表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

Story=2 : Xi lunguage;

 一体どういう状況なのか、和樹はノエルに導かれるまま街中を意味も無く二人で彷徨っていた。

 はじめは何かそれ以外にアクションがあるだろうと、和樹はとにかくとノエルの指示に黙って従っていたが、ようやく疑問を口に出した。

「それで、俺に何か……?」

 和樹の問いにノエルは笑みを返しながら、腰に巻いていていたポシェット、というよりはホルダーを腰から外すと、それを和樹に手渡した。

 怪訝な表情を浮かべながらもそれを和樹が受け取ると、更に問いを投げる。

「えーと、これは……俺にくれるってこと?」

 ノエルは大きく口を開いて笑った。

 どうやら彼女は肯定の表現は口ではなく表情で返すようだ。

 せっかくなのでそのホルダーを腰に巻くと、改めてノエルの表情は明るくなる。

 その姿を何度も見てるうちに和樹はノエルに攻撃意思が無いことを悟り、同時に愛しさすら覚えてきていた。

 妙に重圧感のあるホルダーの中には本らしき物が入っており、当然中身が気になった和樹はホルダーの紐を解いた。

 中身を取り出すと、予想通り分厚い本がホルダーにおさまっている。

 意味も無くぶらぶらと歩を進めていた足を止めてゆっくりとその本を開けると。

「これは……、コンピューターか何かの実用書? か?」

 本の中身はおおよそに説明するならプログラム言語の記述に関する内容が英語でびっしりと綴られていた。

「Xi言語の実用書だよ」

 和樹がたずねる前にノエルは答えを教える。

 とはいえ、それが何か理解できたところで用途も存在意義も何も情報は無く。

「それは何?」

「外部的に対象の演算装置に命令を施す言語だよ」

 この説明でも理解できず、がしかし、仮に先程のノエルとデバッガと呼ばれる男との異質な場面を考慮に入れて考える。

「さっき君がでばっが? だっけ、あいつに何かしたのと関連はあるのかい?」

 ノエルは笑みで返す。

「何故俺に渡す?」

「……お父さんがブラッドに渡せって言ってたから、だよ?」

 再び出てきた単語、ブラッド。

 そもそもブラッドという単語が何を示しているかわからない以上、只さえ解釈できないこの返答をどう受ければいいのだろうか。

 そうこう考えながら苦しい表情を和樹がしていると、ノエルは説明を再開した。

「Xi言語を覚えてね、デバッガをやっつけなきゃいけないの」

「あ、ああ、っていうか……え、俺が? ブラッドとかいう奴だから?」

 ノエルは肯定を示す笑みを浮かべながら。

「デバッガは悪い奴だから殺さなきゃいけないの、それは今のアンドロイド達じゃ読む機能が無いから、でもブラッドはもう……殆どいないから」

 本に書かれたこの文章は言う所の自然言語と呼ばれるものだ。

 恐らくアンドロイド達は自然言語から離れ、機械言語を用いて生活しているとここで仮定できる。

「だからって、それを俺に?」

「つまり和樹は勇者様ってこと、だよ?」

 言われて見れば満更でも無く、記憶が失われている以上この先どうすればいいかもわからない。

 あの武装したアンドロイド、デバッガに理由無く襲われたりすることもあるかもしれないし、この世界について忠実にナビゲートしてくれる人が必要だ。

 この頼みを受けとくのは、自分にとって得になる、と和樹は考える。

 問題としては、デバッガを排除することでこの世界で自分の立場に何か悪い影響があるかどか、という話だが、少なくともこの娘が守ってくれるだろう事や、そもそも罪も無いだろうアンドロイドを殺そうとしたところから、明らかに絶対的な悪と見える。

 勿論仮定の話ではあるが、ノエルが質問にしっかり答える能力が無い以上、今までの話を自身の中で統合すればそのような解答で落着いた。

「まあ、これは難しそうだからゆっくり覚えるとして、ブラッドの食い物ってのはないのか?」

「一緒に来てくれるの?」

「ああ、で食い物ってのはないのか?」

 ノエルはニコニコしながら地面の石ころを拾うと、それを握った手を被きに差し出す。

「待て待て、そんなもの食べたら盲腸になっちゃうって」

「#include bfood.xh、int modeling[255][124][183…………」

 和樹の返答を無視し、再びあの時に発した奇怪な言葉をノエルが唱えると、手に握っていた石ころは別のものへと変わっていた。

 驚きながらも和樹はゆっくりとノエルの手の上のパンに手を伸ばすと、パンを持ち上げて、街灯の光に晒す。

「本物……だよな?」

「ブラッドの食料はなかなか手に入らないから……、でもねお父さんが開発した言語はね。 この世界の万物の情報のプロトコルに左右されないから、Xi言語があれば食事は困らないよ」

「へえ、何かほんとよくわかんないけど。 なんかゲームみたいだな」

「ゲームも同じだからね、世界の一部だから」

 ノエルの一言に、和樹はパンに噛り付きながらどことなく。

「ふーん、アンドロイド? からしたら、そんなもんか」

 自分の知っている世界の定義の危うさを感じた。


Story=++

Goto NextLabel

~なぜなにエイリアス~


Q自然言語って?


A我々が普段使う言葉を示します

日本語、英語、独語、つまり人間語の事ですね


Qプロトコルって?


A難しい詳細を割愛すると、「言葉」や「規格」だと思ってくれて問題は無いでしょう

英語しかわからない人に日本語で語りかけても通じないってことです

仮にウェブのプロトコルが個々違う場合、私達は自由にサイトを見ることはままなりません


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ