が見えた。

俺達は森から外には出らず、茂みに身を潜めながら辺りを見渡す。


「なんだか呆れてしまいますね」


辺りの様子を伺っていた俺達の中での第一声がメルの言葉であり、その場にいた全員がそれに同意を示す。

俺達の場所から十数メートル離れた所にある見張り台では見張りが二人いた。だが、明らかに気が抜けている様子が見て取れた。


「彼奴らは馬鹿なの?」


ケトラが言うように彼奴らは馬鹿なんだと思う。

シルフィアやメル、もしくはシーフのリュンクの様に夜目が利かないが為に松明を燃やして明かりを確保しているのはまだわかる。しかし、見張りにも関わらず、見張り台に座り込んで何やら話し込んでは馬鹿笑いの声を響かせており、その声は俺達にも聞こえるほどの大きさだった。


「まあ、警戒されてるよりかは俺達にとっては都合が良いから有難いですけどね」


[礼治様]


そう言った直後、俺の頭の中でフールの呼ぶ声が響き渡る。

実はこの場にいるメンバーは俺とシルフィア、それからリュンクにケトラにメルの五人に加えて監督役のロイドさんを入れた計六人であり、他のメンバーのフール、ナーグ、ジャン、ティナの四人は俺達とは別に行動しており、今のフールの声は『念話』によるものだ。


[無事に着いたんだね]


[はい。無事にもう一方の出入り口に到着しました]


フール達と別行動を取った理由は盗賊を一人も逃さない為に退路を塞ぐ役を担ってもらうためだ。


[それじゃあ、その場で待機しといてね]


[了解です。礼治様]


俺はフールからの返事を聞いてから念話を切った。


「フール達も待機場所に着いたので俺達も動きましょう」


俺はシルフィア達に指示を出す。


「便利よねそのスキル。私も欲しいな〜」


実は事前にケトラ達には俺とフールが『念話』を使えることを話していたので不思議がられることはなかった。


「姉ちゃんがそのスキルを取得したら、俺の頭の中で姉ちゃんの怒鳴り声が響き渡ることになるから勘弁してくれ」


「なんですって!」


「二人とも落ち着いて下さい。幾ら敵が警戒してないとは言え、流石にバレますよ」


また姉弟喧嘩が勃発する寸前、メルのナイスアシストにより二人は口を噤み反省の態度を示す。


「それじゃあ手筈通り、俺が魔法を放つのでメルはそれに合わせて矢を放って下さい」


俺は指示を出した後に呪文を唱えて『風の剣』を異空間から取り出して構える。

そして俺の隣ではメルが大きな弓に矢を一本番えタイミングを合わせるために此方の様子を伺う。


「『風矢(ウインドアロー)』」


呪文を詠唱し、俺の真上に風の矢を五本出現させ、あとは放つだけとなり俺はメルにもう一度目を向ける。


<コクリ>


するとメルと目が合い、何時でも大丈夫と言うことだろう。

小さく頷いて合図を出していた。


俺はその合図を受けると、視線を的である盗賊に向ける。


そして俺は剣を上段に上げて一気に振り下ろして五本の風の矢を放ち、それと同時にメルも番えていた矢を見張り台の上方向に向けて放つ。


風の矢は一直線に見張り台に座っている盗賊の一人に放たれ、風の矢を放たれた盗賊の頭や首、胴体を貫いた。

その突然の出来事に理解したのだろう、もう一人の盗賊が敵襲を報せようと声を上げようとした直前に、その盗賊の頭に勢いよく矢が刺さり盗賊は声を上げないままその場に倒れた。


「どうやら成功みたいですね」


見張り台の上で倒れこんだ盗賊二人の姿に俺は人を殺した事に対して罪悪感を覚えたものの、直ぐにその考えを捨て、メルの方に顔を向ける。


「私は自身の手で人を殺めたのですね……」


自身の放った矢で人の命を奪ってしまった事に俺以上に罪悪感を抱いてしまったらしく、メルの表情はとても暗かった。


「そう落ち込むなメルニアナ」


俺が声をかける前に今まで黙っていたロイドさんが口を開いた。


「冒険者は死と隣り合わせの職業だ。だからこそ、人の命を奪ったからと言ってそう落ち込んでいたらお前の命はないぞ」


経験豊富なロイドさんの言葉は他の冒険者達と比べ凄い重みのある言葉であった。


「それを乗り越えてからこその冒険者だ。そう自分を追い込むな、良いな」


「はい、ありがとうございます。ロイドさん」


ロイドさんの言葉で少しは落ち着いたのであろう、メルの表情が少し明るくなった。


「よし、此処から御前達だけで行きな。大丈夫だ御前達なら気を抜かない限りは乗り越えられるはずだ」


ロイドさんの言葉に俺達は互いに目を合わせてから覚悟を決め盗賊団が潜む洞窟の中に侵入するのであった。

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