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《DUAL MIND - デュアル・マインド》  作者: ミストマン


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第8章「デュアルマインドの本質」

地上の廃墟帯に淡い朝光が差し込む。灰色の瓦礫と崩れた建造物が長い影を落とし、二人の足元に砂塵が舞う。カイはユナの手を握り、彼女を支えながら慎重に歩いた。微かな風に混じる砂粒まで、ユナの意識は反応しているようだった。


「……なんで、こんなに……いろいろ見えるの……」ユナの声は震えていた。だが、その瞳には恐怖だけでなく、好奇心と驚きが混じっている。彼女の脳波は二重化し、深層意識が戦闘特化の処理を自動で開始していた。瓦礫の隙間、遠くで揺れる金属、空気の微細な振動——すべてが彼女の視界に重なり合う。


カイは横目でユナを見て、小さく頷く。「落ち着け。これが君の力だ。怖がることはない。俺が一緒にいる」


ユナは息を吸い込み、意識を集中させると、脳波が波紋のように広がる。視界の端に光の残像が幾重にも重なり、瓦礫の向こうに潜む小さな動きまで鮮明に把握できた。彼女の手は微かに震えていたが、同時に刃を握るカイの肩を支えるほどの安定を見せている。


「……わ、私……これ、全部……見える……」ユナは驚きと戸惑いを隠せない。「敵の動き……次に何をするか……わかる……!」


カイはすぐに気づき、声を低くして呼びかける。「ユナ、落ち着いて。焦るな。深呼吸して——俺と呼吸を合わせろ」


二人の意識が同調する。カイの深層脳が反応し、ユナの脳波に共鳴する。瞬間、二人の視界は瓦礫と空間の動きをシンクロして解析し始めた。遠くでドローンが接近する気配。通常なら即座に危険だが、ユナの能力で軌道と弱点が鮮明に浮かぶ。


「……私、やる……!」ユナが小さく叫ぶ。


瓦礫の間から出現したドローンに、彼女は瞬時に攻撃角度を計算し、反射的に手を振る。微かな光の残像が空中に散り、ドローンのセンサーが軌道を感知する前に、カイのEMPブレードがドローンの心臓部を正確に撃ち抜いた。金属の破片が飛び散る。


「すごい……本当にできた……」ユナは目を見開き、驚きと興奮で息を荒くする。だがすぐに意識を取り戻し、次の動きを探る。


カイも呼応するように動く。彼のブレードはユナの動きに合わせて正確に連動し、二人は無言のうちに戦闘のリズムを刻む。深層意識が敵の動作を予測し、表層意識は戦況を見守る。——まるで二人の脳が一つに結びつき、敵を瞬時に無力化していく。


瓦礫の向こうから、リーパーズの残党が姿を現す。だがユナはもう恐れない。脳波はさらに安定し、次の瞬間には敵の攻撃ルートを完全に把握していた。カイは微かに笑う。「行け、ユナ。俺がカバーする」


ユナの刃が一閃する。敵の関節を瞬時に切断し、次の瞬間には中枢を貫く軌道を計算して放つ。反応できる前に、敵は瓦礫の下に沈んだ。


「……できた……こんなこと……」ユナの声は震えているが、確信が込められていた。カイはそっと肩を叩く。「うん、君は本当に強い。俺たち、呼応して動けば……無敵だ」


二人の間に、初めて“戦闘としての信頼”が確立された瞬間だった。脳波が重なり合い、廃墟帯の空気が微かに震える。——デュアルマインドの真髄を初めて実感した二人は、地上で生き抜くための新たな力を手に入れたのだ。


風が砂塵を巻き上げる中、二人は互いに目を合わせ、小さく頷く。これからの戦いに、どれほどの敵が現れようとも、彼らは呼応する脳と意志で乗り越えられる——その確信が胸に刻まれた。

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