ないなら自分で作ろう
配役イメージ(仮)
アケミ…元気な女の子
バランさん…がっしりしたおっちゃん
サーナ…可愛い女の子
村長…優しそうなおじいさん
今日はバタバタして、まとまるのに時間かかりました(汗)
この世界では病気を治療するのに2通り方法が存在する。まずは薬師の調合したものを飲み、自然に自発回復させる方法。
これは昔、医学が発達していなかった頃に用いられていた、おばあちゃんの煎じてくれた苦い薬みたいなものだ。
あと1つは、ファンタジー世界の定番である治癒師と呼ばれる職種の、回復魔法等による超不可思議回復術によるものだ。
残念ながら、あたしは回復魔法は取得していないんだよね。
はい、ここからが本題。いわゆる等級外ポーションと言うのが、駆け出し冒険者が作る物でなんだそうだ。
回復効果はあるんだけど、どうなんだかな?的な物で、ひっくるめて8級ポーションて呼んでいる。一般的には冒険者が取り引きしているのが、これなんだって。
等級外ポーション(8級)の効果としては、HPの5%~15%を回復。この最高値はあくまでも冒険者が作成した場合で、NPCが作成した物は10%以上にはならない。
この設定はアケミも知らないことで、後々知る事になる。
比較的お手軽に入手出来るため、村にも幾つか常備されているが、それは全てNPCの作成したものだ。
等級外毒消しポーションも最低限の毒を消す程度のものだ。両方共に等級によって取り引き金額が左右するが、同率級なら同じ値段で売買されている。
ちなみに等級外ポーション、等級外毒消しポーションは共に1つ500Gが相場であり、等級が1つ上がる度に値段がかなり上がっていく。例えば7級ポーションなら1000Gだが、6級になるといきなり2000Gになるそうだ。
さらに言えば、ポーションの類いは一般的な薬屋には7級までしか置いていない。作れない訳ではないが、良質な品が作りにくいかららしい。
値段を気にしない冒険者のために、冒険者協会などには6級まで置いているのだが、庶民の平均月収が80000G程度なのだから、気軽に買える値段ではない。確かに2000Gのポーションを気軽に常備するより、毎日の生活費に回すだろう。
現時点では、1級ポーションを作成出来るほどの薬師はいないらしい…あくまでも現時点では。
そして5級以上のポーションは国単位での取り引きになるんだって。驚くあたしに5級ポーションの値段はおよそ10000~15000Gほどの価値で取引されていると村長が教えてくれた。
まあ、そんなようなレクチャーを受けたあたしは、とりあえず村長から等級外ポーション、等級外毒消しポーションをあるだけ納品してくれるか相談され、快く承諾した。
この村に必要な物をあたしが持っていて、助けてくれた恩があるのだから、それは返すのが道理だと思ったのだ。
適正価格を聞いたあたしは、村長から等級外ポーション×15、等級外毒消しポーション×15の納品額である15000Gを受け取っていた。これは初心者冒険者には手に余るほどだ。あれ?そういえば作った時に適正価格って出てたみたいだったけど、ま…いっか♪
ガリンさんを助ける為に使った7級ポーション、7級毒消しポーションはこちらの善意ということで、無償提供した形を取らせてもらった。
自分が暇だから作った物を、勝手に使わせたもんだから、特にこちらの懐も寂しくなる程でもないし、材料なら村の周りにいくらでもあるのだ。
【パッシブスキル《商才》を獲得しました。特有能力《武技特技の系統樹》の効果で吸収されました】
【パッシブスキル《一般教養》を獲得しました。特有能力《武技特技の系統樹》の効果で吸収されました】
「ところで、ガリンを助けてくれたこともあってな…皆でささやかだが宴を開くので、参加して欲しいのだが?」
「宴?なんか楽しそうね、是非とも参加させてもらおうかな♪」
ということで、夕方。村の中央の広場にはテーブルが並べられ、女の人たちが料理の準備に追われていた。オジサンたちは一足先に酒盛りを開始している。
今回の主役であるあたしはというと、バランさんとサーナと同じテーブルに大人しく座っている。バランさんは運ばれてきた料理を取り分けしてくれてから、口を開く。
「アケミは薬師並みに色々作れるようだが、ポーションと毒消しポーション以外には何か作れるのか?」
「まだ他には作ったことはないけど、麻痺を治すポーションは作れると思うんだよね」
なんか薬系の欲しいのがあるのか、それとも単に興味本意なのか、このやり取りだけではさすがに判断出来ない。
「アケミはなんで作った事もなくいのに、作れると思うの?」
至極当たり前の質問をサーナがしてきた。確かに作った事もないのに、作れると言うのはおかしいのかな…。
「うーん、あたしのいたとこでは材料とレシピみたいなのがあれば、良くも悪くも作る事が出来るんですよ。そんで、レシピはあるから作る事が出来るかな?って言ったんだ。まだ難しいのは出来ないと思うし、材料がなければ作る事はそもそも無理なんだけどね♪」
「ふーん、じゃあ麻痺を治す薬の材料ってのは、今持ってるのか?」
「それがね、さっき外で色々と見つけた中にあったんだよ。作ったらお裾分けしようか、バランさんもね」
「わあっ♪楽しみにしてるね~」
「お、俺にもくれるのか?」
「ええ、少しずつならセットでお裾分けするね。だって、命の恩人たちだもん」
「お金はあまりないのだが…」
バランさん、堅物すぎるよ。
「2人からはお金は取れないよ。もしも、それで引け目を感じると言うのなら、友達になって欲しい…かな?」
「そ、そんな事でいいなら…」
こんな他愛もない会話をしている中でも、たくさんの料理が振る舞われた。基本は木の実やサラダが主で、肉や魚はほとんど出ることはなかった…ちょっと残念。
これでもいつもよりバラエティに富んでいるのだと、サーナに聞いた。肉がほとんど出なかった理由は、別にベジタリアンなどと言うものではなく、単に狩猟時期ではなかった為に、材料が揃わなかっただけである。
…でも、この世界の料理ってあんまり美味しいとは感じないなぁ…特にこの主食の黒パンは、最初口にした時に衝撃を受けたもんね。
これでもかって言うくらいめちゃくちゃ固い、もう石じゃないかなと思うくらい。しかもそれがこの世界の一般常識だと言うから、あたしは開いた口が塞がらない。
これはどうにかしないと、あたしのリハビリ生活に支障が出かねないよね。
「どうかしたのか?」
何となく呆けて居たようで、心配したバランさんが声を掛けてくる。
「んと、この辺り(世界)のパンて、こんなに固いんだなって、しみじみ思ってた」
「そうなのか?俺は普通だと思っていたが、街の方では、固くないパンが出回っているのか?」
「街も同じだよ。あたしの故郷の方はねって感じなんだ…その、未知の大陸から来たんだよね」
さすがにここがゲーム世界で、あたしが現実世界から来たとか言っても理解不能だろうから、そこは曖昧にしとこう。そう言えば、未知の大陸出身てのがあったんだっけって思い出した。
「ふーん、未知の大陸なぁ~」
実際のパンを知らないバランさんは、そういうものなのか?みたいな、実感を持たないための生返事に変わりつつある。
「むにゃむにゃ♪」
サーナはお腹一杯食べたからか、完全にお眠状態だよ♪それから程なくして料理も無くなり、夜の帳が降りてきた頃、お開きになった…
あたしは家に戻る途中で思った。そう…ないなら自分で作ろうと…。
【パーソナルデータ】
名前:アケミ・マツモト
種族:人族(未知の大陸出身)
職業:冒険者(ランクG)
同調率:4%
満腹度:75%
渇水度:11%
【特有能力】
《武技特技の系統樹》*
【スキル一覧】
《弓》Lv7
《歌》Lv7
《料理》Lv1
《薬剤》Lv9
《木工》Lv1
《遠視》Lv9
《探知》Lv7
《小手先の技量》Lv9
《無属性魔術》Lv5
《身体能力向上》Lv9
スキルExp8