第119話 奇襲前
無事に投稿できました。
読者の皆様には大変お待たせしていただき、誠に申し訳御座いませんでした。
次回からも週に一、二回の投稿ペースで頑張りますので応援よろしくお願いします。
〜視点:リュンク〜
「あれが敵のアジトか〜」
『アルバス』を出てから三日目の昼頃。
俺は今、ロイドさんから教えてもらった盗賊団達の根城から十数メートル離れた所にある茂みの中に身を隠していた。
「見張りは無し。仕事に出てるか、誰にも見つからないと高を括ってるかのどっちかかな?」
盗賊団の根城は高さ数百メートルは誇るであろう崖に人二、三人が横に並んで通れそうな穴が人工的に掘られており、出入り口の近くには見張り台が設置されていたが見張りは居なかった。
「まぁ、取り敢えずは罠が無いかどうかと逃げ道が無いか探ってから戻りますか」
俺は気配を消して敵の根城に忍び込み、罠の位置や盗賊の素性、敵地の洞窟内の把握など、敵にバレない様に調査してから待機場所に戻った。
〜〜〜
〜視点:礼治〜
「ただいま〜っと」
俺達は盗賊団の根城から数キロ離れたところにある池の近くで待機していると敵地の下調べを終えたリュンクが戻ってきた。
「お疲れリュンク。ちゃんとバレずに戻って来れたでしょうね」
「大丈夫だよ姉ちゃん。誰にもバレてないからそう心配すんな」
ケトラの問にヘラヘラしながら答えるリュンク。
その後に俺もリュンクに声をかける。
「お疲れリュンク。調査はどうだった?」
「色々調べれたぜ、レイジ」
リュンクは親指を立てて答える。
それから他のメンバーもリュンクが戻ってきたことに気付くと側に寄ってきたので、俺達はリュンクの得た情報を共有を始めた。
「まず初めに盗賊団の根城の場所だけど、ロイドさんの言った通り此処から数キロ離れた崖下に奴等が根城にしている洞窟があった」
「盗賊達の人数は分かったか?」
敵の根城はロイドさんが言っていた通りの場所にあり、それを確認してきたリュンクにナーグが尋ねる。
「おう、盗賊達は全部で三十四人。どいつも警戒心が皆無に等しかったからすんなり洞窟内を自由に散策できた」
「三十四人か…、想定されていた人数とほぼ変わらないな」
「まぁ、もしかしたらその時は外に出ていた奴がいて数え漏らしてる可能性もあるから、少なくても三十四人って言った方が正しいな」
「その中には例の冒険者はおったんか?」
ナーグは盗賊団の人数を確認すると、今度はティナが質問をする。
「それについての答えはイエス。盗賊達の会話を盗み聴きしたし、実際に其奴等の姿も確認したしな」
リュンクが根城に潜り込んだ際に、盗賊達の会話から元冒険者が盗賊団を仕切っていることやロイドさんから得た元冒険者達の特徴とほぼ一致した人物を四人目撃したので間違えないとのこと。
「次に洞窟の構造だけど、出入り口は真正面と奇襲があった際逃げる為に掘られたやつを合わせて全部で二つ。中は盗賊達が生活する空間と奪った物を保管しておく空間、それから商品とするために捕らえた人を放り込んでおく牢屋がある空間と言った広い空間が三つあって、それらは全部人が二、三人が横に並んで通れる細い通路で繋がってる」
「牢屋に捕らえられている人はいたか?」
「商人風の男性が二人とその商人達の商品だろうな、奴隷の首輪を嵌めた若い女性が三人いた」
俺の問にリュンクはそう答え、更に詳しく尋ねると、商人風の男性はどちらも人間族、奴隷の首輪を嵌めた女性のうち二人は人間族で後の一人はエルフ族とのこと。
「女性達は何もされていませんでしたか?」
それを聞いたメルさんは囚われた女性達の容態や無理に犯されてないか心配なのだろう。少し焦りながら尋ねていた。まあ、女性の一人はメルと同じエルフ族なので尚更のこと。
「これはあくまでも俺が見てそう判断したことだけど牢屋に入っていた全員、服や肌がそこまで汚れていなかったから多分牢屋に入れられてそんなに時間は経っていないと思う」
「良かった……」
リュンクの言葉にメルは安堵した。
「それなら今日中にでも奇襲をかけた方が良いわね。捕らえられた人達が何時まで無事でいられるか心配だし、それに逃げられる前に攻めなきゃ後が大変だしね」
「それなら日が沈みかけた頃に移動し、夜になってから奇襲をかけたほうが良いと思います」
「私もフール様に賛成です」
上から順にケトラ、フール、シルフィアの順番に今日中にでも奇襲を掛ける必要かあると主張する。
「そうと決まれば早速奇襲を掛ける為に各自の段取りを決めたほうが良いな。リュンク、根城の構造や罠の位置を詳しく教えてくれ」
「りょうかーい」
その後はリュンクから盗賊団の根城の構造を詳しく聴き、作戦を立てたのちに時間になるまで体力を回復する為に交代で見張りをしながら仮眠を取るのだった。