ラヴィング
また、あたしからだよ。
彼にメールを送る度に思う。
あっちからきても、すぐに返事返ってこなくなって終わるし‥‥。
最近、恋に悩んでいるあたし、橋本 有里。
彼とは、近遠距離恋愛中。近いようで遠く、遠いようで近い、というやつだ。
彼には会いたいけど‥‥。
もっと痩せて、自分を研かなくちゃ!!!でも、受験生だから、偏食したりして頭バカになっちゃいけないし‥。
そんな事を毎日毎日思いながら、彼にメールを送っている。
そして、あたしは彼と違う学校に転校したので、まわりは付き合ってる事を知らないし、彼もメールで、友達できた???と心配してくれるけど、あたしにはそれがバカにされてるようで、ちょっと不快だ。
だから、いっつもメールでは、つよがってしまう。
こんな性格変えたいのに‥。
いつも、いつまでも思ってる事だった。
受験が終わって、彼が久しぶりにデートに誘ってくれた。あたしはもちろん、つよがって、あまり嬉しくない素振りをしていた。
心の中では喜びまくっているのに…。
デート当日。
ミニスカとブーツにするか、ロンスカとパンプスにするか随分と迷ったが、結局は、前者にした。
「ぇ‥?遅かった?」
待ち合わせをしていた駅で、彼に言われた。
「うん。超遅いよ。」
素直に可愛く、
「全然だよ〜」
って言えば良いのに‥。
デートは普通に、映画を見て、他愛無い会話を交わした。
本当は、言いたかった。
久しぶりにあったから、言いたかった。
<大好き>って。
帰り道、手を繋いできて、彼が言った。
「あのさ‥。俺‥。お前の事、本当に大切に思ってるから。。」
いつものあたしなら、
「ありがとね。」
で終わっていただろう。
でも、今日のあたしは違った。
「あの‥さ‥‥。」
あたしはゆっくり言った。
「ん?なんだよ。」
「あの‥。だから。。その。。。大好き。」
あたしは顔を俯いたまま、そういった。
「今日はやけに素直じゃん。」
彼はそう言って、手を強く握ってきた。
あたしは、思ってた事を言った。
「離れたくないよ‥。」
あたしがそう言うと、彼はこう言った。
「俺も。」
あたし達は、長く伸びる影を見ながら手を強く握って歩いていた。
そして、沈黙を破るように彼が言った。
「俺、つよがりなお前も好きだけど、素直なのも好きだわ。惚れ直したよ。」
あたしは顔が赤くなるのが自分でも分かった。
そして、最後に彼が言った。
「HAPPY ANIVERSARY」
今日は、付き合って1年目の、記念日だった。