ポーション作成
いよいよポーション作成です♪
「そ…か、あたし刺されて川に落ちたんだっけ…」
やっと現在の自分の状況がつかめてきたが、ここがどこなのかを、まず確認しなくちゃいけない。
どうやら死に戻りで宿屋に復活した訳ではなさそうだからだ。手当てしてあるって事は誰かに助けられたに違いないわけで…。
包帯の巻かれた肩をそっと擦りながら、部屋を見渡す。
山小屋っぽい感じでありながら、素材を贅沢に使いきった感じの部屋。窓はガラスなんて洒落た物はなくて、木の蓋をつっかい棒で支えているだけだ。
外を眺めて見るが、そこは全く知らない景色が広がっていた。見渡す限り木々が乱立している森の真ん中って感じで、木漏れ日と優しい風が僅かに吹いている。
何もしないまま、しばらくボケーっと景色を眺めていると、どこか遠くで扉の開く音がした。
耳を澄ましていると、しばらくしてこの部屋の扉が開き、栗色の髪で小柄な少女が姿を見せた。
ばさりっ、と少女の足元に花束が落ち、その上を一緒に持って来ていたパンが転がる。見開かれた瞳に映る人物が口を開くより早く、少女は慌てふためく表情を浮かべ、小さな悲鳴を上げると逃げ出した。
「あの、ちょっと…」
おそらく自分を助けてくれたであろう少女に、事情を聞こうと思って声を掛けただけなのに、かえって驚かせる結果になってしまった。
「ちょっと話を聞こうと思っただけなんだけどなぁ…」
どうしたものかと考えていると、事態は加速度的に進んでいくものである。
少女がいなくなってから数分経過した頃、がっしりした体格の40過ぎぐらいに見える優しそうな感じの男が入ってきた。男性の背後には、少女が隠れるようにこちらをうかがっている。
「あ、あのはじめまして」
「やっと気がついたようだな。身体は大丈夫なのか?」
あたしを心配する問い、その言葉には悪意らしきものは微塵も感じられず、信用して良い人たちだろう。
「大丈夫かな?肩はまだ痛いんですけど…」
「そうか、それは良かった。わしはバラン、この村に警護の依頼で来ている者だ」
「あなたが、あたしを助けてくれたんですか?」
「まあ、似たようなものだな。この娘、サーナが早朝に川で見つけて、わしがここまで運んできたのだ」
「そうなんだ…や、やほ♪」
「………や、ほ?」
バランさんの後ろから覗き見している女の子サーナに、気さくに声を掛けてみると、恥ずかしがりながらも反応してくれる。見た感じだと小学校低年齢ぽいかな?
「あなたが見つけてくれたの?ありがとー」
「……水汲みに行ったら、川岸に倒れていたの…怪我をしているみたいだから…運んでもらったの…お礼を言われるほどのことはしていない」
おっ、やっと少し心を開き始めた感じ?ここはフレンドリーに接してみようかな?
「ところであたしの服とかは?」
「びしょ濡れだったから、洗濯して今干してるから、心配ないわ」
「オッケー、ありがとね♪あたしの名前はアケミ、新米冒険者よ」
「ほう、冒険者なのか。すると『ナタラ』から流れて来たのか…随分と距離があるな」
バランさんが言った『ナタラ』ってのが、あたしが冒険者協会に登録した街の名前だった。そんなに遠くまで流されちゃったのぉ~。帰るのだけで結構大変みたいだな…。
「だいたいどれくらい遠いの?バランさん?」
「うーん、徒歩なら5日程、馬なら3日ぐらいで着ける距離だとおもうが…傷が癒えたら、わしが送り届けてやらんこともないが、交代がくるのが15日後だから、それまで待つことになるが…どうする?」
その申し出に、あたしは是と答える。こうして、あたしはこの村にしばらく滞在することになった…。
◆暇潰しに調合◆
マイラの村に滞在することになったあたしは、とりあえずやることもないので《薬剤》をしてみることにした。《薬剤》には最初から調合という選択がありそれを意識しながら作業することにより、ポーション等が出来るらしい…。とりあえず、バランさんに街に送ってもらうまでの間、空き家をタダで借りられたのもラッキーだった。
この前は途中で中断しちゃったから、今回が初挑戦みたいなもんだ。慎重に薬草をすりつぶして、薬水を混ぜ合わせながら、熱を加えていく…と、完成した。
【等級外ポーション+1】
回復アイテムの基本的な物。初心者が最初に作成するのがこのポーションであり、ポーションの最下位8級に該当し、回復能力を持つ物を総じて等級外ポーションとくくる。なお作成する者が丁寧に作業したために、僅かに効果が上昇している。
効果:HPを11%回復する
適正販売価格『約500G』
おぉ~、最初にしてはなかなかの出来じゃないかな♪このまま練習がてらしばらく作成してみよう。
しばらくポーション作りに熱中していると、スキルLvが上昇したのか、作成するのが楽になってきた。
慣れてきたので、持っていた毒消し草等も調剤してみることにする。んで、出来たのがこれ。
【等級外毒消しポーション】
一番弱い毒消しポーション。毒が強い場合、効果が薄くなる場合がある。
効果:状態異常「毒」を治療する。
適正販売価格『約500G』
なかなかいい感じじゅない。気分を良くしたあたしは、持っていた材料をひたすら使って、ポーションと毒消しを作りまくった♪
そのおかげか《小手先の技量》のスキルLvも地道に上がり、その効果で品質の良い品が出来た。それに伴うかのように、その上位ランクの物が出来始めたのだ♪ラッキー♪
【7級ポーション】
HPの約10%~20%を回復することが出来る。また、MPも僅かだか回復する。冒険者や騎士等がダンジョンに潜る際の常備品とされる。価格的にはリーズナブルとされている。
適正販売価格『約1000G』
【7級毒消しポーション】
普通の毒ならば大抵治療することが出来る。進行性の毒であっても、その効果を無効にする。非常に優れた一品。
効果:状態異常の毒をほぼ全て無効化する。追加効果として、進行性の毒も無効化する。
適正販売価格『約1000G』
おお~っ、結構上質な物が出来たみたい。新しいレシピも更新されてるみたい。
材料さえ揃えれば一括合成が出来るのが利点だけど、少しMPを多く使うから疲れちゃうのと、一つ一つ作るのより入るスキル経験値が少ないのが欠点なんだよね。
それと一括合成しても劣化しないのは、他のゲームとは違うらしいけど、効果が上昇する事もないんだよねぇ…。あと、完成すると必ず小瓶になって、すりつぶしてた場所の上に浮かんでるのがファンタジーだ♪
材料も無くなってきたし、少し軽く運動がてらに村の周辺を散歩してみようかなと思ってるんだけど、背後からの視線が気になるんですけど…。
そう、あたしの背中越しからは、サーナが熱い眼差しで、あたしのやってる事を熱い眼差しでうかがっている。
「何作ってたの?」
「ん、ポーションだよ」
「ポーションって、アケミは薬師なの?」
サーナのキラキラ光る好奇心に満ちた瞳が眩しいんですけど…
「薬師?って何?」
「うんとね…病気の人に薬草とか煎じて治してあげる人かな?」
この世界には病気や怪我を治すのに、二通りの方法があるらしい。薬草などを煎じてそれで治す薬師と呼ばれる人。あとは魔法で治癒させる治癒師である。
「ふーん、あたしは薬師じゃないんだよね。冒険者って言われてるんだ♪だけど、ポーションとかは作れるんだよ」
「すごいです♪」
サーナのキラキラが止まらない♪
「えっとさ、サーナに聞きたいんだけど、この村の外って危険かな?魔物さんとか出るかな?」
すこしばかり打ち解けてきたみたいなんで、ソフトに情報収集しちゃう♪
「えーっと、そんなにたくさん出ないし、可愛いもふもふなのは襲って来ないよ~」
「ありがとー、それじゃちょっと村の周りで採取してくるね」
「いってらっしゃい♪」
行ってきますと一言掛けると、あたしは村の外に向かって走り出した。
村の入口まで来ると、門番してるバランさんに一声掛けて、《薬剤》《探知》《遠視》《身体能力向上》スキルを常時発動させ、めぼしい材料を探し始める。
とりあえず半日かけて見つけたのは、【薬草】【毒消し草】【香草?】【味付石?】【実?】という感じ。さすがに場所が違うと、見つかる物も違うもんなんだなぁ~。
日も暮れてきたことだし、村の中に帰るとしようと入口まで戻ってくると、何か人だかりが出来ている。なんかあったんだろか、気になるなぁ…。
さて、なんとか生き延びたけど、これからどうなるやら、そして村の入口で何があったのかは次回『7級ポーション』にて…
【パーソナルデータ】
名前:アケミ・マツモト
種族:人族(未知の大陸出身)
職業:冒険者(ランクG)
同調率:2%
満腹度:65%
渇水度:25%
【特有能力】
《武技特技の系統樹》
【スキル一覧】
《弓》Lv7
《歌》Lv7 1up
《料理》Lv1
《薬剤》Lv9 3up
《木工》Lv1
《遠視》Lv9 2up
《探知》Lv7 2up
《小手先の技量》Lv9 4up
《無属性魔術》Lv5
《身体能力向上》Lv9 2up
スキルExp8