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ある朝目覚めたとき、ウグイスの鳴き声がした

作者: ペタ

 子供の頃、家の近くに公園があった。そこには幅が40センチほどの細い水路のようなものがあった。


 東京の下町。緑はすべて人の手が加えられたものであり、自然と呼べる対象は、すべて人工的に作られたものであった。


 だが、その水路にはなぜか、カエルとかザリガニとかタイコウチがいた。子供たちにとっては、そこは近所で自然と触れることができる数少ない場所であった。


 藻がはり、決してきれいとは言える場所ではなかったけど、夏休みともなるとその場所に行き、ザリガニを捕まえて水槽に入れていた。


 やがて、その公園は改修され、その水路もなくなり、カエルやザリガニが生息できる場所もなくなってしまった。



 今、私は都会と言える場所に住んでいる。そこは子供のころを過ごした下町よりもさらに自然は少なく、自然は遠くに見に行くもの、そうした対象に過ぎない環境である。


 だが、ある朝目覚めたとき、ウグイスの鳴き声がした。


 都会というと、自然からは対概念にあるような印象だが、実際にはそうでもないようだ。ウグイスだけでなく、マンションの前を流れる川には、鴨が10羽以上住んでいる。幅は10メートルほどの、コンクリートに覆われた、川というよりはただの水路と呼ぶにふさわしいものだが。


 以前NHKで放送していたのだが、近くには屋敷林があって、そこにはたぬきが住んでいるという。緑が限られた都会の中で、線路の下にある溝などにも巣があるとのことだった。

 

 この都心に近い、アスファルトとコンクリートに覆われた人のあふれる街のそばに、野生の命が生きていることに、不思議を感じる。 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 余計な言葉がない。 大きな表現もなく淡々としているのに、なぜか心を打つ。そんな感じを受けました。 ペタさんてホントお上手ですね。 さりげない着眼点が良いというか。 >この都心に近い、アス…
[良い点] 写実的でありながら描写は淡々とした、誤魔化しのない文章で、最後の作者の感想にとても素直に繋がって見えました。 [気になる点] 私的な話でありながら詩的な要素がなく、文章も他の小説とそう変わ…
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