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《DUAL MIND - デュアル・マインド》  作者: ミストマン


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第9章:対立と決断

廃墟帯に朝の薄光が差し込む。長く伸びた建物の影、崩れかけた鉄骨、割れたガラス窓から漏れる淡い光が、砂塵に混ざってゆらめく。風が巻き上げる微細な砂粒が、二人の足元に舞い上がった。

カイはユナの手を握り、瓦礫を踏みしめながら慎重に歩く。目の前の光景は、もはや地上の都市とは呼べないほど荒廃していた。遠くに、崩れた高架の残骸が見える。そこには金属の残骸と機械の残響が混ざり、かすかな軋みが耳に届く。


「……カイ、あそこ……」ユナの声が小さく震える。

視線の先には、ドローン型の追跡者が、瓦礫の隙間から静かに浮かび上がっていた。

ユナの瞳が微かに光る。二重化された脳が解析を開始し、敵の動き、装甲の薄い箇所、関節の稼働範囲までが視界に浮かび上がる。


「落ち着け、ユナ。焦るな。俺と呼吸を合わせろ」カイは低く言う。

深層脳が共鳴するように互いの脳波が同期し、二人の戦闘リズムが生まれた。瓦礫の隙間を敵が進む。微細な空気の振動が二人の感覚に伝わり、ドローンの次の動作が即座に予測される。


「……わかった、いく……」ユナの声には少しの震えが残るが、決意が宿っていた。刃を握る手がわずかに震える。

「行くぞ!」カイの短い声に合わせ、二人は一瞬の呼吸で動く。


ドローンの鋭いレンズが光を反射する前に、ユナは一閃する。空気を切る金属音が瓦礫に反響し、カイのEMPブレードが追撃。金属の破片が舞い散り、ドローンは一瞬で崩れ落ちる。


「……こんなに、早く……」ユナの声が驚きと興奮で震える。

「お前の力だ。俺と呼応してるだけだ」カイは肩越しに微笑む。


瓦礫の影から、人型のリーパーズが姿を現す。鋭い爪と強化装甲、機械音が耳を突く。数が多く、普通の人間なら一瞬で恐怖に飲まれるだろう。だがユナの脳波は冷静だ。深層意識が瞬時に敵の関節動作、重心移動、装甲の応力波形を解析する。


「カイ……右側の二体、交わして……左に誘導できる」ユナが指示する。

「了解」カイが答え、二人の動きは無言のうちに完全にシンクロした。


瓦礫を盾に敵を誘導する。ユナが計算した角度で一撃、カイが反射的に追撃。敵は理解する間もなく、関節を切断され、鋭い爪が空を切る。倒れる敵の音が廃墟に響き渡る。


「……カイ、見える……未来……次にどう動くか……」ユナの瞳が輝く。

「その通りだ、俺も見てる。呼吸を合わせろ、次は左からだ!」


カイの声に合わせ、瓦礫の隙間を縫うように二人は動く。敵の攻撃は完全に予測され、反撃は致命的な一撃として返る。リーパーズの残党は次々と倒され、数秒のうちに瓦礫の上で静かに崩れ落ちる。


戦いの間、ユナの記憶の断片がフラッシュする。研究施設の映像、見知らぬ声、培養槽からの脱走の記憶。恐怖と混乱が入り混じるが、深層脳はそれを戦闘計算に変換していく。

カイは気づき、手を差し伸べる。「ユナ、落ち着け。俺が支える。全部拾ってやる」


その言葉でユナの脳波はさらに安定し、予測精度が増す。二人の呼応は戦闘の精度を極限まで引き上げた。瓦礫の隙間を縫い、残党を瞬時に排除する二人の姿は、まるで時間の流れを止めたかのようだった。


戦闘が終わると、廃墟帯には静寂が戻る。風が砂塵を巻き上げ、瓦礫の影に長い影が落ちる。ユナは深呼吸を繰り返し、震える手を握る。

「……私、強くなったの……?」ユナは自分の能力に驚きと戸惑いを隠せない。

カイは肩越しに微笑む。「ああ、ユナ。お前は本当に強い。俺たち、二人ならもう誰も止められない」


二人は瓦礫の上に立ち、遠くに広がる地上の荒廃を見渡した。崩れた高架の残骸、倒れた建物、残骸に絡みつく蔓植物。砂塵の向こうに、遠くの富裕層施設の光が微かに瞬く。

「……でも、まだ終わってない……」ユナの声には覚悟が宿る。

「そうだ、これからが本当の戦いだ」カイは刃を握り直し、ユナと視線を交わした。


風が砂塵を巻き上げ、二人の脳波が再び呼応する。戦いの後の静寂の中で、確かな信頼と決意が胸に刻まれた。地上での生存、そしてこれからの戦い——未来は、二人の手に委ねられたのだ。

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